“路地裏の扇動者”蛭間 井朔
プレイヤー:ぴよりーぬ
「せいぜい踊って楽しませろよ、
僕の愛しい負け犬ども!」
- 年齢
- 23歳
- 性別
- 男
- 星座
- 双子座
- 身長
- 158cm
- 体重
- 47kg
- 血液型
- A型
- ワークス
- FHセルリーダーA
- カヴァー
- 宗教家
- ブリード
- ピュアブリード
- シンドローム
- バロール
- HP最大値
- 27
- 常備化ポイント
- 8
- 財産ポイント
- 2
- 行動値
- 9
- 戦闘移動
- 14
- 全力移動
- 28
経験点
- 消費
- +34
- 未使用
- 0
ライフパス
| 出自 | 彼は生まれた時から“負け犬”だった。自分は母に愛されていたと彼は未だ心の底では信じているが、果たして。少なくとも彼は1度たりとも母に褒められた記憶が無い。酷い虐待を受けた記憶もないが、それはきっと、彼への関心が無かったからなのだろう。貧困家庭で、母も自分のことで必死だったのかもしれない。 | |
|---|---|---|
| 疎まれた子 | ||
| 経験 | 6つの頃、彼は捨てられた。母が「遊園地に行こう」と言い出し、初めての親子での外出に心を踊らせ車に乗って、そのまま、山に置き去りにされた。その後、誰も迎えにきてくれない中、泣きじゃくりながら奇跡的に山を降り、そこで児童養護施設に保護されたが……「いつか母が迎えに来てくれる」と信じて過ごして12になった頃、街で偶然すれ違った母が知らない赤子を抱いて知らない男と楽しそうに笑う姿を見てしまった。その日、夢も希望も自信も幻想も母親も全てを喪い、あとには虚しさと惨めさだけが残った。 | |
| 喪失 | ||
| 欲望 | 普段は愉快犯じみた戯れを繰り返し、自分は「惨めな負け犬を嘲笑いたい」から弱者どもを煽るのだと思い込んでいる彼だが、その本質は承認欲求と寂しさである。誰でもいい、誰でもいいから、誰かそばにいて欲しい。必要として欲しい。隣にいることを許して欲しい。……大好きだって笑って、生きていることを肯定して欲しい。それが歪んだ形で出力され、「自分がいなければ成り立たない組織」を作ることで安心しているのだ。それに捻くれたプライドに脚色された、自分なりの解釈を当てはめた結果が、今の「愉快犯」の姿である。 | |
| 居場所 | ||
| 覚醒 | 侵蝕値 | 彼は生まれた時からオーヴァードであった。それが当たり前のものではないと知ったのは、夜中に母が「あの子は化け物」「いずれ殺される」と嘆いていたのを聞いてからだ。自身が捨てられた理由の一端をになっているのがこの力であることも知っている。 |
| 生誕 | 17 | |
| 衝動 | 侵蝕値 | 彼は“安心”に飢えている。自分で自分を肯定できないのだから、誰かに必要とされるか、自分以上に惨めなものを見るかしないと満たされないのだ。目に見える彼の衝動は「加虐」に近い。惨めでみっともない相手をいたぶって罵って堕落させて。しかしその根底にあるのは、自分の生を認めたいという飢餓である。 |
| 飢餓 | 14 | |
| 侵蝕率基本値 | 31 | |
能力値
| 肉体 | 1 | 感覚 | 2 | 精神 | 5 | 社会 | 2 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| シンドローム | 0×2 | シンドローム | 1×2 | シンドローム | 2×2 | シンドローム | 1×2 |
| ワークス | 1 | ワークス | ワークス | ワークス | |||
| 成長 | 成長 | 成長 | 1 | 成長 | |||
| その他修正 | その他修正 | その他修正 | その他修正 | ||||
| 白兵 | 1 | 射撃 | RC | 4 | 交渉 | ||
| 回避 | 1 | 知覚 | 意志 | 調達 | 2 | ||
| 運転: | 2 | 知識: | 情報:FH | 1 |
ロイス
| 関係 | 名前 | 感情(Posi/Nega) | 属性 | 状態 | |||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Dロイス | 触媒(カタリスト) | ― | 自身のレゲネイドウイルスが特殊であることに気づいたのは、かつてのセルにいた頃だ。奴隷のような扱いに嫌気が差し、出自を侮辱されたことで激しい憎悪に駆られた。その途端、目の前の相手がジャーム化したのだ。その力は“触媒”と呼ぶらしい。以降は自身の同志に対して使用して、士気を上げたり強化したりと有効に使っている。「他人に手を汚させる」スタンスの彼にとっては、まさに天からのプレゼントのような力だ。 ● 効果 イニシアチブプロセスにあなた以外のシー ンに登場しているキャラクターひとりを選択す る。 選択したキャラクターはメインプロセスを 行なえる。 このメインプロセスは行動済みでも 行なえ、 行なっても行動済みにならない。 た だし、 対象とするキャラクターは、オーヴァードかジャームでなければならない。 この効果は 1シナリオに1回まで使用できる。 | ||||
| 家族 | 大海幸/大海日向 | 慈愛 | / | 憎悪 | 【母親】最愛の母。1度でいいから、頭を撫でて欲しかった。井朔を捨てた理由は、望まぬ妊娠であったことと経済事情、それからオーヴァードとしての力に恐怖したためである。井朔を産んだ当時、母は16歳だった。良家の娘であったが妊娠したことがバレ、勘当同然に家を追い出され、彼氏にも逃げられていた。生まれた子供に対しても一切情はなく、「私の人生を破壊した元凶」とすら思っていたようだ。息子を捨てた翌年に結婚し、経済的余裕のある状況で愛する人との間に生まれた第2子のことは心から愛していた。……というより、第2子こそが彼女にとって“初めての子供”で、第1子たる井朔は“がん細胞みたいなもの”でしか無かったのだろう。/【弟】自分を捨てた後に母がもうけた子供。赤子の彼を殺そうと思ったのに、でもどうしても殺せなくて、結局誘拐してきてしまった。名前すら知らない10歳下の弟。コードネームの「ドンキー」は「無能」を意味するスラング。最初は憎悪以外の一切の感情を向けていなかったが、健気に自身を慕い無邪気に笑いかけてくるその姿に、次第に無意識の慈愛を抱きつつある。口では彼を「使い捨てのコマ」と言うだろうが、きっと、本音ではそうではない。ちなみに、弟は兄とは違って両親に心から愛されていた。素直で染まりやすい無邪気な少年。 | ||
| 部下 | 王小龍 | 信頼 | / | 憐憫 | 部下の1人。最初はただのセルメンバーの1人という認識だったが、純真に慕ってくれる彼に心を開きつつある。自身なんかに惹かれてしまうその姿に憐憫を感じつつも、それでも着いてきてくれる彼のことは、誰よりも信頼している。できることなら幸せになって欲しい……なんて、らしくないかもしれないが、小龍による影響で彼も少し変わってきたのかもしれない。 | ||
| ― | |||||||
| ― | |||||||
| ― | |||||||
| ― | |||||||
エフェクト
| 種別 | 名称 | LV | タイミング | 技能 | 難易度 | 対象 | 射程 | 侵蝕値 | 制限 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| リザレクト | 1 | オートアクション | ― | 自動成功 | 自身 | 至近 | 効果参照 | ― | |
| (LV)D点HP回復、侵蝕値上昇 | |||||||||
| ワーディング | 1 | オートアクション | ― | 自動成功 | シーン | 視界 | 0 | ― | |
| 非オーヴァードをエキストラ化 | |||||||||
| コンセントレイト:バロール | 2 | メジャーアクション | シンドローム | ― | ― | ― | 2 | ― | |
| クリティカル値を-LV(下限値7) | |||||||||
| 死神の瞳 | 7 | メジャーアクション | 〈RC〉 | 対決 | 単体 | 視界 | 3 | ― | |
| 対象にかかる“力”を増幅させておくエフェクト。射撃攻撃を行う。命中した場合、対象が次に受ける攻撃のダメージを+「Lv+1」Dする。このエフェクトを組み合わせた攻撃で、対象にHPダメージを与えることはできない。この効果は、シーンが終了するか、効果を適用するまで持続する。 | |||||||||
| 時の棺 | 1 | オートアクション | ― | 自動成功 | 単体 | 視界 | 10 | 100% | |
| 一瞬だけ時間を止め、相手の行動を阻害するエフェクト。たとえ刹那であっても、時間停止という奇跡はあなたに大いなる勝機をもたらす。相手が判定を行う直前に使用する。その判定は失敗となる。「難易度:自動成功」のような、判定を行わないものには使用できない。このエフェクトは1シナリオに1回まで使用できる。 | |||||||||
| 黒星の門 | 3 | メジャーアクション | シンドローム | ― | ― | ― | 2 | ピュア | |
| 空間を高重力によって歪ませ、距離をねじ曲げるエフェクト。このエフェクトを組み合わせた場合、「あなたと同じエンゲージにいるキャラクターを対象にできない」と記載されたエフェクトでも、同じエンゲージに対して使用出来る。また、このエフェクトを組みあわせたダイスを+「Lv+1」個する。 | |||||||||
| 灰色の庭 | 2 | セットアッププロセス | ─ | 自動成功 | 単体 | 視界 | 2 | ― | |
| 敵の重さを増加させ、素早さを下げるエフェクト。重力と事象を支配するあなたの前では、誰であれその実力を発揮することは出来ない。そのラウンドの間、対象の行動値を-[Lv×3]する。 | |||||||||
| 停滞空間 | 1 | メジャーアクション | シンドローム | 対決 | 単体 | 視界 | 2 | ― | |
| 時間流を停滞させるエフェクト。このエフェクトを組み合わせた攻撃が命中した場合、そのシーンの間、対象の行動値は「0」となる。この効果は対象がマイナーアクションを使用することで解除できる。このエフェクトを組み合わせた攻撃で、HPダメージを与えることは出来ない。このエフェクトは1シナリオにLv回まで使用できる。 | |||||||||
| ポケットディメンジョン | 1 | ||||||||
| ディメンジョンゲート | 1 | ||||||||
コンボ
黒き眼差し
- 組み合わせ
- コンセントレイト:バロール、死神の瞳、黒星の門
- タイミング
- メジャーアクション
- 技能
- RC
- 難易度
- 対決
- 対象
- 単体
- 射程
- 視界
- 侵蝕値
- 7
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
- 100%未満
- 5+4
- 8
- 4
- 0
- 100%以上
- 5+5
- 7
- 4
- 0
- 5+4
シンプルにただ、“睨みつける”。それだけ。
何か攻撃を加えるわけでもなければ、行動することもない。しかし、たとえ対象がどんな人物であったとしても、その視線を受けるとひどい重圧を感じることになるだろう。
その重苦しい圧は対象からあらゆる耐性を剥ぎ取ってしまう。どんな強者であったとしても、蛇の前に放り出された蛙にしてしまうのだ。
シーンが終了するまで、もしくは効果が適用されるまで、対象が次に受けるダメージを+8D(100%以上で+9D)する。
生贄に捧ぐ
- 組み合わせ
- コンセントレイト:バロール、死神の瞳、黒星の門、停滞空間
- タイミング
- メジャーアクション
- 技能
- RC
- 難易度
- 対決
- 対象
- 単体
- 射程
- 視界
- 侵蝕値
- 9
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
- 100%未満
- 5+4
- 8
- 4
- 0
- 100%以上
- 5+5
- 7
- 4
- 0
- 5+4
発動条件は、こちらも“睨みつける”こと。
対象が酷い圧を感じ、あらゆる耐性を失うのも「黒き眼差し」と同じ。
しかしこちらはそれだけではなく、睨まれた対象は真っ黒な鎖で全身を縛られてしまう。最低限ガードしたり避けたりは出来るだろうが、身体が鉛のように重くなることだろう。
シーンが終了するまで、もしくは効果が適用されるまで、対象が次に受けるダメージを+8D(100%以上で+9D)するうえに、対象がマイナーアクションを行うまで行動値を0にする。
| 一般アイテム | 常備化 | 経験点 | 種別 | 技能 | 解説 |
|---|---|---|---|---|---|
| サポートスタッフ | 5 | コネ | 解説参照 | 最も愛し、最も憎み、最も信頼を寄せる部下。コードネームは「ドンキー」。彼についての詳細はロイスにて。 強い感情を向ける彼からの支援は、“精神”を強くしてくれる。 取得時に能力値からひとつ選択する。 選択した能力値による判定の直後に使用する。その判定の達成値を+2する。 この効果は1シナリオに3回まで使用できる。 | |
| FH幹部 | 1 | コネ | 〈情報:FH〉 | FHに所属する幹部の1人。弱みを握り、上手く利用している。多分相手からは憎まれているが、そんなことはどうでもいい。〈情報:FH〉の判定のダイスに+2個する。 |
経験点計算
| 能力値 | 技能 | エフェクト | アイテム | メモリー | 使用総計 | 未使用| 10
| 10
| 144
| 0
| 0
| 164
| 0/164
| |
|---|
侵蝕率効果表
現在侵蝕率:
容姿・経歴・その他メモ
「やあこんばんは、はじめまして。今日はいい天気だね。こんな日は、少し話を聞かせてくれないかな? そう、君の生きてきた話を」
「おいおい兄弟、最高じゃないか! そんな野心に満ち溢れたお前たちだから、僕は大好きなんだ!」
「負け犬? イカれてる? 無能? 愚鈍? いいさ、肯定してやるよ。全部上等! そうやってお前たちを嘲り受け入れない世の中こそが、何よりも愚鈍で無能でイカれた負け犬だ! さあ分からせちまいな兄弟諸君、つまんねぇ世界はここで終いにしようじゃないか!」
「やだなぁ、本気なワケないじゃないか。嵐が去って残るのは、荒廃した残骸だけだよ」
「全部全部他人のせいにして、逃避してきた負け犬は他ならぬ兄弟だろ? 喜べよ、これを望んだのはお前らだ」
「ひっどいなぁ、僕は負け犬どもの“夢と希望”を生き返らせただけだよ。ぶっさいくな夢と希望をね。何も手を下しちゃいないさ」
「嗚呼、これだから面白い……っ!」
小柄で童顔な、ともすれば幼い少年や少女にすら見えるような、中性的な青年。血のような赤に瞳と、同色のメッシュが特徴。
FHのセルリーダーで、N市を活動拠点としている。フリーランスかつ社会に不満を持つオーヴァード達を焚き付け、煽り、束ね、支配し、一からセルを作り上げた。元々N市を支配していた別のセルに所属していたが、立ち上げたセルを率いて壊滅させ、統合した。
オーヴァードと一般人を「同じ人間である」と定義した上で、「ならばなぜ我々オーヴァードはバケモノのように蔑まれなければならないのか」「我々にも自由に幸福になるために力を使う権利がある」「我々の生きづらさは全て、我々を認めない一般人たちのせいだ」と語り、下克上と改革を掲げている。
その反体制的な姿勢は不満を持つオーヴァードたちに強く支持され、セル内で強固な結束を築き上げた。
上記の過激な思想と、「部下の感情も思考も全てを肯定する」スタンス故に、彼のセルは半ばテロ組織に近い様相すら持っている。
しかしその動機はただの「愉快犯」であり、自身に盲従する“信者”達に対しても本気で救うつもりはサラサラ無い。不満を全て他人のせいにする彼らを「負け犬」と内心小馬鹿にしており、それらを肯定して助長することで、いずれ暴走して自滅するだろう様を嘲笑っているだけである。
刹那的な思考の持ち主でもあり、自分の命や未来にも一切頓着がなく、ただ「楽しければそれでいい」という考え方。楽しくするための積み重ねは惜しまないが、全ては一時の快楽のため。
……しかし、彼の本質はそこでは無い。
「惨めでみっともないものを嘲笑いたい」というのも、表面的な、後付けの理由でしかない。
彼の本当の願いは、「居場所がほしい」。社会的弱者を焚き付けてリーダーとして振る舞うのは、自分が必要とされたいからであり、だから「自分がいなければ成り立たない組織」を作るのだ。
また、自分でも気付かないふりをしているが、彼から見て最も惨めでみっともない負け犬は彼自身である。だから自分を肯定するために、“下”を必死に探しているのである。
掲げる綺麗事も、「同じ人間なのに」という部分だけは彼の本音。
普段はにこにこと朗らかに笑っていることが多く、セルメンバーに対しても「兄弟」と呼びかけるなどフレンドリーで気さく。飄々としたフランクな青年。どんな相手でも受け入れる度量と包容力、あらゆる状況でも動じない冷静さ、決して迷うことの無い決断力を併せ持つ。
その一方で罪悪感に欠け、承認欲求の強い小物でもある。自身の欲求のためであればどんな酷い事件を起こしても悪びれることすらなく、自身を蔑ろにされると執念深く報復を狙う。
セルの仲間に対しては「〜だぜ」「〜だろ」といった男性口調。それ以外には柔らかな口調で話す。一人称は「僕」。二人称は「お前」や「君」。セルの仲間には「兄弟」。
[プロフィール]
愛称:「トップドッグ」。リーダーという意味も込めて。名前で呼ばれることはまず無い。
誕生日:5月30日
血液型:A型
好きな物:楽しいこと、面白いこと、惨めでみっともない負け犬ども、弟、母、漫画鑑賞
嫌いな物:夜、山、寒さ、孤独、子供の頃の自分の記憶、弟、
好きな食べ物:キャンディー、ドーナツ
嫌いな食べ物:牛乳
趣味:人間観察、漫画鑑賞
恋愛対象:特になし
癖:考え事をする時に髪をいじる、腕を組む
彼を産んだ母親は、当時16歳だった。格式高い分、古い価値観の根強く残る名家の出身で、だからこそ反発して大学生の彼氏とまぐわったのだが、それが知られて勘当され、とうの彼氏にも蒸発された。
残ったのは産んだ子供だけ。しかしどうしても愛することが出来ず、「人生を壊したがん細胞」としてしか見られなかった。
なので、井朔は母親から名前を呼ばれた記憶が無い。由来は母親の推していたホストの源氏名らしいが、それでも呼ばれた覚えがない。関心がなかったためか暴力を受けたことこそないが、常に放置状態だった。おまけに井朔は生まれながらにオーヴァードだったこともあり、「気味の悪い子供」「怖い」「いつか私が殺されるんじゃないか」と母からは激しく嫌悪され、距離を置かれていた。
それでも、ずっと母を愛していたし、母に愛されていると思っていた。なんせ普通の家族の形は、テレビや通行人を見て知っていたから、そう思わないと惨めで仕方なかったのだ。
しかし6歳の頃、彼は母親に捨てられる。初めて「遊園地に行こう」と誘われ、何も疑わず喜んでついて行き、山に置き去りにされたのだ。寒い冬の日だった。日が落ちるのが早かった。生きて降りてこられたのは、本当に運が良かったとしか言えない。……いや、もしかしたら、何度もリザレクションしたのかもしれない。
とにかくそれから彼は児童養護施設に引き取られ、そこで12歳まで過ごした。華奢で気の弱かった井朔は施設でも孤立し、いじめにあったが、それでも「いつか母が迎えに来てくれるはず」という希望を抱えてなんとか生きていた。しかし、街で偶然、知らない男と楽しそうに笑い合いながら、赤子を抱えて歩く母を見てしまう。
母は自分のことなんてちっとも覚えていなかった。新しい家族と、新しい人生を楽しんでいた。自分のことなんて忘れて、無かったことにして。
そこから先は衝動だった。深夜、母の新居に侵入して、殺そうとして……それでも殺せなかった。こんなに裏切られてなお母が好きだった。どうしても殺せなかった。ならせめてと赤子を殺そうとして、それでもやっぱり殺すだけの勇気も気概も出なくて、でもそのまま帰るなんて出来なくて、結局誘拐してしまった。
その後は孤児院に帰ることも出来ずさまよっていた所を、かつてN市を支配していたセルに拾われる。しかし幼い井朔はそこでは奴隷のような扱いを受け、誰にも認められない生活を送ってきた。
そんな中、偶然通りかかった路地裏で、ホームレスが喧嘩をしていた。14歳の時である。口汚く罵りあい、汚いボロを着て殴りあっていた。それを見て、彼は……「まだ自分より惨めなやつがいるじゃないか」と、ひどく安心した。
それからは早かった。自分の“下”を求めるように、多くの人間に声をかけた。オーヴァードに絞って狙ったのは、社会から拒絶された“惨めな存在”だからである。自分を慕う彼らは滑稽で、嬉しくて、そこで初めて自分には人をその気にさせる才能があるのだと知った。
気づけばそれは彼を中心とした1つの大きなセルとなっていた。私怨から元々所属していたセルを壊滅させ、そして、今に至る。
「知ってるさ。僕は負け犬だ」
「つまんなくて惨めでみっともなくて、人一倍に弱い負け犬だ」
「だから、“でもだって”って希望を求めてしまう」
「そんなもの、自分で潰してきたくせに」
「……でも、望めるなら。こんな僕でも望んでいいなら」
「僕を、赦して」
セッション履歴
| No. | 日付 | タイトル | 経験点 | GM | 参加者 |
|---|---|---|---|---|---|
| フルスクラッチ作成 | 34 | ||||
| 1 | 2025/08/19 | Deadman"s cruise | みなとさん | ワン・シャオロンルーラーワンド黒木政道 | |
| 王小龍 〇庇護/憐憫 「僕なんかに惹かれちゃって可哀想に。そばにいる限りは守ってあげる」、黒木政道 〇信頼/疎外感 「まあ、彼は色々と抱えているものも多いだろうからね。少しづつ話が出来ればいいさ。期待しているよ」、ルーラーワンド 〇有意/不信感 「草臥れているようで優秀な男だ。今回味方に着いてくれたことは有難いね。……とはいえ、うちのセルの兄弟じゃない。ある程度は警戒しておこうか」 | |||||
| 2 | 2025/09/18 | Let's go to the aquarium! | みなとさん | ワン・シャオロン | |
| 楽しい水族館の思い出。人生初の、最良の日と呼べるかもしれない。 | |||||
| 3 | 2025/09/18 | レネゲイド乾杯 | みなとさん | ワン・シャオロン黒梅雨永礼小鳥遊鷲莉“爪” | |
| まあ、なんだかんだ楽しかったかな? | |||||