ごく普通の牧場を営む一般家庭で、普通の一般人として育つ。
馬の世話をよく親と一緒に行っており、放牧時には一緒に走ったりしたほど（良い子はマネしないでね）
体を動かすことが好き、走ることが一番好きで、中学からずっと陸上部に所属。
短～中距離、障害物走が得意。

高校卒業も間近となってきたある日、牧場内で見慣れない馬に出会う。他の馬は見えていないのか騒ぐ様子が一切ない。
親に報告しても、彼らにもまた見えていないようであった。
美しい馬体に澄んだ瞳に見つめられると、言葉は通じなかったが、この馬が自分を呼んでいるのだとはっきりと理解できた。
その瞬間、自身の中から何か強いイメージのようなものが湧き上がってくるのを感じた。
目の前の馬に跨り、誰よりも速くどこまでも遠くは知っている姿に身震いするような歓喜を覚えた。

馬は傅くように頭を下げると、背に乗れと言わんばかりに顔を摺り寄せてくる。
促されるまま背に乗ると、まるで元から一つの体であったかのように、意思を共有できていることに気が付く。
馬具もつけていないのに居心地が悪いどころか、高級なソファのような座り心地。試しに走ってみても、本当に馬に乗っているのかと疑ってしまうくらいだった。
一通り走り終えて、馬から降りた時には、少女の姿は激変していた。そして、今まで使うことができなかったはずの、不思議な力を手に入れたのだった。

馬は「リッジ」と名付けられた。
はっきりと覚醒してからは、リッジの姿は誰にでも見えるようになったが、懐いたのは彼女にだけで必然的にリッジの世話は彼女の仕事となった。
突然、出自のわからぬ馬が現れても、娘の姿が変わっても、親も牧場スタッフも今まで通りに接してくれていたため、流香は特に不自由なく過ごしていたが、UGNから派遣されたスカウトによりUGNに入って正しい力の使い方を学ぶよう勧められる。

UGNの訓練所に入った当初はかなり浮いた存在だった。
馬を連れていて、大人の中に一人子供（のような見た目）がいるというような状態だったせい。
本人はあまり気にしておらず、むしろ訓練所の中でリッジを思う存分走らせて上げられるかのほうが重要だった。
たびたび規則違反を犯して夜中に屋外の訓練場へ飛び出したり、物質変化を使ってサボったり、わざとリッジを暴れさせたりするなど、結構好き放題してた。

支部の建物の裏に広い牧場があり、リッジを含めた数頭の馬を飼育している。
支部長の仕事を放り出して、馬の世話にかかりっきりになりがち。本人は「リッジにちゃんと乗りこなせないと、有事に困るのはそっち（支部員）じゃないのか？」と言って逃げ回る。
週末や長期休暇の時には、家族連れのために乗馬体験等を開いている。