都市から離れた山間部に作られた閉鎖的集団(コロニー)
1人のオーヴァードを頂点に、平等と個人の尊重をもって全体の調和と幸福を求める教義のもと、割り振られた役割をこなして集団生活を送っているようなそんな結社。
そこに所属する2人の若者の間に生まれたものの、結社では｢家族｣｢子供と親｣などの役割を認めていないため物心ついた頃からいち成員として教育を受けつつできる仕事(雑用)を任されていた。同じ部屋で生活する大人のことは｢〜さん｣と呼ぶのが習わし。
1990年代のバブル崩壊前後の頃、外から新しい結社員が家族で加入してきた。そこで知り合った小さな同朋から外のことを聞いて興味を持っていたところ、｢祝福｣という名の結社を取り仕切るオーヴァードによる強制的な覚醒の対象に選ばれる。ジャームになればそのまま｢出汁｣の元になり、覚醒すればオーヴァードに使える幹部の仲間入りとなるが、運良く覚醒したその力を使って集落から脱走。以降、UGNに身を置くまでは｢竹馬の友｣｢快楽の香気｣にあたるエフェクトを用いて他人の食卓に紛れ込んでは風呂に入って着替えて眠り、翌朝家人が起きる前に逃げ出すサイクルで各地を転々とすることになる。

集落の外に出たのは30年ほど前。それから十数年ふらふらとしていたが、20年前のレネゲイドウィルス拡散事件からオーヴァードの増加とその存在がある層に認知されるようになってからは、眞形りんも後のUGN日本支部にあたる組織にも他人の家を間借りするオーヴァードがいるとして一応認識はされていた。大きな損害やオーヴァードの存在が暴露されるような危険は無いものの、｢団欒の亡霊(リビングルーム・スペクター)｣の名前と共に把握はされていた(とよい)
痕跡が判明するのは逃げ出したあと、それまでは｢いるのが当たり前の隣人｣として認識される特性上、捕獲は難しく、大きな被害もないためUGNとの接触はFH日本セルなよる事件が起きた16~4年前になる。たまたま居合わせたオーヴァードとして協力したのをきっかけに、当時の日本支部の方向性に共感したため、UGNエージェントとして加入することを本人から希望。潜入・懐柔・情報収集をもっぱら得意とする諜報員として活動することになる。

直接親交を持つようになったのは霧谷さんが情報班へと降格になったころ。
もともと初代支部長の志が嫌いではなかった眞形りんの方から話を聞こうと近寄り始めたのがきっかけ。
UGN日本支部が日本にこうしていられるようになるまでの奮闘、眞形もその枝葉での関わりはあったものの、
中心人物たちの物語を聞かせてもらう代わりになにかと無茶も融通も請け負うようになったのが始まり。
奮闘する霧谷さんに対して観察者のようなポーズをとりつつも今ではその志に一定の信頼を寄せている。
もともと人好きで寂しがりの性分だった団欒の亡霊は彼のことを友人として認めたがっている。言わないけど。

大したことではない。友達になって、親友になって、大事なものをもらって別れるだけ。
時にそれは敵対組織の中で、態度をなかなか軟化させない日本政府の中枢で、そしてUGNに潜り込もうとする「仲間でないもの」の隣に。
本心や情報、内部情勢等、秘めておきたいものほど個人で抱えるには重すぎる。
だから彼らは「信頼できる友人/唯一状況を共にしてくれる戦友」にだけそっと明かしてくれるのだ。それがただの亡霊ということを忘れて。
裏切って信じて裏切って、繰り返したそれは決して平気ではなかったけれど、
自分が自分にできることをすることでUGN日本支部が目指す理想の礎になれるのならと歯を食いしばって笑顔を作った。
そして、自分にとって遠いものになった「信頼と絆」は眞形りんにとって最も大切な日常になった。

古代種のレネゲイドウイルスを保有していたオーヴァード。時折結社員を強制的に覚醒させては開花の方向性に合わせて利用していた。イメージは八百比丘尼。少なくともソラリスではあり、人心掌握と集団操作は得意だった。結社の存在については既に報告済ではあるためもしかしたら既に解体されているかもしれないし逃げ延びているかもしれない(ふわっ)

八尾比丘尼のオーヴァードから感染した古代種のウイルスによって会得したｴﾌｪｸﾄ。
死んだからだを母たる海のかなたから呼び戻す奇跡の儀式。
生まれた場所を良いものと思っていないので、このエフェクトも実際のところそんなに好きではない。

　　　　ﾌ　ｧ　ﾙ　ｽ
ロイス：“昼顔の君”
推奨感情：P慕情／N憎悪
推奨カヴァー／ワークス：UGN所属／UGN所属
【Dロイス指定：「古代種」】
　FHセル「コクーン」は、かつて君が覚醒した場所だ。
　セルの拠点のひとつを壊滅させた折、創造主が死ぬ光景を一度目にしている。
　今ではUGNに所属する君は、日常を守りながら、その傍らでずっとこのセルの行方を追っていた。
　いつか必ず、また「コクーン」はセルリーダーである“昼顔の君”とともにもう一度現れる。その機会が訪れることを半ば確信しながら。

　このたび、根室木市という街に「コクーン」の拠点がある可能性が高いとの情報が君の手元に舞い込んだ。
　君は事態究明のため、当地へ急行する。
　奴の危険性を君は知っている。UGNとしても、必ず対処しなければならない。

　──ああ、耳の奥で奴が笑う。
　涙を流して、「君もだめだった」と突きつけた怪物の。