幼い頃、事件から助けて貰った時の憧れから警察官を志す(思えば、この事件もレネゲイドが関係していたのかもしれない)。誰かを守れるかっこいい大人になりたかった。好きな子に「おれがお前を守るから！」とか言っちゃったりして。

そんな何年も前の事を未だにいじってくる妻と、4歳になる元気な息子。忙しいがやり甲斐のある仕事に就き、家族との時間がとりづらい事を除けば満たされた生活を送っていた。


​───────あの日までは。
仕事を終えて帰ったあの日、やけに静かな家の中で見つけたのは
首を締め上げられ動かなくなった息子と、
その首に手をかけた体勢で絶命している妻の姿だった。

無理心中、いや妻がそんな事をするはずが無い。
私利私欲で事件の真相を追っていた信楽の元に特調から告げられたのが「ジャームによる殺害」だった。マインドコントロールによる無理心中に見せ掛けた殺害、それを愉悦する組織FHの存在。
突き動かしたのが果たして正義感だったのか、仄暗い復讐心だったのかは分からないが、その事件を機にストレンジャーズへ転身。以来、且つての明るい言動はなりを潜めただレネゲイドの殲滅の為に武器を振るっている。

＊＊＊

「命と引き換えてでも奴等を根絶やしにしろ！」
訓練中に飛び交った怒号を思い出す。根絶やしにも出来ず、命も懸けられず、復讐も果たせず、正義にもなれなかった、のうのうと生きている俺はきっと死に損ないだ。