実家の古い蔵に眠っていた呪物『常闇の剣』。とある古い民話が残っていた港街の瀧川の出身地には、それを封じたとされる呪剣が存在し、日食の昼に家々へと渡り、祀り封じていく風習が存在した。

　ただの風習である筈の呪剣には確かに故と実が存在し、それを狙ったのがFHである。港町の離れて一年目の夏休み、盆休みの際に発生した日食時の事件により、常闇の剣を触媒に"無貌の神"と称される神の召還する事態が発生したのだ。

　儀式の最中、FH達の妨害の為に登場した["ノーデンスの槍"黒須左京]と行動を共にしていた瀧川は攻めあぐねる黒須の危機を察し、オーヴァードではなかったが故の脅威と見做されなかった隙を付き、常闇の剣へと触れた。

　数々の影が瀧川を覆い、瀧川を触媒として神々へと成ろうとしていた矢先、夢幻の人物である[ランドフル・カーター]の接触を受け、助言と共に影を飲み込み受け入れる事で、黒かった髪の色素が抜け落ちると共に"無貌の神"の力のほんの一端を引き受けたオーヴァードへと覚醒したのだ。

　それから黒須の伝手にて、就学中の高校付近の支部を紹介され、同じUGNイリーガルとなった。未だに夢は途切れていない。ただ加えられただけだ。「同じ目に合う奴を増やしてたまるか…！」と。

　島根県太田市に残る民話「影わに」を発端とした影の怪異を封じた剣。本来は魚達の怨念が形となった筈の怪異が、邪神因子との結びつきと共に、日本神話の影響が色濃くなる地にて、近年の創作の妖怪[空亡]の力を"無貌の神"の戯れが混じった事で強大な力を有した呪剣。

　その性質は[あらゆるものの影を孕む剣]であり、影の中には無双と呼ばれた剣士や武将、大いなるものと呼ばれた神々や神話生物、自然物も含めた様々な影が内包されたと伝承付けられた剣である。

　原初の影と言う性質に近いそれは、[起源種]に類似した部分も存在し、瀧川はそれを抑え込む事で限定的ながらも自らの影に過去の影を重ねる事で、様々な技や力を真似る事を可能にしている。