萌沼遼が経ツ祈町に引っ越してきたのは、11年前、彼女が8歳の時である

その日は彼女の8歳の誕生日だった
彼女の希望で、両親と少し遠くの遊園地へ遊びに行った帰り道の車内でのことだった
父が運転する車が、青信号の交差点に差し掛かったところを、信号無視をした車に猛スピードで横から突撃されたのだ
酔っ払い運転だったのだという
相手の運転手は、アクセルとブレーキを踏み間違えたと主張していたのだと、後に遼は祖父母から聞いた

父と母は即死だった、らしい
遼だけは、意識不明の重体で済み、命を失うことはなかった
聞いたところによると、隣に座っていた母が庇ってくれたことにより、衝撃が緩和されたのだそうだ

次に遼が目を覚ました時には、そこは病院のベッドの上で、事故から約1ヶ月が経過していた
仲が良かった父方の祖父母が、遼のことを引き取っていろいろと面倒を見ていてくれたらしい

そこから完治までさらに数ヶ月、入院生活が続いた
退院後、新しい環境によるストレス、事故の精神的影響を受け、まともに日常生活を送れるようになる頃には、遼が9歳の誕生日を迎えた後だった

以降、遼は祖父母の住む経ツ祈町で彼らと暮らしはじめる
1年学校に通えていなかったブランクを埋めるために、本来の年齢より1学年下のクラスに転校生として入学することになった

だが、年齢が1つ違うことも災いし、学校には馴染めなかった
最初こそ物珍しげに声をかけてきたクラスメイトも、口数が少なかった彼女に構うものは次第に少なくなっていった
前の学校で問題を起こしたのだの、親に捨てられたのだの、根も葉もない噂話がゆっくり広まり、
時には直接的に遼にそういったことを言ってくるものやあからさまな態度を取るものも出てくるようになった

ある日、一部のクラスメイトが遼に中傷する言葉を浴びせていた時のことだった
途中までは、いつものように遼は黙って聞いていただけだった
だが、反応がないことに気をよくした彼らは勢いのまま、彼女の両親と祖父母のことを馬鹿にするような言葉を投げつけてきた

目の前が真っ赤になった
気がついた時には、クラブ活動用に持ち歩いていた木刀を手に取り、衝動のまま近くの窓ガラスを叩き割っていた
身体に降ってきた破片でできた怪我は、血が流れていたはずなのになぜか痛くなかった
後になって、この時に遼はオーヴァードとして覚醒したのだと知ることになる

自分が何をしたのかも理解しきれないまま、一目散に学校から逃げ出して、
1週間の間、遼は自宅謹慎を言い渡されることになった

再び学校に復帰してからは、これまでのように直接的に何かをされるということはなくなったが、
以前よりもいっそう恐れられ、避けられ、奇異の視線を受けることは必然だった

そんな折、何を思ったのか遼に声をかけてくれたのがPC1である
（↑タイミングは謹慎中でも謹慎明けでもいいかも、ソールさんと相談？？）
以来、PC1と遼は親しくなり、高校生となった現在も関係が続いている

その後、中学、高校と校区を変え、事件のことも噂程度にしか知るものはいなくなり、　
今では少し変わり者の女子高生としてつつがなく学生生活を送っている

あんまり喋らないけど喋りそう、起伏が少ないイメージ
基本的に大人しくしてるけど言葉も態度もきつそう
目つきが悪い、人のことをよく睨んでそうな気がする
PC1の言うことは比較的素直に聞き入れそう、大好きなので

攻撃を受けて流れ出た自分の血を木刀に纏わせて、黒い日本刀を作って斬撃飛ばしたりしたい