一人きりの時は《魔王の玉座》で部屋の中を三角座りで｜揺蕩《たゆた》っている。
覚醒して数か月だが、《帝王の時間》の時間操作などによって、シンドロームはそこそこ扱えるようになった。
戦い方は、邪眼から作った星のようなものを敵にぶつける。邪眼が元のため、強力な磁場を持つ。
強く念じ、集中することで時を少し止めれるようになった。《時の棺》

『...星が綺麗だな。』
子供のころ、外国の田舎で眺めた夜空が忘れられなくて。
「いつか、あそこに行ってやるんだ」って、本気で考えてた。
どこまでも続く空を、自由に飛んでいきたいと思っていた。
そんな、少し夢見がちで、普通の人生だった。

それが、急に消えてなくなった。何もかもが壊れて、そして新しく生まれ変わったんだと思う。
まるで、ビックバンみたいに！...さすがに、おもしろくないか。

重力に縛られなくなった。夢が1つ叶った。でも、そんなにいいものじゃないって気づいた。
もっと多くのもので縛られているよう思えて。
身に余る力と、それを好き勝手使っているやつらと、そいつらから日常を守る人たちと。
いろいろなものを見て聞いて、知ってしまったせいで、世界がなんだか窮屈に思えた。
｜宇宙《そら》が昔よりも遠くに感じられて。

だから今は、自分はどうしたいのかを考えてる。こんな｜能力《もの》、本当に必要か？
自分は普通に生きていく事が出来るのだろうか？天文学者に、本当に？
戦いたくない。たぶん。...自信はない。昔までの自分とは違う気がする。
色んな悩みが邪魔をしてる。今の濁ってる眼じゃ、昔みたいな空が見れないんだと思う。
確かなことは、「何かを失うのはもうごめんだ」ってこと。
壊すことしかできないような力だけど、これで誰かを守りたいって、本気で考えてる。

今日も独り、部屋で丸まって、物思いにふける。
ふわふわと、｜宇宙《そら》を｜揺蕩う遊星《アステロイド》のように。
「...また、綺麗な夜空を見てみたいな。」