北九州の一般家庭で生まれ、幼くして母を亡くした。
僅か6歳の冬の夜、母親の死が受け入れられずに葬式を飛び出した。寒い中泣きながら走り回って、辿り着いたどこかの家の軒先でうずくまっていた。静かに降り積もる雪は足跡を消していったが構わなかった。もうどこに帰ればいいのか分からなかった。そんな中、その家の少女に声を掛けられる。帰る場所が分からないというと、その少女は泣いていた彼を温かく迎えてくれた。

それをきっかけとして二人の関係は続いた。ある日、何故あの雪の夜に親切にしてくれたのかと問うと、少女は自らの故郷の話をした。不自由で行き場も未来もなく、それ故に満ち足りていると信じられている故郷のこと。そこにはあの日の少年のように凍えている人が沢山いて、だからこそ助けてしまったのだといった。少年はその少女の姿を美しいと感じた。相手をただ思いやる無私の優しさはこんなにも綺麗なのだなと幼心に思った。

それから長い時間をかけて友達になり、親友になり、彼の心の中ではそれ以上の存在になっていた。だが、その想いを伝えることはなかった。年相応の見栄と気恥ずかしさが邪魔をした。

そして七年前のある日、少女は火災に巻き込まれてこの世を去った。少年は、異形となって生き延びた。そしてまた、彼は人生の道しるべを失い迷子になった。

その後、接触してきたUGNの元で能力の扱い方を身に着けたが意味を感じなかった。失意の中で生きる意味を無くしていたが、初めてUGNに協力する形で参加した任務で、彼は一人の子供を助けた。
その子供はその後、彼のことを覚えていなかった。それでもただ、日常の中で幸せそうに暮らしていた。その姿を見て、少年はかつて自分を助けた少女のことを思い出した。涙があふれてきた。いなくなった彼女の姿を、少年は自らの行いの中に見出すことが出来た。

以来、少年はイリーガルとして誰かを助ける日々を続けている。自分が愛した少女はもういない。それでも、きっと自分が誰かに手を差し伸べる時、きっと彼女は笑ってくれている。未だに帰る場所は見つけられず、迷うばかりの日々は続いている。それでも、進むべき道を彼女が示してくれたと信じ、少年は生き続けている。死より出でた蟲が、いずれ生きる場所を見つけるために。
その道が今、再び始まりの死に向かうのだとしても。

オーヴァードとしての能力は肉体の昆虫化。甲虫の鎧を身にまとい、腕から伸びる蜂の針で刺し、飛蝗の脚で跳ね、蜻蛉の羽で飛行する。身体のパーツ単位で個別の変異が可能だが、能力の多重仕様に応じて顔形が人間のそれからかけ離れていくため、仮面で顔を隠していることが多い。彼自身の魂に蟲の存在が深く結びついているためか、その変異は常に実在する蟲の形を取る。
UGNは最初その能力をして【万魔の蟲籠（ミリオンズ）】というコードネームを与えようとしたが、本人がこの名前に強くこだわったためこの案は却下されている。また、一度死んだことによりオーヴァードとして覚醒した為か、肉体の一部の感覚が希薄。また、安定性に不安があり変異した肉体が元の姿に戻りづらい時がある。UGNの医者の見立てでは、心理的外傷が原因とのこと。

死出蟲（シデムシ）
動物の死体を餌とする死肉性の昆虫。死体があるところに現れる為このように呼ばれる。
その性質はつまり、死によって生まれた蟲を指す。
雛菊の死によって自分は生き延びたという事実を背負うため、この名前を付けている。

もし君が空の彼方にいるのなら、蝶となって君の元に飛んでいこう。
もし君が眠りを妨げられるのなら、鈴虫となって歌声で君の心を慰めよう。
もし君が、死してなお暗がりに囚われているというのなら。
死出虫となってその亡骸を喰らい、明るい場所へと解き放とう。

【常世の蟲　REC:檻我椿】
解説：あなたは"常世の蟲"檻我椿の手を取り、星蟲を殺す道を選んだ
天外より降りた災厄である"星花"を封じ込める為に身を捧げた一人の少女、檻我椿
彼女の望みは星花――そしてその核となるプライメイトオーヴァード"星蟲"を滅ぼし、羽観塚の災厄を真の意味で終わらせることだ
一つの星系の成れ果てである星蟲は、現代のこの世界では力で滅ぼすことはできない
しかし星蟲の裡で同質の存在となった檻我椿の願いと特異性を受け継いだキミだけは違う
キミはこの惑星でたった一つの、星蟲を殺し得る毒となる
「共に行きましょう。あなた達の未来の為に」

▼通常効果：
取得時に任意のDロイスを一つ選択し、その効果と一部のフレーバーを取得して良い
シーン内で任意のPCが戦闘不能になった時に使用する。そのキャラクターをHP10+【肉体】点で戦闘不能から回復させる。この効果はシナリオ1回まで使用できる

▼強化効果：《星花：椿》
檻我椿の願いの残骸。彼女の願いは星蟲を消し去ること――本当にそれだけなのだろうか？
記憶を手繰り縁を結び直すだけの力。力は切欠に過ぎない。大切なのはそれを以て何を成すかだ
この効果はいつでも使用できる。シーン内のキャラクターを任意の数選び、そのキャラクターが所持している昇華されたタイタスを一つ指定する
そのタイタスをロイスに変更する。対象はこの効果を拒否できない。この効果はシナリオ1回まで使用できる

【守護天使】判定直前に使用する。判定+5d。この判定に対するペナルティの効果を受けない。一回の判定につき一回まで使用可能。シナリオ3回。

【檻我雛菊】
《追憶のサニタス》　　[ユニークアイテム]　
種別：リレーション/一般
必要経験点：5
解説：
檻我雛菊の記憶。あなたは彼女が最後に幸福を手にしたことを知っている。
このリレーションアイテムの強化効果は指定キャラクターに対するメモリーを所持することでも使用できる。

▼通常効果
あなたが取得しているロイスをひとつ指定すること。
そのロイスがタイタスになった場合、あなたの侵蝕率を+10する。
▼強化効果
あなたが受けるHPを回復する効果を常に+10する。
この強化効果は通常効果で指定したロイスを所持している時のみ有効となり、このアイテムはキャンペーン終了時全ての効果を失う。
経験点に還元すること。

《ただの口約束》+1　REC：檻我籠月小菊　[ユニークアイテム]　[レアアイテム]
種別：リレーション/一般/+1

▼強化効果2：
あなたがこの物語の中で得た縁を示す効果
あなたと彼女の人生が交差したのはただの偶然。その点を、後に続く線に変えたのはあなたの選択だ

あなたは以下の効果を持つ任意の名称のエフェクト※を取得する
このエフェクトは成長できず、このリレーションアイテムを失った時失われる。

《死角からの一撃》
最大レベル：3
タイミング：オートアクション
技能：《白兵》　難易度：効果参照
対象：単体　射程：視界
「タイミング：メジャーアクション」のエフェクトと組み合わせ可能
このアイテムを所持している間、攻撃の命中判定が行われた直後に使用できる
対象の代わりに、リアクションとして攻撃を行う。対決に勝利した側の攻撃が命中する
このエフェクトはシナリオLv回まで使用できる。

《コネ：佐伯菫》常備化1　REC：佐伯菫
檻我家の使用人、佐伯菫に対するコネクション。
本家の使用人である彼女は檻我の内情について詳細な知識を持っている。キミとの関係やキミの誠意に基づいて情報を教えてくれるだろう
▼通常効果
《情報：檻我》の判定直前に使用する。その判定のダイスを+2Dする
▼強化効果
解除条件：佐伯菫に対して財産点を10点以上使用
《お届け物だぞ♪》
セットアッププロセスで使用する
任意のジェネラルアイテムを一つ選択する。1点以上の財産点を全て消費することでそのアイテムを入手する
武器、防具、防具(補助)であればその場で装備、ヴィークルであればその場で搭乗状態になることができる