自分は回りと違って才あるものだと傲っていた、誰よりも強く自分に限界なんてないと思っていた。
そんな漠然とした全能感に浸りながら、日々を謳歌していた。このときは知らなかったんだ、上には上がいて才能には上限があることを……。誰にも負けない最強の剣客になれると、この頃は本気で思っていた。

この時初めて知ったんだ本物の天才ってやつを……。
全部を理解したんだ、私ってやつは普通なんだって特別じゃないんだって。でも諦めれなかったんだ、努力すれば天才や鬼才にだって追いつけると。私は……、なんの変哲もないオーヴァードだったんだって、どんなに努力してもどんな修練を積んでも本物達には追いつけない勝てないんだって……。分かっていたけど、私はそれでも認めたくなくてそこから目をそらしていたんだ。
それでも剣士であり続けたのは、恩師に恩を仇で返すような気持ちになったからだ自分はただ振り続けるしかないのだから……。

愛想笑いが顔に張り付いているんじゃないかってくらい、相手に合わせて笑うのが得意になった。
誰にでも合わせて、人の目を気にしながら何処にでも溶け込むようにして生きる。毎日を生きているのがわからない、あのとき感じた全能感はただの気の迷いで、あのときあった無限の可能性は実はもう打ち止めだったんだ。
あの二人の持つ才能を見て羨ましさを通りこして凶慕すら感じる、私に無いものを全て持っている二人を見る度に私は想いはいつもかき乱される……。

かき乱された心が生んだまやかしなのか蛇が語りかける
「力が欲しいか？捧げよ」
「私は……あの二人に追いつけるならなんだってくれてやる」
「契約は完了した、約束通り対価は頂戴した。原初の蛇の力存分に使ういい」
この日から私は蛇の外套を纏った、蛇は私が望んだ力の形に成った。しかし、あの二人に勝てなかった……あの二人は私以上に成長し力をつけていた。

最近ではその活躍から支部のエースはあの二人だって皆が口々に言う。そうだろ自分も遠巻きに見てそう思う、そして私には二人が解決するまでもない仕事が回されるようになった。あの二人と私は何が違うのだろう……。

もう刀を振ることをやめ、実働隊から後方勤務へと移った。これで良かったんだ、もう無理をする必要はない。私はただのオーヴァードで、特別でも主人公でもない。
もう、頑張る必要なんてないんだ。周りと同じようにあの二人に任せてしまっていいんだ、もう張り合う必要なんてないんだ。
私はどこにでもいる普通のオーヴァードなんだから……。

私は誓った、この剣を捧げるべき相手私の主人であり私のお姫様へ。貴女の剣となり刃となって降りかかる厄災を退けましょう、故に敗北は許されず、故に勝者でなければならい。これは自らに課した誓約、あの日鬼才に打ち勝ち道を示した。
裏切りの騎士の誓い……

登録名：長月　恵
コードネーム：朧の騎士(モードレッド、)
性別：女性
出身：水布
誕生日：7/23
身長：150
体重：40
血液型：A型
ブリード：クロス
シンドローム1：エンジェルハイロゥ
シンドローム2：ハヌマーン
シンドローム3：―――――
特記事項：人間➝吸血鬼

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