性格

　非常にストイックな性格の少女。クールなように見えて熱情家であり、戦闘時は不屈とも呼べる意思の強さで相手へと踏み込み斬撃を見舞う苛烈さを見せる。反面日常生活では冷めた様子で他を寄せ付けない態度をとりがち。しかし根が常識人かつ面倒見の良い性格なせいで、積極的に絡んでくる相手を無碍にしきれない甘さを見せることも。
　上記の性格のせいか単独行動が多く、戦闘スタイルも単独撃破に特化したモノになっている。よく言えば孤高、逆なら孤独…という印象。

境遇

　赤ん坊の頃に両親に捨てられており、双子の妹と共に孤児院で育った。捨てられていた二人の服には名前が刻まれており、姉には「星奈」、妹には「咲夜」と名付けられていたという。名字の綾辺は当時の院長がくれたモノ。
　そんな境遇からか双子である咲夜をなによりも大切に思っており、親がいない孤独感を埋めるように妹と院長、そして孤児院の同じ境遇の子どもたちとの生活を楽しもうとしていた。しかし、それが崩れ去ったのは11歳の頃だった。護京の刀の製法解明を目指すFHセル「隻眼」が現れ、孤児院の院長を殺害。綾辺姉妹を含めた子どもたちを誘拐したのだった。

FHでの日々

　FHセル「隻眼」の目的は「護京の刀」の製法解明及び量産だった。そのために実験品の刀を振るう個体の育成にも着手しており、体の良い実験材料として子どもたちに目をつけた。しかし護京の刀の製法は分からずじまい。その結果、隻眼セルは運営方針を大きく転換することに。その内容が「強力な能力を持つオーヴァードを"素材"に、護京の刀に匹敵するモノを作り出す」というものだった。

妹との別れ。そして…

　綾辺姉妹は実験に耐えていく中でオーヴァードに覚醒していた。姉の星奈は強靭な肉体を持つキュマイラ×ウロボロスに。妹の咲夜は"限界を超える"という能力を有するハヌマーン×ノイマンに。隻眼セルが咲夜の能力を見逃すはずはなかった。当然星奈は強く反対・抵抗したが、その甲斐なく残酷な実験が始まってしまう。隻眼セルは咲夜の肉体をモルフェウス能力で不可逆的に錬成。刀の姿にした上で、能力をそのまま付与した。限界超越の能力を持った黒刀"咲夜"の誕生である。
　星奈は咲夜を失ったことで錯乱、後に心神喪失まで追い込まれるが、隻眼セルが黒刀を与えることでそれを拠り所とした。隻眼セルは星奈を黒刀"咲夜"の使い手に抜擢。「妹を無価値な廃品にしたくなければ戦い続けろ」という命令を下し、自分たちの手駒にした。星奈が14歳の頃のことだった。

隻眼セルの崩壊

　星奈は過酷の訓練の末に黒刀"咲夜"の扱いをマスターし、FHチルドレンとしての腕前を身につける。しかしそんな時に「護京の刀を司るとある組織」とUGNの双方から電光石火の強襲を仕掛けられる。ほぼ抵抗できないまま制圧され、隻眼セルは壊滅することになるのだった。
　星奈は戦線に送られる前に決着がついたため無傷だったが、妹を失った心傷と、「戦わなければ」という脅迫にも似た使命感は彼女を蝕んでいた。"とある人物"がそんな彼女を発見したのだが、彼女を残して去ってしまう。後にUGNの手によって保護され、彼女はFHの手から救い出されることになったのだった。当時の星奈―――15歳。

そして現在へ

　心身ともに憔悴が酷かった星奈はUGNの元でケアを受け、徐々に回復していく。しかし徐々に思考を回復させていく彼女の中に湧き上がった疑問があった。「なんのために妹は刀になってしまったのだろう」。救われた自分、戦わずに死蔵される黒刀"咲夜"、「妹を無価値な廃品にしたくなければ戦い続けろ」という呪い、UGNへの恩。それは綾辺星奈を戦いの道へと誘い、やがて「"独意専心（ソリチュード）"」と呼ばれるイリーガルが生まれることになる。
　

　並外れた膂力、そして持久力が持ち味のパワーファイター。見た目に反してとてつもなく重い黒刀咲夜を軽々と振るい、その重撃でもって相手を両断/粉砕する。とくに反撃を得意としており、相手の攻撃を受けることを前提にどんな状況でも反撃するというスタイルを持つ。

　綾辺星奈が常に持ち歩いている黒い刀。色以外は普通の日本刀に見えるが、実はとてつもなく重い。常人では持ち上げることすら出来ないそれを、星奈は専用の竹刀ケースに入れて涼しい顔で持ち歩いている。
　その刀の正体は「綾辺咲夜」。星奈の双子の妹である。とあるFHセルの手によって金属に変換された咲夜は、セルリーダーの手で精錬/鍛造され、一本の刀に仕上げられた。オーヴァードであった妹の能力を刀身宿して。セルリーダーは星奈にこの刀を使わせることを想定していたようで、星奈が使うことで黒刀咲夜は真の力を発揮する。
　その能力は「限界突破」と呼ばれている。身体能力の限界、精神の限界、体力の限界。生物であればあって当然のそれを、意識的に突破することが出来る。もちろん相応の反動が返って来るため、強靭な肉体を持つ星奈しか扱えない。星奈は主に反撃時に無理やり肉体を動かすことに使っている。
　

　咲夜の存在証明。刀になってしまった最愛の妹を「意味も意義もない廃棄品」にしないために戦い続ける。