――覚えているのは、地獄のような灼熱。
そこら中好き放題に延びた炎が手当たり次第に焼き焦がすこの世の終わり。

――悔しかった。
自分の一番大事な人が目の前で殺されそうになっている。

――許せなかった。
たかが右腕が焼き斬られただけで涙を流しうずくまって動けなくなった自分が。

――だからこそ願った。
この絶望に立ち向かえる「力」が。


「力が――欲しいか」

欲しくないわけが無かった。
言葉にするよりも早く、まるで導かれるように"それ"に手を伸ばした。

"アイアンフィスト"如月玄鉄、夢の中にて。

中学生のある日、桜木の誘いで市内の博物館に行った際"マスターレイス"ヨハン・C・コードウェルの襲撃に巻き込まれ右腕を失った。
現地にいたエージェント達が次々に斃される中、ヨハンの眼が意識を失っている桜木を捉えた時、たまたま近くにあった義手の声が脳裏に響いた。
その声に導かれるままにその腕を繋いだ瞬間全身の細胞が作り替えられる感覚とともに再び立ち上がる力を得た。
後の検査の結果、義手はレネゲイドに感染した無機物――EXレネゲイドと呼ばれる準遺産だったことが判明、ワーディング環境下で玄鉄が意識を保てていたのはこれの影響だったと考えられている。

だが、得られた力に比例するように彼の人生も大きくゆがめられることになる。
最初の異変はヨハン撃退直後に起きた。
誰もいなくなった博物館で気がつけば玄鉄は桜木の細首に手を掛けていた。
苦しげな呻き声に正気に戻った彼は自分の身に起きた｢衝動｣に恐怖した。

▼特殊装甲義肢
来歴不明の機械義手で現代技術を超えた代物(オーパーツ)とも呼ばれている。
右上腕部から直に接続されており、人工皮膚により外見・触感は通常のそれと大差ない。
D市博物館で展示されていたが実はEXレネゲイドと呼ばれる、レネゲイドに感染し自我を持つ無機物だった。
自我を持ち、所有者を選ぶという点では遺産(レガシー)に類する物だが影響力の狭さ、弱さから"秘密兵器(トイ・ボックス)"とされており遺産収集チームの対象から外されている。
何より、義手の所有者がFHと敵対しておりUGNに加担していることから保護と監視が出来ているので確保の必要が無いとも言える。

▼ブーストアーマー
特殊装甲義肢を運用する玄鉄に、親UGN派企業の神城グループから評価試験用に貸与された特殊戦闘服。
装着者のレネゲイドを刺激することで戦闘能力を向上させる効果を持つ。
形状は比較的自由に設定でき、玄鉄はこれをマント・コートとして着用している。
普段はレネゲイド反応を抑えるため専用のケースに格納している。

HO2　主人公2
幼馴染の友人、桜木明が目の前で影に呑まれて行方不明になってしまう。
激闘の末、黒幕を撃破し桜木を救出した。
1度失ったことで自分の中の気持ちに気付けた･･･のかも･･･

Sロイス指定：桜木