UGN組織内にて誕生。 両親は不明。
　最初は普通の人間であったが、研究機関の手で能力を覚醒し、オーヴァードとなる。
　以降、チルドレン候補生として施設にて収監された。
　厳しい日々の始まり。 優秀な成績でないと寝食さえも制限されてしまう毎日。
　自由に過ごす為に、生きる為には訓練・勉学・実技共に高い成績を収める事しか方法はなかった。

　候補生の最終試験。
　エージェント共に施設外で起きたジャーム処理の任務を受け、無事に達成する。
　仲間達が任務の報告中、初めての外の世界を見ていた時にたまたまアイス屋が目を引いた。
　カラフルな見たこともないもの。 しかも、食べれるみたい。 気になる。
　興味深そうに眺めてると、猫背の男がアイスを差し出してくれた。 …美味しい……！
　レネゲイトの事しか知らない彼女にとってはアイスは夢のような存在であり、心を奪われた。
　喜ぶ彼女の姿を見て、猫背の男は口を開いた。

　「もっと良いものがありますよ」

　その言葉は何も知らない子供にとって魅力的だった。
　これが猫背の男、"ソウルコレクター"との初めての出会いであった。

　猫背の男の誘いに乗り、FHへと移った。
　大きな理由なんてない。 ここは未知な出来事がたくさんあった。
　UGNと違って、自由に過ごせる。 敵の彼らも他の人と大して変わらない。
　施設の仲間と似たような子もいるけど、ここだと交流してもいいから傍にいれる。
　一人で食べるよりも皆で食べる方が美味しいのも、ここで教えてくれた。

　そんな日々が続く中、一つの事件が訪れる。
　いつものセル同士の争い。 ただし、今回は街中さえも広がる程の抗争だった。
　そこで小さな事件が起きる。 かつて一緒に食べたアイス屋が抗争の余波で破壊されたのだ。
　壊れた建物を見て、思考が止まった。　そんな時、隣にいた男が口を開いた。

　「あたし達がしている、いつもの事ですよ。」

　…―――あとの記憶は覚えていない。
　ただ気付いたら、交流していた子が自分を引っ張って一緒にFHから離れた。
　孤独になった。 全部なくなった。 思い出も、仲間も、全部。 失ってしまった。

　そんな時、思い出してしまった。
　最初の記憶。 UGNの小さな思い出。 「UGNの使命は日常を守る事」だと。
　日常――…思い出を、守りたい。
　決意を固めた彼女は一緒にいた子と共にUGNへと戻ったのであった。　

　UGNへ復帰し、時を経た。
　いつものように自由に過ごし、与えられた任務を遂行してアイスを食べる日々。
　FHにいた過去からUGNに警戒されていたが、気にする事なくアンジュは日常を過ごしていた。

　そんな日々を過ごす中、一つの任務が与えられる。
　一人の少年がレネゲイト能力を覚醒した事件。 それはFHの手引の線が強い事。
　その中には因縁の相手と言える"ソウルコレクター"が活動している、という情報。
　かつては親しい相手であったが、日常を脅かす彼の行動は許す事はできない。
　彼の行動を止めないといけない。 静かに決意を抱き、同席した支部長と共に任務を励んだ。

　任務の中で様々な出来事が起きた。
　一人の少年、「宮森 時雨」が強い決意を持って、日常を守る為に戦った事。
　一緒に抜け出したFHの人物、「村雨 透子」との友情を理解できた事。
　UGNの戦いがどういうものなのかを「ハルシオン・トリアゾラム」が教えてくれた事。
　…そして、相変わらず日常を壊し続ける"ソウルコレクター"との戦い。

　事件は無事に終わった。 しかし、"ソウルコレクター"を取り逃した。
　戦いには勝ったものの、日常を脅かす彼を止める事はできなかった以上は自分の敗北だ。
　だが、その事を気にせず、いつものようにアイスを食べるアンジュに近づく人物がいた。
　猫背の男。 …FHに入っていた頃の自分の日常の一つだった彼が接触してきた。
　とはいえ、特別な事はしない。 あの時と同じようにアイスを一緒に食べて雑談した程度くらいだ。
　違う点があると言えば…、今回は自分もお金を払った事であった。