自己評価が皆無に等しく、世界は上位の存在により管理されるべきだと考えている。そして、自分は管理される側に立っているとも。
責任を負いたくない、というのが根源であり行動理念である。自分の行動を他人に全て決めさせるのも、自分が何かトラブルを起こしてもその人間のせいにできるから、という考え。
とはいえそれが目的というわけでもないため、常に優秀な人材を探し、可能な限りその人物の判断をあおるようにしている。
自分については何も語らないが、人について語ることがあるのはそれだけ人を観察している、ということの裏返し」

「ワタシたちオーヴァードを隠し通してこの世の中を回していく、ことを目標にしている集団だと。そのためなら、殺人も問わない非道な集団だ、なんて聞いていましたが。
　どんな集団かなんてワタシには関係がなかったのですが、疑問に思うことなら。
　……なぜ、隠し通さないとならないのでしょうか？
　ワタシ以外のオーヴァードはみな、人よりも優れた存在であるのに、彼らに善い未来へと導いてもらう、という考えには至らないのでしょうか」

「ワタシを育て、失敗作と呼び、そしてワタシを導く集団です。そこに何か思うところがあるわけではありませんが」

「途方に暮れていたところを救っていただきました。受けた命令はセル内部の調査とUGNへの接触、情報を絞り出す。
　情報……いったい何の情報を絞ればいいのでしょうか。報告しろ、とも言われてないし……まあ、追って連絡があるでしょう。ワタシは待ちます」

「何度か仕事を共にしただけですが、何故か心配されていたようです。
　ワタシを心配するなんて、よっぽど暇だったのでしょうかね？
　……彼女が捕らえられたこと？ワタシに何の関係があるんですか？
　情報を晒すな、という命令が足りていなかったんです。ワタシに責任があるとはこれっぽっちも」

「UGNから情報を絞れ、という命令に従い接触しました。戦闘能力は高いと見ていいでしょう。
　しかし、何故ワタシを戦闘員だと勘違いしたのでしょうか。どう見ても戦闘員じゃなさそうな佇まいで、そもそも戦うつもりがないと最初に言ったと思うのですが。
　まあ、でも取引に応じてくれたので、問題ないと思います。おそらく」

「彼はワタシと同じ支配されるべき存在……だと思っています。たぶんまだ。
　それを押し付けたいわけではありません。でもあの時、あの殺意を向けられて……そうですね。驚きました」

「彼女はおそらくワタシと同じような生まれでありながら、ワタシにはできないことをした。
　しかしその結果が今回の事件を起こした。責任を問うとしたら間違いなく彼女にも矛先が向く」
　やはり、弱者は強者に管理されるべきでしょう。彼女は今どう思っているのでしょうか？」