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FHに0歳参加

　1979年、俺は中国で次男として生まれた。当時はなんちゃら政策ってのによって、俺の存在は非常に危うかった。だが、両親は俺のことを見殺しにできなかったらしい。偶然アメリカから来た神父がいたもんだから、そいつに引き取ってもらうことにしたわけだ。その神父がFHのエージェントだってことも知らずにな。

俺の居場所は戦場だった

　FHで育った俺は、戦場に自分の意味を見出していた。別に戦いが好きっていうわけじゃない。だから、結構サボってた。何なら、敵のエージェントと楽しそうに会話することだってあった。別に戦場で重要なのは戦うことじゃない。当時の俺にとって、戦場において一番重要だったのはいろんな人間との出会いだった。
　敵も味方も十人十色だ。戦場に来てる理由も、戦う理由も、生まれも、境遇も何もかもが違う。それを聞くのが、おもしろい。そんな連中と一緒に戦ったり、はたまた殺し合ったりするのが何より楽しい。俺にとって戦場での戦いは、あくまでもコミュニケーション手段の１つでしかないわけだ。
　ガキの頃はコミュニケーションの中心が戦いにあったが、齢をとるにつれてだんだんと普通の会話の方が楽しくなってきた。というよりも、戦いによるコミュニケーションに疲れが生まれ始めた。戦いなんてコスパが悪いものよりもやりやすい方法があるなら、そりゃそっちの方に流れるってもんだ。そして、その戦いのコミュニケーションを止めるきっかけになったのが、香織ってわけだ。

これが運命の出会いってわけだ

　日本で仕事してたときの話だ。確か、日本に流れた｜裏切り者《ダブルクロス》を殺す任務だったかな？そいつを仕留める時に偶然近くにいた女が香織ってわけだ。
　香織は別になんてことない普通の日本人だ。オーヴァードでもなんでもない。華奢でガキかってくらいちみっこい日本人。でも、目が違ったんだ。ワーディングの中で半分くらい意識を保ったまま、俺のことをすごい目で睨んできやがったんだ。普通は人殺しなんて見たら、正義感の塊みたいなアメリカ人だって怯えて目を泳がすぜ。それなのに、香織はビビることもなく俺に怒りをぶつけてきたんだ。
　戦場にもそういう奴らはいたが、あいつらは戦場を知ってるやつらだ。でも、香織は知らない。戦場ってもんを全く知らないただの日本人が、こんなにも俺を睨みつけてくる。そんな彼女の強烈な視線を感じた、その時だろうな。俺が恋に落ちたのは。

現在

　その後はなんやかんやあって彼女と付き合うことになって、見事にゴールイン。付き合う時にいろいろ条件つけられちまったから、適当な日本風の辞表を投げつけてFHは辞めさせてもらった。今は何でも屋として働いてる、その辺のおっさんだ。みんなも『万屋 テラス』をよろしくな！

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