本来の攻撃手段は、掌の解放装置から雷のネットを展開する。範囲は広く、並の相手なら問題はない。
のだが、いつのまにかロケットパンチに改造されていた。何してるんだラボ。
これも実験中の素体のプロトタイプらしい。仕方なく運用試験を行うことになった。

かつて生身だった頃、幼い時に筋肉が段々と衰え衰弱していく死病に冒されていた。
10代前半には下半身が、20台になる頃には植物人間となり補助装置なしでは生きられない体となってしまった。
長くとも20台前半までしか生きられないという余命宣告を受けた彼はただひたすら機械に繋がれて死を待つだけしかなかった。

転機が訪れたのはその後。UGNを名乗る女性が彼に一つの提案をする。

「我々の実験に参加しない？引き受けてくれるならばキミの体を責任持って動けるようにする。
　生身とは限らないけどね」

どうやらオーヴァードとやらの資質が見いだされたとの事。
胡散臭さ全開だったが、どの道動くこともままならず死を待つのみだった彼は了承する。

「あら良かったわ。では今後ともよろしくね｜実験動物くん《モルモット》」

こうして中身の体を捨て、全身サイボーグとなった。
以後はラボ預かりの備品扱いとなったが、自由を手にした彼には些細な問題だった。