犀川 楼介
プレイヤー:ちあり
- 年齢
- 15
- 性別
- 男
- 星座
- 身長
- 体重
- 血液型
- ワークス
- 中学生
- カヴァー
- 中学三年生
- ブリード
- クロスブリード
- シンドローム
- ブラックドッグ
- ハヌマーン
- HP最大値
- +10=40
- 常備化ポイント
- 2
- 財産ポイント
- 0
- 行動値
- 8
- 戦闘移動
- 13
- 全力移動
- 26
経験点
- 消費
- +67
- 未使用
- 18
ライフパス
出自 | 複数の兄弟姉妹がいる。 | |
---|---|---|
複数の兄弟姉妹がいる | ||
経験 | 両親の離婚、思い出の場所にビルが建つなど、環境の変化があなたにとって大きな転機となった。 | |
大きな転機 | ||
邂逅 | 確かに彼と出会ったことがある。しかし、それはいつどこでだったか……。 | |
忘却 | ||
覚醒 | 侵蝕値 | 君は選ばれた。多くの被験者の中で君だけが選ばれ、力を手にした。君の存在は、多くの失敗の上に成り立っている。研究の成果こそが君なのだ――。 |
素体 | 16 | |
衝動 | 侵蝕値 | 憎いゆえに殺したいわけではない。恐怖に震え、生へ執着する命が消えゆく様が見たいのだ。 断末魔の叫びが聞きたいのだ。ぞくり、これから起こるだろう出来事に身体を震わせ……ゆっくりと君はそのおもちゃに手を伸ばした。 |
殺戮 | 18 | |
その他の修正 | 4 | ハードワイヤード:4 |
侵蝕率基本値 | 38 |
能力値
肉体 | 4 | 感覚 | 3 | 精神 | 2 | 社会 | 1 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
シンドローム | 2+1 | シンドローム | 1+1 | シンドローム | 1+1 | シンドローム | 0+1 |
ワークス | ワークス | 1 | ワークス | ワークス | |||
成長 | 1 | 成長 | 成長 | 成長 | 0 | ||
その他修正 | その他修正 | その他修正 | その他修正 | ||||
白兵 | 4 | 射撃 | RC | 2 | 交渉 | ||
回避 | 1 | 知覚 | 1 | 意志 | 1 | 調達 | |
知識:機械操作 | 2 | 情報:噂話 | 1 |
ロイス
関係 | 名前 | 感情(Posi/Nega) | 属性 | 状態 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
Dロイス | 亜純血 | ― | このDロイスは、クロスブリードのキャラクターしか取得できない。自身の取得しているシンドロームの内、ひとつを選択すること。あなたは選択したシンドロームに属する「制限:ピュアブリード」のエフェクトをひとつ、1レベルで取得する。これには経験点は必要ない。このエフェクトは経験点を使用して成長させることはできない。ただし、あなたは選択しなかったもう片方のシンドロームに属する「制限:100%」のエフェクトを取得することはできない。 | ||||
シナリオロイス | ホロ | 友情 | / | 不安 | |||
止水 明 | 友情 | / | 嫉妬 | ||||
成瀬 鐘 | 友情 | / | 劣等感 | ||||
都築京香 | 傾倒 | / | 脅威 | REC | |||
青峰ミユキ | 誠意 | / | 敵愾心 | ||||
シリウス | 尊敬 | / | 不安 |
エフェクト
種別 | 名称 | LV | タイミング | 技能 | 難易度 | 対象 | 射程 | 侵蝕値 | 制限 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
リザレクト | 1 | オートアクション | ― | 自動成功 | 自身 | 至近 | 効果参照 | ― | |
(LV)D点HP回復、侵蝕値上昇 | |||||||||
ワーディング | 1 | オートアクション | ― | 自動成功 | シーン | 視界 | 0 | ― | |
非オーヴァードをエキストラ化 | |||||||||
コンセントレイト:ハヌマーン(EA P.129) | 2 | メジャーアクション | シンドローム | ― | ― | ― | 2 | ― | |
集中力を発揮するエフェクト。組み合わせた判定のクリティカル値を-Lvする(下限値7)。取得時に自分の取得しているシンドロームから一つを選び、≪コンセントレイト:サラマンダー≫のように記述して、シンドロームごとに別エフェクトとして扱う。また、このエフェクトは選択したシンドロームのエフェクトとして扱うこと。 | |||||||||
ハードワイヤード(EA P.40) | 5 | 常時 | ― | 自動成功 | 自身 | 至近 | ― | ― | |
自身の肉体を機械化させていることを表すエフェクト。あなたはブラックドッグ専用アイテム(P136)からLV個選択し、常備化できる。GMが許可すれば、プリプレイで選択し直せる。このエフェクトは侵蝕率でレベルアップしない。このエフェクトを取得した場合、侵蝕率基本値を+4する。 | |||||||||
バリアクラッカー(EA P.41) | 1 | メジャーアクション | 〈白兵〉〈射撃〉 | 対決 | ― | 武器 | 4 | 80% | |
防御を無効化するエフェクト。このエフェクトを組み合わせた攻撃に対して、対象はガードを行えない。また、この攻撃に対してカバーリングを行った場合、ガードを行ったものとしてダメージを算出できない。さらに対象の装甲値を無視してダメージを算出する。このエフェクトは1シナリオにLV回まで使用できる。 | |||||||||
雷鳴の申し子(EA P.42) | 1 | メジャーアクション | シンドローム | 対決 | ― | ― | 5 | ピュア | |
肉体の限界を超えて、発電細胞に電撃を生じさせるエフェクト。このエフェクトを組み合わせた攻撃の攻撃力を+あなたの[最大HP-現在のHP]する。ただし、このエフェクトを使用したメインプロセスの終了時にあなたはHPが0となる。このエフェクトは1シナリオにLV回まで使用できる。 | |||||||||
援護の風(EA P.74) | 5 | オートアクション | ― | 自動成功 | 単体 | 視界 | 2 | ― | |
風を操ることで、他人の行動をサポートするエフェクト。対象が判定を行なう直前に使用する。その判定のダイスを+LV個する。このエフェクトは1ラウンドに1回まで使用できる。 | |||||||||
電光石火(EA P.76) | 3 | メジャーアクション リアクション | 【肉体】【感覚】 | ― | ― | ― | 3 | ― | |
肉体の限界を遥かに超えたスピードと反射神経を発揮するエフェクト。このエフェクトを組み合わせた判定のダイスを+[LV+1]個する。ただし、あなたは1D点のHPを失う。 | |||||||||
マシラのごとく(EA P.77) | 3 | メジャーアクション | シンドローム | 対決 | 単体 | ― | 5 | 80% | |
高速化された神経伝達による超高速の攻撃を行なうエフェクト。ただし、そのあまりの速さに制御は難しい。このエフェクトを組み合わせた攻撃の攻撃力を+[LV×10]する。ただし、このエフェクトを組み合わせた判定のダイスは-5個される。このエフェクトは1シナリオに1回まで使用できる。 | |||||||||
電波障害(EA P.43) | 1 | メジャーアクション | ― | 自動成功 | シーン | 視界 | ― | ― | |
電波をかく乱し、周囲の無線電波を使用した通信やレーダーを遮断するエフェクト。携帯電話、トランシーバー、無線LAN、短波通信、警察無線などは使用不能となり、一帯のレーダー網も無効化される。GMは必要と感じたなら、<RC>による判定を行わせてもよい。 |
コンボ
増幅
- 組み合わせ
- 援護の風
- タイミング
- オートアクション
- 技能
- ―
- 難易度
- 自動成功
- 対象
- 単体
- 射程
- 視界
- 侵蝕値
- 2
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
- ~99%
- 100%~159%
- 160%~
【ダイス】を+(5/6/7)個する。
通電
- 組み合わせ
- ヴィブロウィップ
- タイミング
- マイナーアクション
- 技能
- ―
- 難易度
- 自動成功
- 対象
- 自身
- 射程
- 武器
- 侵蝕値
- 0
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
シーンの間、この武器の攻撃力を+5。
直撃
- 組み合わせ
- コンセントレイト + 電光石火
- タイミング
- メジャーアクション
- 技能
- 白兵
- 難易度
- 対決
- 対象
- 単体
- 射程
- 武器
- 侵蝕値
- 5
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
- ~99%
- 4+4
- 8
- 4-2
- 10+5
- 100%~159%
- 4+5
- 7
- 4-2
- 10+5
- 160%~
- 4+6
- 7
- 4-2
- 10+5
- 4+4
白兵攻撃。【ダイス】を+(4/5/6)個。【C値】を-(2/3)。【HP】を-1Dする。
過負荷
- 組み合わせ
- (援護の風) + コンセントレイト + 電光石火
- タイミング
- メジャーアクション
- 技能
- 白兵
- 難易度
- 対決
- 対象
- 単体
- 射程
- 武器
- 侵蝕値
- 7
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
- ~99%
- 4+9
- 8
- 4-2
- 10+5
- 100%~159%
- 4+11
- 7
- 4-2
- 10+5
- 160%~
- 4+13
- 7
- 4-2
- 10+5
- 4+9
白兵攻撃。【ダイス】を+(9/11/13)個。【C値】を-(2/3)。【HP】を-1Dする。
過流
- 組み合わせ
- (援護の風) + コンセントレイト + 電光石火 + バリアクラッカー
- タイミング
- メジャーアクション
- 技能
- 白兵
- 難易度
- 対決
- 対象
- 単体
- 射程
- 武器
- 侵蝕値
- 11
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
- 80%~99%
- 4+9
- 8
- 4-2
- 10+5
- 100%~159%
- 4+11
- 7
- 4-2
- 10+5
- 160%~
- 4+13
- 7
- 4-2
- 10+5
- 4+9
白兵攻撃。【ダイス】を+(9/11/13)個。【C値】を-(2/3)。【HP】を-1Dする。ガード不可。装甲値無視。
閃光
- 組み合わせ
- (援護の風) + コンセントレイト + 電光石火 + バリアクラッカー + マシラのごとく
- タイミング
- メジャーアクション
- 技能
- 白兵
- 難易度
- 対決
- 対象
- 単体
- 射程
- 武器
- 侵蝕値
- 21
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
- 80%~99%
- 4+4
- 8
- 4-2
- 10+5+30
- 100%~159%
- 4+6
- 7
- 4-2
- 10+5+40
- 160%~
- 4+8
- 7
- 4-2
- 10+5+50
- 4+4
白兵攻撃。【攻撃力】を+(30/40/50)。【ダイス】を+(4/6/8)個。【C値】を-(2/3)。【HP】を-1Dする。ガード不可。装甲値無視。
臨界
- 組み合わせ
- (援護の風) + コンセントレイト + 電光石火 + バリアクラッカー + 雷鳴の申し子
- タイミング
- メジャーアクション
- 技能
- 白兵
- 難易度
- 対決
- 対象
- 単体
- 射程
- 武器
- 侵蝕値
- 16
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
- 80%~99%
- 4+9
- 8
- 4-2
- 10+5+n
- 100%~159%
- 4+11
- 7
- 4-2
- 10+5+n
- 160%~
- 4+13
- 7
- 4-2
- 10+5+n
- 4+9
白兵攻撃。【攻撃力】を+[最大HP-現在のHP]。【ダイス】を+(9/11/13)個。【C値】を-(2/3)。【HP】を0にする。ガード不可。装甲値無視。
絶縁
- 組み合わせ
- (援護の風) + コンセントレイト + 電光石火 + バリアクラッカー + 雷鳴の申し子 + マシラのごとく
- タイミング
- メジャーアクション
- 技能
- 白兵
- 難易度
- 対決
- 対象
- 単体
- 射程
- 武器
- 侵蝕値
- 21
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
- 80%~99%
- 4+4
- 8
- 4-2
- 10+5+n+30
- 100%~159%
- 4+6
- 7
- 4-2
- 10+5+n+40
- 160%~
- 4+8
- 7
- 4-2
- 10+5+n+50
- 4+4
白兵攻撃。【攻撃力】を+[最大HP-現在のHP]+(30/40/50)。【ダイス】を+(4/6/8)個。【C値】を-(2/3)。【HP】を0にする。ガード不可。装甲値無視。
武器 | 常備化 | 経験点 | 種別 | 技能 | 命中 | 攻撃力 | ガード 値 | 射程 | 解説 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ヴィブロウィップ(EA P.136) | 白兵 | 〈白兵〉 | -2 | 10 | ― | 10m | 指先に埋め込むワイヤーウィップ。高速振動機構を持ち、起動することで脅威的な切断力を誇る。普段は指先に収納されているが、イニシアチブプロセスにオートアクションで装備できる。このアイテムを取得するには、≪ハードワイヤード≫で取得できるアイテム3個分が必要となる。マイナーアクションを使用することで、そのシーンの間、この武器の攻撃力を+5する。 |
一般アイテム | 常備化 | 経験点 | 種別 | 技能 | 解説 |
---|---|---|---|---|---|
ダーマルプレート(EA P.137) | その他 | ― | 皮膚の下に埋め込む装甲板。肉体の耐久力を強化する。 あなたの最大HPを+5する。複数取得した場合、この効果は重複する。 | ||
ダーマルプレート(EA P.137) | その他 | ― | 皮膚の下に埋め込む装甲板。肉体の耐久力を強化する。 あなたの最大HPを+5する。複数取得した場合、この効果は重複する。 | ||
思い出の一品(基1 P.180) | 2 | その他 | ― | 二人の親友との想い出。/あなたが行う<意志>判定の達成値に+1する。 | |
コネ:都築京香(HR P.63) | リレーション/コネ | 解説参照 | REC:都築京香 ◇通常効果 あなたが行う任意の<情報:>判定の直前に使用する。 その判定のダイスに+5する。1シナリオに1回まで使用できる。 ◇強化効果 通常効果をあらゆる判定の直前に使用し、ダイスを増加させることができる。 | ||
コネ:青峰ミユキ(HR P.67) | リレーション/コネ | 解説参照 | REC:青峰ミユキ ◇通常効果 あなたが行う<情報:ゼノス><知識:レネゲイド>判定のダイスに+2個する。 ◇強化効果 あなたが行う<情報:ゼノス><知識:レネゲイド>判定の達成値に+3する。 |
経験点計算
能力値 | 技能 | エフェクト | アイテム | メモリー | 使用総計 | 未使用/合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
10 | 12 | 157 | 0 | 0 | 179 | 18/197 |
侵蝕率効果表
現在侵蝕率:
容姿・経歴・その他メモ
設定
四人兄弟の次男。
普段のテンションは低め。世話焼き。家事スキル高い。
近所のジャンク屋の好意で、中一の頃から内緒でバイトをさせてもらっている。
趣味はアマチュア無線。兄貴のお下がりの機材に、自分のなけなしの小遣いで増築を重ね、少しずつ受信範囲を広げている。
苦しい家庭環境を抱えており、周囲との友好関係を閉ざしがちな楼介にとって、根気良く付き合ってくれるPC2、PC3には信頼を置いており、自身のオーヴァード能力についても共有している。時折友人のスマホを通信不可にしていたずらする。
が、来年の春引っ越すことは言えてない。すごく言いづらい。
戦闘時に使う武器は特殊なテンションワイヤー。電流を流すことで殺傷力やリーチを高める。
家族構成
父 :不明
母 :犀川 優香
長男:犀川 幾人
次男:犀川 楼介
長女:犀川 花火
次女:犀川 仁菜
経歴
父親はいわゆる毒親で、幼少期の家庭環境は不幸そのものだった。
末の子を母親のお腹に残して、楼介が三歳の頃、父親は家を出ていった。
母親は一馬力で四人の子どもを養うため、無理を押して働き詰めの日々を送ることになる。
長男は秀才で、学業も素行も優れ、家計を支えながら歳の離れた兄弟たちを気遣う人格者だった。
家族は皆が長男を頼りにし、周囲からも信頼を集めていたが、楼介が七歳の頃、突如として理由もわからないまま姿を消す。
その実態は、彼が持つオーヴァードとしての才能を狙った誘拐だったが、真相を知る者はいなかった。
当時高校生だった彼が家庭環境に耐えかねて家出したのだろうと周囲では囁かれ、一家はさらに苦しい時期を迎えた。
そしてさほど時を置かず、二月後。楼介もまた、オーヴァードの能力を発現させる。
過酷な環境下のストレスが原因となり、彼の精神が生み出した一種の逃避反応とも言えたが、最初に顕れたのは「電波障害」の力だった。
楼介にとって唯一の趣味であり、逃避先でもあった無線交信を阻害する、その頃の彼には最も不要な能力だった。
楼介は自分の能力を忌み嫌いながらも、それを制御しようと苦心する日々を送る。
数か月ほど経ったある夜、彼の力が暴走し、無線機が本来の性能を超える送信範囲へと電波を拡散させてしまう。
電波に残留するレネゲイド因子に注目したアルフレッド・J・コードウェル博士により身柄を確保され、楼介は極秘裏に人体実験を施されることになった。
その実験は、楼介の能力、正確には戦闘能力を大幅に向上させる一方で、能力使用に伴う重大な身体的リスクを負わせるものだった。
検体として記憶処理を施された彼は解放され、以降もモルモットのように経過観察を続けられている。
楼介はその夜の出来事を一切覚えておらず、「ある日突然、能力が制御できるようになった」と感じているに過ぎない。
家計を支えるため、楼介は自身の進路も慎重に考えざるを得なかった。
少しでも母の負担を減らそうと、生活費が浮く祖父母のいる札幌での高校受験を決め、来年の春には引っ越す予定でいる。
挿話
薄暗い朝、冷たい空気が頬に触れる。
古びた窓から漏れる隙間風が、薄いカーテンをかすかに揺らして冷気を運んでくる。
俺は静かにベッドから這い出て、妹たちがまだ眠っている間に台所へ向かい、こぢんまりとした空間に立つ。昨夜の残りの米を小鍋に入れ、手早く水を足してかき混ぜ、慎重に火を入れた。
冷たい手を擦り合わせながら、小さなフライパンを用意し、冷蔵庫から卵を2つ取り出す。少ない材料でかさを増やすには、だし巻き卵がいい。出汁を多めに注いで卵液を混ぜると、いつもより柔らかくて巻きにくいが、慣れた手つきで仕上げていく。温めたフライパンに油を引き、卵液を流し込むと、じゅうっと音を立てて湯気が立ちのぼる。手前にふわりと巻き上げるたび、だし巻きが少しずつ厚みを増していく。最後のひと巻きまで完璧に終えると、小さな達成感が広がった。
小鍋のお粥もだんだんと湯気を立て、米がほぐれてきた。軽く混ぜて、柔らかく煮えたところに冷蔵庫で少ししなびた青菜を刻んで加える。これだけの朝食でも、鍋から立ちのぼる香りが部屋に広がると、なんとなくほっとする。
朝食ができたことを確認し、ふと眠っている妹たちの顔が浮かぶ。
いつもより少し早く準備ができたことに安心しながら、母さんの疲れが少しでも和らげば、とそう思った。
◆◇
家に父親がいないのは、俺が物心つく前からだ。どうやら碌でもない男だったらしく、母さんはあまり話したがらない。別に構わなかった。俺の記憶の奥にあるのは、俺を抱き上げる母さんの腕と、たまに見える兄貴の背中。少し歳が離れた兄貴は、いつもそばにいて、母さんの代わりに俺や妹の面倒をよく見てくれていた。聡明な人だった。要領がよく、何でもすぐに理解してしまう兄貴は、家族の中で一番頼りになる存在だった。
兄貴は無線機を自分で組み立て、遠くの見知らぬ誰かと交信するのが好きだった。錆びたアンテナを窓際に立てかけ、スピーカーから漏れる雑音に耳を澄ませては、ダイヤルを合わせる手を微かに揺らす。ノイズの向こうから、顔も名前も知らない誰かが返事をくれることが、兄貴にとっては「外の世界」そのものみたいだった。俺は無線の隣でそのやりとりを聞きながら、兄貴がまるで探検家のように見えて、幼いながらも誇らしく感じていた。
そんな兄貴は数年前、突然姿を消した。
何も言わずに出かけたまま、帰ってこなくなったのだ。母さんは「お兄ちゃんは遠くの場所で元気にやっている」と言ったけれど、心配を押し隠すように笑う母を見ると、本当は何もわからないのだと、その頃の俺にもわかった。
生活の窮屈さを感じていたのだろうか。兄貴の失踪の理由、その一端が俺にもあるかもしれないと考えると、背筋がぞっと冷たくなった。それとも家族の誰にも伝えられない、どうしようもない事情があったのか。あるいは、無線機の奥に広がる、外の世界に出たくなったのか。今となってはわからない。ただ、兄貴の声を聴くことはもう二度とない──その実感だけが残った。
それからは、毎朝と毎晩、兄貴がいつも合わせていた周波数「7.074 MHz」にダイヤルを回し、目を閉じて耳を澄ませるのが日課になった。雑音が続くレシーバーに向かって、心の中で兄貴がよくそうしていたように「ハロー、ハロー」と呟く。その声が、外の世界のどこかで兄貴に届くことを、俺はまだどこかで期待していたのかもしれない。すがるように何日も続けたルーティン。返ってくる声が求めたそれとは違うたびに感じた落胆は、やがて、まだ見ぬ誰かと言葉を交わすための、未知の声に惹かれる感覚へと変わっていった。
◇
そんな日々が続いた、ある夜。
いつものように無線機の前に座り、ダイヤルにそっと手を伸ばす、瞬間。体中にチリチリとしたなにかが駆け抜けた。指先からじわりと広がった静電気が、空間に拡散していくような不思議な感覚。数瞬遅れて、スピーカーから流れていた雑音が一気に掻き消え、無線機全体が息をひそめたかのように沈黙する。驚いて手を引くと、何事もなかったかのように音が元に戻った。傍から見ればただの機材トラブルにしか見えないかもしれない。でも、衝撃を伝えた指先と、いまだ早鐘を打つ心臓が告げている。この瞬間、俺の中から「何か」が、確かに生まれたのだと。
だが、その夜から無線機はまるで俺を拒むようになった。ダイヤルに触れるたびにノイズが暴れ、スピーカーからは耳に痛いほどの雑音しか返ってこない。兄貴の周波数に合わせても、音は一瞬で掻き乱され、届くはずの声を覆い隠してしまう。どんなに慎重に触れても、レシーバーが応えてくれることはなかった。無線に潜んでいた兄貴の世界は、俺自身の手によって閉ざされた。
それでも俺は、毎晩のように無線機に触れ続けた。兄貴が残してくれたものを、自分の手で壊してしまったような気がして、半ば八つ当たりするように雑音と向き合う夜が続いた。けれど、俺が手にしたこの力こそが、逆に兄貴の声を遠ざけている──そんな実感が、静かに心を締めつけていた。
◇
それから数か月が過ぎた頃、ふとした瞬間に、この力が少しずつ制御できるようになってきたことに気づいた。
呼吸を整え、慎重に手をレシーバーに伸ばして触れると、雑音が暴れ出す前に、ほんのわずかな静寂が戻る。その短い間に無線機が応え、レシーバーから微かに誰かの声が返ってくる瞬間が増えた。少しずつだが、この力を手なずける術が、俺の中に芽生えてきたようだった。もしかすると、身体が勝手に順応していったのかもしれない──詳しいことはわからない。でも、その一瞬だけ、心に開いた隙間が少しだけ埋まったような気がして、安堵とともに切なさが込み上げた。
この力は、自分にしかない特別なものだという実感もあった。最初は、年相応にその力が誇らしく感じられる瞬間もあった。でも、兄貴の残してくれた世界と向き合うたびに、どうしようもない嫌悪が胸を締めつけた。どんなに制御できても、この力がもたらすのは、兄貴の声を遠ざける雑音だけだったからだ。「特別」だなんて言えない。これは、兄貴の声を遮り、彼がいた世界から俺を遠ざけるだけの、無意味な力だ。
◇◆
それでも、毎日こうして無線機の前に座り続けている。
妹や母さんには、何も話していない。どう伝えればいいのか、それが正しいのかさえわからなかった。ただ、一人で抱えるには、俺にはどうしようもなく重すぎた。だから、二人だけに。少し大げさに、でも自嘲を込めて「なんの役にも立たない、つまらない力だよ」と笑って打ち明けた。反応を見るのが怖くて視線を逸らしたから、友人たちの表情はほとんど覚えていない。
それでも面倒を抱える俺にずっと付き合ってくれる、大切な友人だ。だからこそ――次の春にはこの街を離れて札幌に行くことを、まだ彼らに伝えられずにいる。言葉にしようとすると、どうしても胸の奥につかえが生まれる。いつかふとした瞬間に、自然に伝えられたらと思うが、それが難しいことだというのも自分が一番よくわかっている。
言いそびれた言葉が胸に重く沈むのを、思い切り頭を振ってかき消した。
無線機のダイヤルを回し、7.074 MHzに合わせる。スピーカー越しの雑音に耳をすませていると、機械越しに兄貴がどこかで「ハロー、ハロー」と返してくれる気がして、目を閉じて静かに耳を澄ませた。この儀式のようなひと時を終え、何事もなかったかのようにスイッチを切る。それが、俺にとっての「ただいま」であり、兄貴にとっての「おかえり」なのかもしれない――なんて、受信先のない感傷に浸りながら。
HO情報
カヴァー……中学三年生
ワークス……中学生
シナリオロイス:セッション中に発表します 推奨感情 P:友情/不安:N
キミは軒間市立花咲中学校に通う学生だ。
幼少期にオーヴァードとして覚醒したキミにとって
PC2、PC3は秘密を共有できる大切な仲間だ。
軒間市は娯楽の少ない街だが、
温かな人たちが多く、綺麗な景色の広がるこの街をキミは気に入っている。
だが、キミは来年の春、両親の仕事の都合もあり
この街から電車で八時間離れた札幌に進学することが決まっている。
追記事項
・PC①、PC③が将来的に軒間市を離れることを他PCに話しているかどうかは、自由に設定して構いません。
・PC①とPC②については、UGNの存在は知りません。
そのため、PC①とPC②のコードネームを設定するかどうかは任意とします。
(『三人で、遊び感覚でそう呼び合ってる』『UGNの資料内で、便宜的にそう呼ばれている』など
コードネームを設定する際の設定もPLに一任する。)
セッション履歴
No. | 日付 | タイトル | 経験点 | GM | 参加者 |
---|---|---|---|---|---|
フルスクラッチ作成 | 10 | ||||
1 | 2024-11-15 | 追憶は光よりも速く(第一話) | 28 | もこもこ | PL1:ちあり/PL2:森川/PL3:藤和 |
2 | 2024-11-17 | 追憶は光よりも速く(第ニ話) | 29 | もこもこ | PL1:ちあり/PL2:森川/PL3:藤和 |