数年前、ヒノキ…によく似た桜にレネゲイドウィルスが感染し、意識を持ったオーヴァード。
植物のため、基本的に人間のように食事をしない。

テンションのON,OFFの差が激しいため、周囲からは気分屋とも呼ばれている。

名前はとある少女に付けられた。

一人称

私

某県の山奥に生活しており、動物、特に“ニンゲン”に興味を持っていた。なぜなら、イブという少女がヒノ(木の姿）に話しかけてくれたからだ。
どうしても彼女とコンタクトしたかった私は、身振り(地面に絵を描くなど)をして、対話を図った。

このタイミングで私は、名前をもらった。

私は彼女のことを深く知るために、彼女の使っている言葉を覚えようとした。

彼女に文字を教えてもらい、言葉の発音も丁寧に教えてくれた。

私はさらに、人間に興味を持った。

言葉を覚えた私は、次に人間の“社会”というものに興味をもった。

どうやら人間の社会に入るには｜人形《ニンゲン》にならなければならないようで、
人形に擬態しなければいけなかった。

人型になるのは、どうも大変で。気を抜くと枝が生えてきてしまった。
それ以外にも、大変な事があった。

歩けなかった。歩き方がわからなかった。
大地に根を這って生きてきた、それ故にどうしても立つことはできても動くことが出来なかった。

これは言葉よりも難しかった。

困った末に、彼女の血を小適吸収することで、記憶の一部と体の動かし方を読み取った。

ただ、記憶を持っても、それっぽく動いて、失敗してを繰り返して、何とかものにした。

そして、頃合いを図って人間社会にイブと一緒に出て、生活してみることにした。

イブと一緒に山を降りて、数日。私は人間社会になじめなかった。

大量に人がいる空間。様々な雑音。全てにおいて、山との環境が違いすぎた。

だが、イブとの生活は楽しかった。

今まで飲んだこともなかった上手い水と非常に日当たりの良い部屋。

生活に至っては森よりも良い生活を送っていた。

一時期、生活の差を感じるために、森へ帰った。

数日は静かな時を過ごした。

風の音と、葉の揺れる音。

それも良かったものの、彼女が近くにいないと落ち着かないことに気が付いた。

彼女がいること自体が私の生活の一部になっていることが分かった。

それから数年後、結局のところ、人間社会での生活に慣れて、バイトを行いつつ、生活している。

そして、彼女とある約束をする。

「世界で一番空に近い場所って知ってる？　来年、そこで沢山
の流星を見られるんだって。一緒に見に行きましょう！」

と。

その頃は、あんな事になるとは、思ってもいなかった。

とある日の彼女と共に買物している最中に武装集団に拉致され、ヒノは拷問の末に四肢が動かない状態までダメージを負った。この時、オーヴァードとしての能力(エフェクト)を全く使えなかった状態のため、四肢の再生が上手く行かなかった。

脅迫された挙句、彼女は■■■の末、それでもヒノを助けようと抵抗し、頭を撃たれ、ヒノの前で死亡した。

彼女が目の前居ながら、手の届くところに居ながら助けられなかったことへの後悔、そして、怒りにより、瞬時に四肢が再生。

気が付いた時には武装集団を殺し、その腕に彼女を抱えて雨に打たれていた。