容姿・経歴・その他メモ

”アズライール。罪人の魂を裁定する天使。
……ああ、これがいい。俺は天使の名を冠する死神、冒涜者として名を馳せよう。”

彼は孤独だった。
幼い頃からオーヴァードに覚醒していた。
両親は多忙かつ横暴だった。後に、離婚した。
母親に金を使い込まれて明日の夕食すら怪しい人間に笑う余裕などなかった。

そんな男に、「大丈夫？」と純真無垢に声をかける女がいた。
自分が本当に欲しかったものを何気なく差し出した人間と恋に落ちるのは一瞬だった。
１年と経たずに結婚して、人生の春を謳歌した。

幸福な時間はあっという間に終わりを告げる。

妻が殺された。
胸に渦巻いたのは筆舌に尽くしがたい苦痛と──復讐心。
彼女こそ自分の全てだったのだから、真っ当に生きる意味など無くなった。
仇を切り刻み、仇に助太刀した悉くを虐殺し、いずれ露と消えるとも。

＊＊＊

彼は自覚のない生真面目だ。
父親からどれだけ殴られようと、離婚して父親の呪縛から解放されたと調子に乗った母親から奴隷のような扱いを受けようと、軽犯罪にさえ手を染めたことは一度としてなかった。
後々の刑罰にまで頭が回るというのもあったが、バツが悪いと踏みとどまってしまうのだ。

加えて、仕事にしろ恋愛にしろ、彼は一切の妥協ができない人間だった。
愚直で、不器用。
常人であれば「もう限界だ」「付き合ってられない」と匙を投げるような場面でも、決して諦めない……諦められない。
それがUGNエージェントとして高く評価された部分であり、恋人と結ばれた理由であり、彼を復讐者たらしめる起源だ。

そんな生き方をしていたら、疲れてしまう。とうの昔に限界は超えている。
……だから、この復讐は、やり残しを無くすための旅路だ。
晴れやかな気持ちで、あの世で妻と再会するための──。

履歴

妻と死別する前のコードネームは”満月（セレニテス）”
セレニテスは古代ギリシャにおけるムーンストーンの名称。妻の誕生石。

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