とある実験施設では「オーヴァードを人間に戻すため」の実験が行われていた。
そのためオーヴァードではない子どもを拾ってきては、レネゲイドウィルスにかかる前とかかった後の変化を観察していた。
久永もかつてその1人だった。覚醒は15の『実験動物』の中で最も遅く、もっとも最悪だった。
施設内部では親代わりの研究員が、「実験動物」をUGNに逃がそうとしたのだ。
しかし、救援信号を送ったデバイスは組織の監視下にあり、救援信号を送ったことはあっという間にバレた。
親代わりの研究員は、彼女を庇ってジャームに襲われ…不幸にもそれが、グレイプニルシンドロームを有していた。
研究員は完全にジャーム化する前に、討たれることを選んだ。
そこから気が狂いそうな脱出劇が幕を開ける。
グレイプニルはあっという間に施設内に拡張し、ミストルティンを持たぬ「実験動物」はあっという間にジャーム化し、彼女がトドメを刺し続けた。
ただし、矢にも撃てる数に限りがある。
だからーーー
「ごめんなさい、さようなら」
研究資材に矢を打ち込んで、起爆する。
そうして赤だけが残った。