八柳の母が所属していたカルト団体には、「教団のために命を捧げた子供に神が宿る」という信仰があった。月に一度、生贄となる子供が選ばれ殺されていく。教団のみんなを救うんだと、笑顔でその役目に殉ずる友達を、八柳はただ見送っていた。いずれ来る自分の番に怯えながら。

信者たちの願いと八柳の恐れも叶わず、レネゲイドは応えない。ついに白羽の矢が立ってしまった。
促されるまま毒を飲み、薄れる意識の中で祈る。

『殺されたくない』
『ここからたすけて、かみさま』

それはただの偶然であり、レネゲイドの気まぐれだった。
少女の呼び声が、それまで捧げられた祈りが、そこに偶像を産みだす。
生まれたての偶像は考えた。
「自分は、このレネゲイドの塊は、“神”と呼ばれるらしい」
「それならば、祈りに応えなくては。この哀れな少女を解放してやろう」

そして御法則八柳に根付いたレネゲイドビーイングは、少女の祈りを叶えるために信者たちを誅殺。そこに善悪の区別はなく、救いを与えたいと欲する心だけがあった。
その騒ぎはUGNに伝わり、直々に出向いた霧谷雄吾によって、八柳はチルドレンとして保護された。
見習いの神は、望まれたような神様になるべく今日も人助けに勤しんでいる。