身寄りのない子たち、様々な理由で社会から弾き出された子どもたち。私の所属した教会はそんな子達の最後の受け皿でした。
私もその一人でこの教会の力になれたら良いと思い、教会に残り続けできる限りの教育、自立支援を行ってきました。

皆、悲しみを持っていました。苦しみを秘めていました。不安を、恐怖を心に刻まれていました。
それでも、これからの未来を担う尊い生命でした。必死に明日へと進もうと藻掻いていました。

その日々が灼熱に呑み込まれるまでは──────
その日、私は子どもたちの新しい受け入れ先の視察、日用品や食材の買い出しに出ていました。
子どもたちが喜びそうなお菓子も内緒で自腹で買って、そんなことをしていたら帰りも遅くなってしまって。
帰って目にしたものは
炭化した人型の小さな塊、見る影もなく破壊され融けたガラスが滴る教会だった。

熱が漂う教会を私はがむしゃらに生存者を探した。
けれど何処を探しても、皆で祈りを捧げた小さな礼拝堂も、皆でお昼寝をしていた集会室も、子どもたちのために調理をしていたキッチンも…食堂も何処にも生命は無かった。

捜索を止めて私は、炭化した塊を集めて…集めて…集めて集めて……集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて集めて────

カツンと音がして指先に何かが当たった。
灰に塗れながらも目を奪われるような白磁の造花。
それを掴もうとして

「動くな。」
背後から声を掛けられた。
「UGNの者だ。それから離れろ」
声の主は続ける。
「まさか教会に遺産が秘匿され続けているとは…探すのに手間が掛かった」
「ワーディング内で動けるということはオーヴァードだな。そのまま大人しく…」

渡してはいけない─そう思い咄嗟に手を伸ばして薔薇を掴み逃げた。

次の瞬間、身体にに灼熱を感じ私は絶叫を上げながら倒れた。
「悪いが拘束させてもらう。」
灰に塗れたのたうち回りながら私は

ぁあ…コイツだ。コイツが教会を皆を炎で焼き殺したんだ───
許さない…絶対に。……してやる。

憎悪が汚泥のように溢れて全身を覆っていくのを感じる。

神よ、どうか力を──
私から皆を灰燼へと変え、居場所を壊し、灼熱でこの身体を焦がす、この怪物を■■する力を。宿らせて下さい。

次の瞬間、薔薇が弾け私の身体を包んだ。

身を焦がす熱は、痛みは、もう無かった。
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そこから先はよく覚えいない。
覚えているのは手に残る肉を裂く感触と耳に残る誰かの絶叫だけだった。