容姿・経歴・その他メモ

人の近寄らないような秘境、気がついたらたった一人でそこにいた。
深い森の奥、沢山の怖いに追いかけられた。虫、蛇、鼠、猪…数えればきりがない程に、沢山沢山追いかけられた。
いっぱいいっぱい走ってクタクタになって、咳をしたって世界は止まらない。みんな憎くて堪らないって顔をして、躊躇いも無しにこちらへ来る。
それが、とても怖かった。

そんな日、たまたま人が来た。迷ったみたいにぽてぽてと。見ただけで弱そうで、死んじゃうのは嫌だから一緒に逃げた。そしたらその子は帰れたみたい。
ちょっとだけさみしい。
しばらくしたら、その子がまた来た。馬鹿かなって思った。ここは危ないのに。
何かと思って話を聞いたら、お礼がしたいって腕を引っ張られる。そのままされるがままに引きずられていった。
引きずられた先には沢山の果物があった。甘くて熟れたいい匂いにぐー…っとお腹が鳴る。
内緒だよってその子は一つの果物をくれた。真っ赤でツヤツヤしてて、顔を近づけるとふわっと甘い匂いがする。
美味しそうなりんごだった。

それからよく話すようになった。夜中にこっそり耳打ちをして、こそこそって。人に見つかったらいけないから、お昼の間はずーっと狭いところに隠れていた。

でも、見つかっちゃった。

人達は皆びっくり怖がって色んなものを投げてくる。追いかけてくるあれたちとおんなじ顔をしていた。
…最近知ったんだ。自分は怖いって。
自分の顔は骸骨にそっくりなんだって。見てるだけでぞっとするような、怖い骸骨。
だから皆は怖がるかもってあの子は言っていたんだ。
その通りになっていた。

このままだとあの子が怒られちゃうから、ばいばいって逃げ出した。
受け入れてくれたあの子がいたから、同じように受け入れてくれるんじゃないかって、ちょっとだけ、ちょっとだけ期待したけど…駄目だったみたい。

遠くへ遠くへ、遠くへ行って。それ以降は忘れちゃった。

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