容姿・経歴・その他メモ

欲望の姫君　対象：全天の情報
神代グループ傘下の研究所で作り出された人間。
存在そのものが「アトラス」という存在によるシミュレーションであり、人間たれと定められた幻想である。
……最も、「アトラス」は既にこの世界から乖離し、彼女の存在を保証する存在は、もうどこにも無いのだが。

攻撃の実態
彼女が行う攻撃の本質は欲望の姫君によって軽元素を創り出し、サラマンダーで制御した核融合により膨大な中性子線を発生させ、それをエンジェルハイロゥの力で束ね、照射する事にある。
緑青の光は彼女の固有色たる緑色と核融合反応時に発生したチェレンコフ光が混ざり合った結果生まれた物である。
つまり彼女は生きる中性子投射機のようなものなのである。

以下怪文書
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聞きなれたメッセージが聞こえてくる。
それは幾度も発せられた警告であり、僕自身の悲鳴でもあった。
「うん、解っているさ。アトラス。」
僕は無意味と知りながらも、それに答える。
アトラスは世界を穿ち、外側に出た。あの、賢者の石によって世界を超越した者たちのように。
しかしそれから、いつだって聴こえるのだ。アトラスの悲鳴。もう時間が無いという警告が。
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私はベッドから起き上がり、窓の外を覗いてみる。
空は思いの外暗く、暗澹とした雲が広がっている。
そういえば、あの日もこんな空だった。
この思いを手にした日を思い出し、砂の林檎を一つ窓際に置いた。
「あーあ、全く、こんなことしてくれちゃってさ！」
制服に着替えながら、一人ぼやく。卒業まであと一年。慣れた手つきで支度を済ませ、彼女は学校へ向かって行った。

——アトラスが世界を穿ち、外側に打ちあがったあの日。
意識なく彷徨っていた私を保護し、匿ってくれたのがあの男。いけ好かない博士(アルフレッド・J・コードウィル)だった。
あの男は私に住家と食べ物を与えてくれた。そして僕を興味深いと……何かへと誘っていた。
最も、その時の私は錯乱していた。与えられた食べ物。"欲望の姫君"が私に与えた感情は、私には本来存在しえなかったものだからだ。
「欲望」「望み」。アトラスの夢でしかない僕には、到底理解など出来なかった。いや、今も解っているとは言い難いだろう。
ともかく、僕は混乱した。意味不明な感情に錯乱し、恐怖のあまり逃げ出した。
今になって思えば、もしあのまま彼の手を取る事もまた、面白い未来に繋がったかもしれない。
でも、そうはならなかった。錯乱した私はそのまま警察に保護され、UGNに引き取られる形となった。
そこから暫くは、UGNチルドレンとして育てられた。確かにあの生活は戦闘への慣れには役立ったし、私の命を繋ぐ糧にはなっただろう。
でもそれは、僕の命題「人間であれ」というものと……その時の自覚は無かったが、僕の欲望にも反していた。
だから僕はチルドレンからの離脱を試みた。時にはコネで、時には武力で、時にはジャームさえも利用して。
色々な事があったが、今はUGNの外部協力者という形で落ち着いている。今までの中で、最も命題に近づいたと言えるだろう。
だからこそ……僕はもう、この心の疼きに耐えられなくなっている。僕は、私の欲望を抑える事など出来ない。
僕の欲望。僕は旅に出たい。それもこの地球だけじゃなく、この全天に広がる星々に。
これがアトラスの定めた「人間であれ」という命題に、どれ程反することになるのか想像も出来ないが、きっと僕は完全な逸脱個体となってしまうだろう。
それでも僕はこの欲望に乗ろうと思う。僕の新たな命題は「旅人であれ」だ。UGNから抜けた時に、僕が決めた。

ふと、吹き飛ばされそうなほどの強風が僕を襲う。雲は目に見える程の速度で流れ、偶の切れ目に光が差し込む。
雨にはならないだろうが、今日は中々に風の多い日になりそうだ。
「初名ちゃんおはよー！」
「ああ、おはよ。何か今日は凄い風だね、空も飛べそうなくらいじゃない？」
「あはは、流石に空は飛べないよー」
友人との他愛のない会話。きっと来年には出来ないだろう日々。
「そういや初名ちゃんってさ、卒業後の進路ってもう決めた？」
「あー、うん。もう決めたよ。」
「へえー、あたし未だなんだよねー。ちなみに何するの？やっぱ進学？」
流石に色んなコネで世界中見て回る、なんて事を言う訳には行かないだろう。
「いや、僕はちょっと、外に出てみようと思うよ。海外とか、色んな所に。」
「え、留学するの！？まあ初名ちゃんなら大丈夫かも知れないけど……怖くないの？」
「あはは、怖くないと言えば嘘になるけど、それ以上に見てみたいし。」
友人は勘違いしてくれたようで、そのままで話が進む。
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「そっかー、海外かー……初名ちゃん、どうしたの？」
アトラスの声が聴こえる。友人への返答も含め、私はこう答えることにした。
「大丈夫だよ。僕は何とかなるさ。今はただ、旅を楽しむだけだ。」
風は未だ止まず、ごうごうと吹きすさぶ。普通の人間としての生も、あと一年間。
僕の旅に向けて、あとどれだけの事が為せるだろうか。

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——シミュレーション終了まで、後16分。時間停滞不安定指数--増大中。

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