彼は幽霊ではなく人の意識の集合体である。その性質は集団行動。
1人では行動出来ず、誰か何かと一緒じゃないと何も出来ない存在である。
明るい人、率先して動く人になれず、ただ追従するのみ…であった。

ゼノス在籍中のとある事件をきっかけに、自身の存在について考えるようになる。
今まで普通に考えていたことが、記憶を失ったことにより、普通に思考できなくなっていた。
「どうして彼らはあんなにも考えて、動くことが出来るのだろう。」
ふと見たUGNチルドレンに興味を持ち、もっと近くで感じたいと思うようになる。
そしてUGNへ入り、エージェント…チルドレンとして任務に赴くようになった。

支部であったのが初めて。集団行動を基とするモブからしてみれば、
1人でいることが多い仲良は理解しにくい存在だった。
チルドレンの観察をしたいが、自ら話しかけるのが難しい彼は遠くから見ているだけだった。
そうして黙って見ていることを続けていた結果、あの事件が起こった。
彼を見ていたから兆候は分かっていた。しかし声をかけることが出来ず、
自責の念が生まれる。もし、もう一度会えるのなら、今度こそ話そうと思う。

彼、彼女は目の前でお別れをすることが出来た。
いや友達でもなかったしお別れは正しいのだろうか。

否。友達になりかけて、そして別れたのだ。
それは遅すぎたのかもしれないし、
ようやく出来た邂逅なのかもしれない。

一つ断言できるのは、彼のことを理解したのが
この瞬間だったこと。

そして私にとっては、数多の私ではなく
ただ1人、友くんを独り占めに出来た。
1人の友達が出来た、気がした。
ただそれだけ。

だから1人でお別れをしたかったの。

そうして多くの人々を巻き込んだ事件は
初音島を壊し、島民が消え、
世界の人々から忘れられました。