容姿・経歴・その他メモ

一人称：僕
二人称：キミ、お前


「お前さえいなければ、僕がこんなオヤジ狩りみたいなクソなことしなくてもマダムの下で悠々自適に暮らせていたのに…！！」

「羽虫の顔をいちいち覚えてる奴なんていないでしょ？それともキミは何、虫の顔の区別がつくのかい？凄いねぇ」

過去

生まれは中国の貧しい家で、幼い頃にFHへ売り飛ばされた。
とあるFHセルで行われた子供の大量覚醒実験の被検体であり、唯一のジャーム化も死亡もしなかった個体。
本来であればそのままFHチルドレンとして育てられるはずだったが、恵まれた容姿からセルリーダーの女に気に入られ引き取られる。
それはつまり、明日の命も無い『実験動物』ではなく、自身の価値を認められたということに他ならなかった。

紫釉に求められたのは主人の夜の相手と、主人を害するFH内の危険因子を彼女の私兵として秘密裏に粛清する戦闘力だった。
殺す対象の詳細が知らされることは無かったが、それは彼にとって些末なことだ。
『マダムを害する敵』だというだけで、紫釉が殺すには十分すぎる理由になる。

転機

2年前、組織から一体の実験動物(モルモット)が逃げ出しセルの情報をUGNにリークしたことで、近隣のUGN支部の介入が始まる。
幾度かの大きな抗争を経て、セルはほぼ壊滅状態に。
主人を逃がすため移動している最中、可緑の介入により孤立し戦闘を挑まれる。
ここまでに連戦を重ね疲弊していたとはいえ、紫釉の渾身の一撃はあっさりと〈時の棺〉で潰され、成す術もなく敗北。
ほぼ同時刻にセルリーダーの女も殺された。

紫釉も捕縛されそうになったがギリギリで逃げ出し、主人と親交のあったFHセルに助けを求め、保護される。
療養し体力も回復した頃、セルリーダーの変態オヤジにケツを掘られそうになる。
ぶちキレて男を殺してそのまま逃走。（何故かタイミング良くセル内はUGNの介入が入っており、混乱していたので逃げるのは簡単だった）

その後は行く宛ても頼る宛ても何なら戸籍すらも無かったので、とりあえず日銭稼ぎに女装＆〈快楽の香気〉で適当なオッサンをホテルに連れ込んで、即気絶させて金抜いてトンズラを繰り返していた。
正直、自分の容姿がこんなに男ウケするなんて知りたくなかった……

そして……

流石にこんな、その日暮らしのゴミカスみたいな暮らしをするのも癪で、こうなった原因を作った可緑に復讐してやろうと情報を求めて猫川美亜を頼る。
結果、なんと変態男のセルはUGNによってあの日壊滅しており、セルで飼っていたジャーム『フェンリル』が逃げ出して街に潜伏中らしい。
その後始末を任されたのが可緑だということが発覚する。

『フェンリル』の調査のために動いている可緑を探し出し、逆恨み全開で仕返しと言う名の喧嘩を吹っ掛けたところ、色々あって恋人繋ぎの状態で手が離れなくなった。（最悪）
とりあえず、どう仕様も無いので可緑について行くことを決めたが、このまま離れられないことを良いことに奴の仕事を（無理やり）手伝うことで恩を売って、UGNにアテを繋げさ(再就職を手伝わ)せる方が美味しいのでは？と閃く。


そうして、それぞれの思惑を抱えつつ珍道中は幕を開ける――――

可緑のこと

紫釉本人は忘れているが、可緑がまだFHの実験施設に居た頃に一度出会っている。
施設から逃げ出した可緑(モルモット)を、マダムの命で誰よりも早く確保したのは紫釉だった。
地に伏せ、痛みに呻く彼を足蹴にしながら紫釉は思った。
バカな奴だと。

逃げ果せるだけの力もないザコのくせに、逃走なんて企てて愚かとしか思えない。
弱者は従順なふりをして尻尾を振っていれば良い。
愛想よく笑って強者に可愛がって貰えるように振舞うだけで、良い暮らしができる。
自分より二回りは年上の女性をベッドで満足させなければならないのはやや骨が折れるが、それだけで寝食に困ることは無いし綺麗な服も与えられる。
反抗するから痛い思いをするし、立場も悪くなるんだ。
そんなことも理解できないなんて、バカな生き物。

見下すように笑った口元を可緑が未だ忘れていないことを紫釉は知らない。





Chou chou……仏／お気に入り

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