【生い立ち】
望まれず産まれた為に、両親からの扱いはよくなく、特に父親からは暴力を振るわれた。
母親は、自分を疎んではいたが、子供がいる事で得られる様々な恩恵は手にし、最低限面倒を見てくれた。
この体験を得て自分は、強くなることができたのだと両親に感謝すら覚えている。
そして両親は、幼い時に彼を借金と引き換えに施設へと差し出した。

その施設とは、FHによるオーヴァード覚醒実験のため作られた施設であった。
施設では、レネゲイド適性の高い子どもとして“加工”された。
感情を測る薬、再生速度を試す薬、思考の反応速度を狂わせる薬。
苛烈な実験の末、オーヴァードとして覚醒する事となる。

彼の身体は「適応し、生き残った」側の個体だった。
自身の人生に感謝する。平凡だった自分を「特別」にさせてくれたこの人生に

その後、施設を襲撃したUGNに拾われ、チルドレンとして保護された。
現在は、この支部の監視下に置かれ、支部のエージェントとして活動している。
今は、支部長の家で暮らしている。

【高良　伊織】
最初に見たのは、同じ学校で助っ人に駆け回っている時だった。
かなりのお人好しがいると学校で噂になってたからだ。
最初こそ興味はなかったが、気づけば目で追うようになっていた。
いつも笑顔で、人の為に行動しているあいつから目が離せなくなった。
何故かと考えてみれば、それは人として日常を楽しんでいるからだ。

彼は、俺が捨てたかった「平凡」を愛する人だからだ。
俺にとっていつしか日常の象徴となった彼は、とても輝いて見えた。

俺と彼は、道が違い交わる事はない。
そう思っていた時、あの知らせが届いた。

『高良 伊織が、オーヴァードになった。』

後日保護されUGN施設へとやってきた彼に初めて声をかける事にした。
何て言えばいいか分からない。だが、気さくに不安のないよう声をかけたかった。

「よぉ、相棒。元気かい？俺は元気だぜい！」

こうして俺達の道は交わった。

【あだ名】
小さい頃に友達が、キムタクが訛ってキムタックと呼んだことからそれがあだ名になった。
その響きが本人も気に入っている。