蔵森 眞依子は蔵森神社にて昔から神事へ携わっており、両親からも後継ぎなどを期待されていたが、日々の退屈さに辟易し、止めようかと思う事もあった。そんな日常の中のよくある愚痴と将来への不安。それが積もり積もっていた時。事件は起きた。

　蔵森神社にて保管されていた弓鳴用の祭祀弓である形代が、遺産と呼ばれる高濃度レネゲイドに感染した特殊な力を持つ物品であり、それを強奪すべく依頼された傭兵の中でも一際優れたオーヴァードと呼ばれる"狩猟者"伊庭宗一に神社へと侵入され、何の因果か眠れずに深夜を彷徨っていた眞依子と出逢ってしまったのだ。

　そこから"狩猟者"は目撃者排除の為に急襲し、亡き者にしようとしたのだが、咄嗟の行動によってそれを回避。そして死の鬼ごっことなったしまったのだ。それが蔵森にとっての悲劇の最初だった。

　それから死の鬼ごっこが開始してしまった際、偶然物音にて起き上がった蔵森家の長男であり、一歳下の蔵森 竜宏(くらもり たつひろ)が様子を見に来てしまい、姉との間に入る形で"狩猟者"に鉢合わせてしまったのだ。

　"狩猟者"の眞依子狙うはずだった凶刃が、竜宏へと直撃し、一瞬で絶命したと共に、降り掛かる紅い血に反応し、一瞬の意識の混濁の後に、弓が眞依子を選び、オーヴァードとして覚醒させたのだ。

　"狩猟者"と覚醒直後の眞依子の戦闘は初心者でありながら弓の扱い自体は手慣れていた為に肉薄程度は出来たものの、矢張り根柢の実力差は拭えず、じりじりと詰め寄られる事となるのだが、そこに乱入者が登場する。それがセシリアと羽休めの旅行に来ていた"九鬼"の姿で、力の乱発によって気疲れを起こしていた眞依子は両者が死合う中で、気絶し、何時の間にかUGNへ保護される形となった。

　それ以降、殺害された弟の事は事故として処理され、自分だけが真実を知る中で沈黙していたが、眞依子は誓っていた。何時の日か竜宏を殺した"狩猟者"の仇を取ることを。

　蔵森 眞依子が遺産である弓から得たのは穢れと清めを司る陰陽の力であり、相手を害するそれは魔眼の変形によって矢の形状を象る重力の塊を発射する穢れの力と、自らに降り注ぐ災厄を防ぐべく常人では避けられぬ攻撃すらも即座に感知して、回避を取る守りの双方が与えられ、戦闘においてもそれを駆使して戦う。

　エンジェルハイロゥとバロールのクロスブリードなのは間違いないが、明らかに用途が別れる力のそれぞれは巫女であった彼女自身の由来によるものではないかとされており、攻撃性はオーヴァードに目覚めた結果の殺意から来るものだと目されている