生まれてすぐに母は亡くなる。
マジシャンである父が一人で育ててくれた。同時に、幼いころから父を師匠としてマジックを習い、アシスタントとして手伝いながら生きていた。
父がマジックで叶恵を笑顔にして励ましたり、お客さんに笑顔や楽しい時間を提供している様子をずっと見てきたため憧れていた。
実は父もエンジェルハィロゥのシンドロームが使えた。10歳の時、父が病で舞台に立つ頻度が減り始めた頃からは、看病をしながら自身がマジックをしていた。父がある日「いつか私がいなくなって一人になってしまう日がくる。だけど、一人でもしっかり生きていけるようにならなければいけないよ」と力強く言った。
その言葉に、父の死が近いことを悟りつつ。しかし、自分も父に追いつかなければならない、変わらなければならないと強く思い覚醒。

その5年後、父は亡くなり一人でマジックを続けていた。
フリーランスとして時々UGNの依頼を受けたり協力したりしながら、あちこち旅していた。

父親の手伝いでマジックをしていた10歳の時に、彼女と出会った。
そこで、父のマジックを見てもらったり、その後におやつとかも一緒に食べた。
「私もいつか、お父さんみたいに…いや、お父さんを超えるくらい、凄いマジシャンになるんだ！」と光のハトを作り出して彼女に見せた。
「だからね、私が一人前で、有名なマジシャンになったら、あなたの耳にも私の名前が届くと思うから。その時は是非見に来てね！約束！」と指切りをした。

一生懸命な性格。明るく元気。
多分前向きな子。
マジックの腕前は、そこそこだろう。知る人ぞ知るくらいかもしれない。
まだ有名にはなっていないので、精進しなければあの子に届かない。

旅をしていることやフリーランスであるため、一か所にあまり長く留まり続けることがない。
そのせいか、友人と呼べる親しい人や仲のいい人が少ない。

あの日、U-33とは限られた時間でしか遊べなかったが、叶恵にとっては、同性で一緒に遊べる存在という人物はとても嬉しかった。
またどこかで、あの子に会いたいな！とはずっと思っていた。
もし再会できたら友達になってほしいし、自分の成長したマジックを見て欲しいと思っている。

他人に喜んでもらうのが好き。
父のそばで笑顔になっていく人をたくさん見てきたので、自分も誰かを自身のマジックで、能力で、笑顔にしたい。
困ってる人は放って置けない性格のため、マジック関連でなくても首を突っ込む。
悲しい顔をする人がいなくなるくらい、私が笑顔でいっぱいにしてあげる！

「そういう意味では、ほら？マジックって、…この能力って、魔法みたいだと思わない？」
「使い方次第で、人を傷付けたりしちゃうかもしれないけれど。でも人を助けたり守ったり、笑顔にもできるんだもの！」
「だから私は、この能力で皆に笑顔を届ける魔女になるよ」

記憶を無くした紫が、また色んな感情や知識を蓄えていくのをそばで見ててあげたい。
たくさん、約束をしたものね。
今度は叶えてあげる。必ず。
例えあなたに記憶がなくても、私がちゃんと、一緒に過ごした時間も、思い出も、覚えてるから。
また私と出会ってくれて、ありがとう。
今度こそ、ずっと、友達としてそばにいて？