一人称は私。二人称は君。三人称は彼、彼女。
　ありとあらゆる物語を好み、節操がない。
　常に何か本を読んでおり、その時によってジャンルはバラバラである。
　いつか自分の物語を世界に刻んでみたいと思うものの、まだ実行に移していない。

　昔から、本を読むことが好きだった。
　そこにあるのはこことは全く違う世界で、本を読むたびに、まるで生まれ変わったような、そんな感覚を得られた。
　だからだろうか。父と母の物語が気になったのは。
　父と母の奥深くには、一体どんな物語があるのだろうか。
　ふと悪臭が周囲を漂っている事に気がついた。　二人は首をつって死んでいた。
　右手にはいつの間にか一冊の本が握られており、そこにはおそらく父と母が生まれてから死ぬまでの様子が記載されていた。
　それは今まで読んだどんな本よりも生々しく、心が込められており、そして面白かった。
　それからFHに保護され、能力の使い方を学んだ。

　彼の戦闘スタイルは独特で、相手に傷やダメージを負わせるものではない。...それ以上に厄介な代物ではあるが。
　彼はそのコードネームの通り、物語を【刻む】。
　彼と闘った者は、皆一様にして、大切な何かの記憶を失ったり、大切な誰かとの関係を失ったり、存在理由を無くしてしまう。
　無くなったモノは彼が手に持っている紙に【刻まれている】らしい。