▼二つの人格について
実は命としてかたちを持った瞬間からレネゲイドウィルスに感染しており、オーヴァードとして生まれるはずであった。
しかし死産となった兄の魂の一部が妹の魂に癒着しており、妹のオーヴァードへの覚醒を抑制していたために誕生からの6年間を非オーヴァードとして過ごすこととなる。

さらに、2つの魂が混在する肉体は防衛本能から実験によるストレスや潜在的な他人の悪意を癒着している一方の魂──兄の方へと押し付けることで肉体と強く結びついている妹の魂を保護していた。
さながら人体において肝臓へ有害物質を溜め込むかのように、兄の魂へ"悪意"を溜め込んだ。

しかし元より不完全であやふやな、魂の切れ端にすぎないそれへといつまでも負の感情を押し付け続けることは出来ず、溜め込んだ"悪意"は妹の魂へと滲み出した。
その際に抑制されていたオーヴァードの能力も共に流れ出し、結果レイサはオーヴァードに覚醒することとなる。

レイサがオーヴァードとして覚醒して以降は、兄────レイザと名乗る彼────は度々レイサの肉体を借りて表に出てくることがある。
二重人格と酷似しており、特徴は以下の通り。
・2人の間で記憶は共有される。ただし各々の思考は共有されない。
・肉体の主導権はレイサの側に在る。レイザが肉体を使用している場合でもレイサは引っ込めさせることが出来る。
・レイザが表に出てくることを完全に抑制することは出来ない。また、レイサの意識が薄弱になっているとき(眠気、疲労、負傷による体力の消耗時など)は主導権がイーブンに寄り、レイザが出やすくなる。


▼レイザについて
前述のとおり、死産となったレイサの兄。
現在は魂だけの存在としてレイサの裡にいるが、場合によっては表の人格として現れる。

6年の間、レイサが実感するはずだった"人間の悪意"を一身に背負っており、かなりの人間嫌い。
人間の善性を嘲笑し、悪性を強く信じている。レイサ以外の人間に対してはかなり辛辣。基本的に他人を信じず、善意には必ず裏に悪意があると思い込んでいる。
レイサに対しては表向き「脳みそお花畑のおめでたいヤツ」「他人を信じるしか能のない愚鈍」と散々な物言いであるが、実際はこのような境遇で誕生してしまったレイサのことを気掛けており、他人に対して攻撃的であるのはレイサを傷付ける者がいれば事前に排斥するためであったりもする。
また、自分が悪意を引き受けていたこと、それによってレイサだけが護られていた事実は、彼女が知れば傷つくであろうことは想像に難くなく、一切口を噤んでいる。

自分が本来存在し得ない朧の如くあやふやな存在であることに強く自覚的で、いつか自分が消えてしまってもレイサが独りで生きていけるだけの人間性を育むこと、それだけが彼の望みである。

▼能力について
ウロボロスとエグザイルのクロスブリード。
エグザイルではあるものの自分の肉体を変形させることは出来ない。
代わりに"魂"をウロボロスの影として物質化させ、それを自在に変形させることが出来る。
これはレイサの魂にレイザという"自分以外の魂"が生まれつき触れており、無意識で魂の輪郭を捉えているため。
ただし物質化させることが出来る魂は肉体に付随するもの、つまりレイサあるいはレイザの魂のみ。

物質化させた魂は主に大鎌の形をとることが多く、それを振り回しての白兵戦が主。
幼い体躯のため彼女ら自身の肉体の可動範囲は狭いが、物質化した魂は不定形であり予想だにしない軌跡を描くため、侮れば不意の斬撃を受けることになるだろう。
また、悪意の化身とも言えるレイザは対象の敵意を感知し的確に防御をかいくぐることを得意とする。実戦経験は無いに等しいが、ディスアドバンテージを一切感じさせないほどの素質を秘めている。