感情豊かで年頃の女子高生。に見えるだけでその裏ではどう目の前の相手を殺すか算段を付けている少女。
常にEEの完全演技を使い、自分にとっての理想の普通の女子高生を演じ続けている。
最近、出来るだけ演技をしないように話している。その為無意識に自身が再現した満と会話を行ってしまうが、どうにか普通に話せるように頑張っている。
自らが無意識に抑制していたウロボロスの力とサラマンダーの力が解放され、楔となっていた満の人格が消失。それに伴い完全演技の力を失った為、素の苦艾 円になった。
物静かでかつ冷静。無口ではないが、敬語ではなく大体はタメ口。
己の復讐心や憎しみによって昂ったレネゲイドを焔へと変換する。
一見前よりも落ち着いている様に見えるが、誰彼構わず復讐の対象に見るのを辞めただけであり、より深く怨み、より強く理不尽を齎す怪異への殺意を研ぎ澄ませる様になった。


とある計画の完成体を模して作成されたが、一卵性双生児として誕生。出来損ないと言われながらも実験や戦闘をこなし、FHエージェントとしての才覚を伸ばした。ある作戦中に現れた怪異によって片割れを失い発狂する。
その時に失った左目に唯一残った妹の右目を入れ、適合。
絶望と相反して戦闘力は飛躍的に向上し、シンドロームもサラマンダー/ブラム＝ストーカーからサラマンダー/ウロボロスに変質した。
しかし変質したばかりの力をうまく扱えず、それに加えて劣悪な精神状態と隔絶した実力差によって瀕死寸前まで追い詰められる。
その際苦艾青河に遭遇し、気に入られ契約を交わした。怪異をそこで殺しきれなかった為、契約は継続。行く宛もなく共に生活する事になる。ふと元の研究所も見ようとしたが既に更地になっていると聞かされ、戻る理由もなかったので3年間同居を続ける。その後念願かなって怪異探偵事務所へ赴くことが可能になった。
人生1番の目標は仇である怪異を探し出し、自分の手で殺すこと。
戦闘時は黒い炎で敵を焼き尽くす。

仇の怪異を差し向けた元凶、その分体の戦いの後、ウロボロスとしての力が完全に覚醒する。その結果満の人格生成に用いられたレネゲイドの核である右目が焼失。

一人称：私
好きな物：円、ソーダ(飲んだことない)、休憩中に飲める怪しいドリンク/満、偶に食べれる残飯
嫌いな物：人体実験/薬剤入り栄養ペースト

平常時台詞：「うん…○○さんがそう言うなら良いと思う」「だねえ、さっすが○○さん！」

プライベート時台詞：「…いつになったら見つかるのかな、あの怪異」
「焦らなくても見つかるよ、円」
「そうだよね満、うん、今は待つ時だよね」
「やっと、みつけた」
「私自身の【怨み】を晴らす為に」
「あの虫螻は、必ず、殺す」
「怪異…？別に、何も…邪魔をするなら酷い目に遭ってもらうだけだから」
「邪神が世界を守るのはおかしい？そうかもね
それでも私は、私の大切な人達の生きる世界を守ると決めたから」
「Ph'nglui mglw'nafh Cthulhu R'lyeh wgah'nagl fhtagn」
「私の好きな人に誇れる私でありたいの」


戦闘時台詞：「絶えよ、絶望の中で」
「狂気を宿してその身を崩せ」
「全てを無に帰せ、ザーダ＝ホーグラ」
「怨みは無いけど、怒ってはいるよ。貴方の齎した理不尽に」
「そうやって苦しめ続けて来た貴方に、今度は自分の番が回って来ただけだよ」
「私の焔は、苦しいし痛いだろうけれど……それも全て、貴方の自業自得だよ」
「皆！怪我せずに頑張ろうねっ！」

マスタースミスの提唱したレーヴァテイン計画に倣うように、或いは完全な模倣を目的とした計画。
レーヴァテインのクローンの作成、もしくはレーヴァテインと同様の作成方法の二種類によって作成される。
円は後者に当たるが、オリジナルが双子ではなかったため、失敗作とされた。
円はサラマンダー/ブラム＝ストーカー
妹の満(みちる)はサラマンダー/エンジェルハィロゥ

最近、良く昔の夢を見る。
研究所で、道具として扱われていた頃の夢。数値だけを見る研究員、ストレス解消のサンドバッグにしてくるエージェント達、食べ物だなんて呼べないような酷い食事。
挙げれば挙げるだけキリがないくらいで……最低だけど、でも最悪じゃなかった。隣に満がいたから。
「いつか絶対ここを抜けてやろう！ねっ、円」
私とは正反対の性格。優しくて明るくて、強い人。どんなに虐げられても諦めずに立ち上がって、必死に生きようって手を伸ばしてくれる。彼女が傍に居るから、どんなに辛くたって満ち足りてる。
満ち足りてた。



簡単な任務の帰りだった。
「ん～…っ！終わったね～
何か食べてから帰らない？」
「お金なんて貰ってないでしょ……そもそも、帰還が遅れたら研究員たちに難癖付けられる」
「強くなって来たし殴られたらやり返してやろう」
満が冗談交じりに言って、私は軽く笑いながら窘める。
「そういう冗談、私といる時だけにしてね」
当然そんな事をしたら待っているのは折檻という名の人体実験。
何処まで行っても私達は研究所の備品。使い捨ての価値なきガラクタだから。
「……ま～た暗い事考えてる！そんな顔してると幸せが逃げちゃうぞ！」
額に衝撃。チカチカする視界が開けると、悪戯っ子の笑みを浮かべた満が笑っていて。
なんだか、あんなに嫌な事ばかり考えてた自分が馬鹿らしくなってしまって。
「…ふふっ、だね
楽しいこと考えよう…自由になったら何しよっか、満」
「ん～…まずはお腹いっぱいご飯食べるでしょ？あったかいお風呂に入ったり、ふかふかのベッドで寝るでしょ？やりたいこと多いなぁ」
「良いね…白米とか、どんな味するのかな？」
「だねぇ……あ、でも
全部円と一緒に経験したい！」
「……うん、私も」
そんな未来が来る可能性なんてゼロに等しい、でも…満と一緒になら。もしかしたら。もしかしたら、そんな奇跡もあり得ると思わされる。
少し照れくさくて下を向き、それでも口をついて言葉が出る。
「…いつもありがとね、満―」
「危ないっ！」
衝撃。悲鳴。揺らぐ視界。
「…あ？え、何……？」
混乱する頭の中、目に景色が飛び込んでくる。
視界の中には二つのモノ。一つは見たこともない怪物。不定形ながら口元は血濡れていて、何かを下敷きにしている。
もう一つは、下敷きにされている少女。左肩が食いちぎられ、上から化け物に覆い被さられて身動きが取れないみたいだ。
それは、満だった。
「死ねぇえええっ！！！」
理解しきるよりも早く、自分の腕から血を媒介にした炎弾を放ち。
咆哮によって炎弾ごと全身をズタズタに切り裂かれる。
「……は…？」
力が抜ける、片目の視野がない。立ち上がれない。満の頭を化け物の口がくわえる。
「や、め、やめろ、やめろっ！」
「…円」
「いまっ、助け、助けるからっ！だからっ」
「だいす」
ばちゅんっ。ばき、ぼきり。ぐちゃぐちゃぐちゃ。
「―――ぇ？」
トマトみたいに、ぐちゃりと潰され嚙み砕かれた。何が？人の頭が。誰の？誰のだろう
満。満の頭。いつも私に笑いかける顔、声、温もり。一瞬でいろんなものが駆け巡る。
片目だけの視界で、惨状を見つめる。化け物が満を、満だったモノを食べ進めている。
「あ。やだ、やめて、なくなっちゃ、いなくなっちゃう、満がなくなっちゃう」
手に何かが当たる。拾い上げたそれは、丸い飴玉みたいで
あ、これ、満だ。
「……良かった、あ、よかった、大丈夫、大丈夫だ、これ、で、これで、居なくならないね…」
自分の空いた左目に、それを入れる。
欠けた何かを取り戻したような、永遠に何かを失ったような感覚。満の顔が、声が、言葉が、浮かんでは消えていく。
「あ、ああ、あああああああ…」
笑ってるのか、泣いてるのかもう分からない。力が体に満ちているのに、暖かさを失っていく。
「は、はっ、はははは
いいや、もう……殺そう」
混ざりあった果ての、黒い炎が炸裂した。



それからは、かなり酷い有様だったと思う。
契約した相手…苦艾青河と名乗った人の力は凄まじく、あの後結局無様に殺されかけた私を助けてくれた。
ただ、生き残った私は大分狂ってしまっていて、満の人格を自分で演じるようになった。記憶や自覚がある時もあるし、ない時もある。
青河さんのお陰である程度はマシになって、人前では滅多にやらなくなった。
ただ、毎晩の悪夢は必ず見る。三年も経って、青河さんと一緒に寝てる時は殆ど見なくなったけれど。
……それでも忘れられない。常にあの光景が、脳裏でちらつく。
復讐を成し遂げろと、あの怪異を殺せと、忘れないように。思い出させるように。
もちろんそんな様子はおくびにも出さない。使えないと思われて追い出されたらそれこそ復讐の機会を失う。

大丈夫、演じるのは得意だ。さあ、始めよう、満。

……妹の夢は、未だに見る。決まって、明晰夢だ。
妹の姿はパーツごとの時もあるし、砕けてる時もあるし、五体満足の時もある。
恨み言、親愛の言葉、謝罪…どれも言わせていること。自分が酷く冷めているのを感じる。こんなことに意味が無いのは分かっているのに続けるのは、きっと私が未練や過去、それに付随した感情を捨て切れないからだろう。
ただそれを捨てる気にはならない。それも私だから。


あの日から…復讐を糧として生きるようにしたその時から、多分私は変わった。良いのか悪いのかは、分からない。
青河を愛おしいと思っているし、何よりも大切だと思っている、恐らくは妹よりも。

それを踏まえて尚…私はきっと、2択を迫られた時に決断出来てしまうのだろう。自分の命を天秤に載せて、片方を救わなければ世界が滅ぶと分かっているのなら、躊躇なくそれを行うのだろう。


これまでの経験が、感情や意志でどうにもならない壁を理解させるから。
諦めじゃない、自殺願望もない。青河と一緒にもっと生きたい……死にたくなんてない。
でも…そうしなければ死ぬのなら、きっと、私は___