元UGNチルドレンの現エージェント。表の顔は一応大学生だが、殆ど行っていない。
凛々しい印象を受ける長身の女性で、赤く輝く宝石に逆五芒星の描かれた杖を持ち歩く。

苛烈かつ用心深い性格で、滅多に心を開かない。突き放すような口調で喋り、人との関わりを拒む。
生まれつきのオーヴァードかつ純粋培養のチルドレンであり、戦闘嗅覚に優れる生まれながらの「破壊者」。
それ故に、撫でれば死ぬような一般人や戦闘への認識が違う他のチルドレンとは馴染めなかった。

かつて種島絆香というイリーガルと相棒(バディ)を組んでいた期間は少し丸くなり、笑顔を見せることもあった。
しかしFHによるテロでその相棒を喪い、「いずれ失う」ことへの恐怖で再び心の壁を作るようになる。
現在は別のエージェントと組んでおり、一年以上の時間をかけて徐々に心を開いている。

血液をレーザー状にして撃ち出す能力。
特に自身の周囲で拡散させることで、射程は短いものの広範囲を巻き込むことができる。
高速で赤い光が突っ込んでくること、赤い残光が彗星の尾に見えることから、不吉とされる彗星になぞらえて「凶兆の星(レッドテイル)」のコードネームをつけられた。

多くの血を消費する切り札として、杖から打ち上げた血液の塊を拡散させて周囲全てを破壊する大技も存在する。
自ら突っ込む攻撃を彗星とするなら、大量の赤い光が降り注ぐ光景はさながら流星群である。
大抵のジャームならば、いくら数がいようとも影も残らない。

非常に目立つ能力であるため、相棒(バディ)との任務では陽動として真っ先に切り込むことが多い。

朔夜にとってこの能力は「当たり前のもの」で、能力を持たない人間は「当たり前のことすらできない奴」だった。
「守るべきもの」が何かの実感もなく、訓練と任務以外に身を置きたい日常もない。
いつジャーム化してもおかしくない精神状態だが、別にそうなってもいいとすら思っていた。
結局ジャーム化しようがしまいが、自分の居場所は闘争の中にしかないのだ、と。
――ある出会いをするまでは。

種島絆香。後天的にオーヴァード化した、日常を知るオーヴァード。
最初こそ心を開く気すらなかったが、次第に興味を持っていった。
バディとして組まされた彼女の底抜けの明るさと、チルドレンとして育った朔夜にとってあまりに新鮮な価値観。
それらは朔夜の心の鍵を少しずつ開け、朔夜にとっての「日常」を形作った。

「キミだって私の日常だよ？」
そう言われたとき、最初は理解できなかった。自分なんかが誰かの日常になり得るのか。
それと同時に、嬉しかった。絆香の日常になることで、自分の日常が肯定される気がして。

そして、絆香の死によって、輪郭が見え始めた日常がまた崩れた。
最期に遺した言葉も、表情も、何も見えないままに。絆香の死に、彼女は立ち会えなかった。
絆香のいない「普通の日常」が考えられず、絆香を差し置いて自分だけ普通であろうとすることが許せず、再び無感情に任務をこなす色あせた日常に戻る。
しかし、一度経験した「普通の幸福」を忘れることができず、朔夜の心には常に日常への渇きがあった。

本当は…謀略の牢獄に閉じ込められたかったんです…
怨念謀略シークレットモンスターしたかったんです…
でも…過去に暴走した設定とか…遺産継承者とか…設定が悉く重くて…

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