かつてUGN日本支部の創設メンバーだった女性。
当時は心優しい女性であり、特に新人やレネゲイド関係で悩んでいる人間へ優しくアドバイスをしてあげる事が多い、人望のある人間であった。
当時の戦闘スタイルは、自らの末梢神経を変形させた糸を使った暗殺。


200█年。
FHセル『砂塵のとばり』殲滅作戦の際、当時セルリーダーであった【死皇帝】との正面戦闘によって死亡。
遺体は火葬され、██県███市█群にある墓地に埋葬された。



20██年。
存在が不安定な状態にあるオーヴァードが出現したとしてUGN日本支部へと連絡があり、隊員が駆けつけた所、埋葬されたはずの無色氏が確認された。
性格は到底データベースのものと異なっていたが、身体的特徴が一致していたため日本支部へ護送。

のちに精神鑑定を経て、イリーガルとしてチルドレンの育成にあたる。

地獄（じごく）は、宗教的死生観において、複数の霊界（死後の世界）のうち、悪行を為した者の霊魂が死後に送られ罰を受けるとされる世界。厳しい責め苦を受けるとされる。素朴な世界観では地面のはるか下に位置することが多い。
また、地獄では現実と時の流れが違うといった創作も見られ、中でも地獄の方が時間の流れが数百倍遅いと記述された書物が大半を占める。[要出典]

───民明書房刊『地獄について』より引用

この通り、悪行を犯していないものが地獄へ行くことは無い。
しかし無色氏は、UGNの公式的な文書全てを探っても悪行を犯したという明確な記録が無い。
にも関わらず彼女は「地獄を何千年と体験してきた」と満足げに主張している。

個人的な考察となるが、きっと彼女…いや、無色氏にはこの罰に値するほどの大きな罪を犯した過去があるのだろう。
我々がそれを聞くことは無かったが、いつの日か本人の口から語られることを願うばかりだ。

この疑問に、未だ答えは出ていない。


彼女の言う『地獄』にて、一種の悟りの境地へ至ったのだろうか？
はたまた何かしらの要因で考えを変えたのだろうか。
彼女は現在、主に仏教の教えへと傾倒しているようだ。今のところは。


生前の彼女は敬虔なキリスト教徒であった。
そんな彼女が考えを変える？そんなの有り得るのか！？


ああクソったれ、随分昔に同僚として話したことはある。だけどああまで変わる事があるのかよ！？
昔はハッキリ言ってカルトみたいなレベルで聖書だのなんだのを押し付けてきてたし...

何なんだよ────『地獄』がアイツの何を変えたんだ！？

第一に、彼女は好みが変わった。
何よりも冷たい物とモーツァルト、そして花を好んでいた彼女が、現時点では真逆の物を好むようになった。
例えるなら、熱いものを好きになり、モーツァルト好きが一転してロックを好むようになった。

第二に、平和を好む性格だった彼女が争いを好む性格になった。
戦闘経験もおおよそ、同年代のエージェントより果てしないほどに長く見え、性格もどこか諦観したようなものに変貌している。


これを踏まえ、地獄にいた期間は現実時間と同じ█年間ではなく、数百倍…具体的に言うのならば1000年以上はその『地獄』とやらで過ごしたと考えた方がいいだろう。