彼は思考することが出来ない。
彼はFHエージェントの子として生まれた。そこでは名前を呼ばれることはなかった。
なぜなら使い勝手の良い戦力として、デザイナーベイビーから作られているからだ。
自分で動けるようになってからは親の犯罪に使われるようになり、
ただ無心に道具として使われる日々を過ごすようになる。

とある日のUGNとFHとの抗争によって小さな世界が終わった。
自身を縛っていたものは死に、今後どうするべきか、初めて考えるようになる。
しかし自分の意思で判断したことがないため、上手く考えられない。
悩み続けていた時、UGNエージェントに発見され保護される。

自分のいた環境が普通ではないこと、今後はUGNチルドレンとして扱われることを伝えられた。
いまいち実感が湧かない。今までの生活がおかしいものと言われても判断がつかない。
そんなことを伝えると、UGN支部の図書館へ連れて行かれる。

「ここで知識を蓄えなさい。そうすれば、自分の何故を解決できる筈さ」

そしてこの図書館が彼にとって初めての家となった。