7年前のある日、当時10歳だった一期は公園でとある本を拾った。
ただの本だと思われたが、実はその本は《禁書》と呼ばれるレネゲイドを纏った本だった。
その本のレネゲイドにより、一期は覚醒。レネゲイドの相性の問題か暴走状態となる。
暴走した一期は、無意識のうちに人を傷つけてしまう。
暴走から目を覚ました時には、周りには怯えた人々の視線が突き刺さっていた。
その視線に耐え切れなかった一期はその場から逃走。そんな一期を拾ったのは、ヴィラン《Mrコバルト》だった。
その後、彼はヴィランとして活動することになる。

ヴィランとして活動して5年が経ったある日、Mrコバルトは次のテロの標的を『星井孤児院』に決めた。
その孤児院は、一期の育った孤児院である(恐らくMrコバルトはわざと標的にしたのだろう)。
さすがに反発した一期だが、計画は既に進んでいた。急いで孤児院に駆け付ける一期だったが、思い出の孤児院は戦場になっていた。
ヴィランとして活動していた一期もまた、駆け付けたヒーローに迎撃されてしまう。
応戦していた一期だったが、声が聞こえてきた。

「あれはぼくたちのおにいちゃんだ！おにいちゃんをいじめないで！」
「あの子はうちの子なんです！どうか傷つけないでください！」

孤児院の子供たち、そして大人たち、孤児院の関係者たち全員が声を上げていた。
その声が、止まっていた一期の心にも届いた。

『あぁ、俺が変わってしまっても、ここは俺の居場所なんだ』

その時、彼は生まれ変わった。
《悪役(ヴィラン)》ではなく、《英雄(ヒーロー)》に。

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