白江恭祐のバイタルチェックの結果記憶の一部が欠損していることがわかった。
FHの実験施設跡の残骸からサルベージした記録媒体に残されていた実験コード《Capelth waite》だったが
派生実験として実験コード《Blue rose》の存在が確認された。
《Blue rose》は超活性治療薬の《Capelth waite》を利用したオーヴァード強化計画である
対象者は【▬▬▬▬▬】(データ復元不可)、パーソナルデータを確認したところ白江 恭祐と同じ年ごろの少女であった
実験内容は端的に記せば《Capelth waite》によって過剰再生を繰り返すオーヴァードに能力を使用させ
身体的限界を超越することができないか？といったもの
実験として成功を収めたようだが過剰なR細胞投与と拒絶反応によって【▬▬▬▬▬】(データ復元不可)は暴走
同施設内で殺害(鎮圧)された。
その際に同質のレネゲイド細胞同士の共鳴現象が発生し、白江に【▬▬▬▬▬】(データ復元不可)の死の際に発生した膨大な感情が転写された。

―――彼は、その娘の悲しみを晴らすために闘い続けているのだろうか。

Capelth waiteの持つ異常なまでのレネゲイド細胞量は過去行われたFHによる覚醒実験の影響であると結論が出ている
元N市、現K市に存在する郊外の実験施設にて生まれた当該個体は優良個体の生体細胞を配合した有機的人造個体である。

所謂デザイナーズベビーであり当該個体に血のつながった実の両親というものは存在しない

誕生時から異常なレネゲイド細胞の保有があったわけではなく
当該個体は失敗作であり、多少細胞再生の高速化が目立つものでオーヴァードとしての力は皆無であった。

FH実験施設はこの高速再生に可能性を見出し当個体から身体再生アンプルの精製を主に目的に実験を開始
個体から細胞を採取しそれを培養、精製することで細胞の超活性を促す薬物を量産していた。

異常が起きたのは実験開始から数年後
当該個体は自分の身体から四肢の全てと片側の眼球、舌、13本の歯牙を失っていた
培養液の中で死を待つばかりであった状態から突如暴走を開始
アンプル接種の経験がある細胞を持つ周囲に存在する人間の身体を文字通り自分の一部を取り戻す為に喰らい尽くした。

その後、当該個体は多量のR細胞接種による極限暴走状態 通称 Re:birth を発症
現UGN 統括管理責任者 叶田 八束 により一時的に一部の能力を封印、強奪することによってかろうじてジャーム化を免れた。
が、当個体が放った攻撃の余波によりN市は90％の家屋、建造物が消滅　人的被害も死傷者70,000名以上に及んだ。

被害状況の凄惨さに対して当時のFH実験施設で実権を握っていたエージェントは現在も存命であり
UGN側でも対処の必要アリと日本支部直轄の各地の支部長には情報共有が為されている。

叶田はこれを重く受け止め該当事件をR災害と認定、R災害《魔犬の涙》としてUGNの資料へと記録、保管を行った。