容姿・経歴・その他メモ

　物心ついた頃には、既に『魔術』という存在は彼にとって身近なものであった。そんな環境に生まれた人間が、勤勉な魔術の学徒となるのはごく自然なことだろう。まもなくして、FIRの若き魔術師となった彼は一冊の魔術書、未完成年代記(ネオコンチェヌイ・ヴァスパミナーニャ)を与えられる。
　その中に眠っていたのは、古き神々による人智を超えた戦いの歴史。学徒としての好奇心は留まるところを知らず、その深淵へと迫っていった、そう迫ってしまったのだ。

　魔術書によって深淵によって外なる神と繋がってしまった彼は、その中の一柱であるヨグ＝ソトースの元へと誘われる。しかし、中途半端な繋がりでは神の元へと辿り着くことはできず、時と空間の狭間にその精神が取り残されてしまった。果てしなく広がる無、無、無。彼の精神は瞬く間に摩耗していき、自身が誰であるかすらも曖昧になっていく。彼の自我が消えかかるその間際、ヨグ＝ソトースの善性と言われる旧神、ヤード=サダジにより寵愛とともに元の世界へと返される。

　無事に現実へと帰還した彼であったが、その奇妙な渡航は正気を狂わせるには十分であった。彼は恐怖した。あの空の向こうには、我々などたやすく滅ぼしてしまう神がいるのだ。空を見ることを恐怖し、締めきられたカーテンの中で幼い子供のように震えていた。
　そんな彼をUGNへと繋いだのが秦九十九である。魔術師であるとともに教師であった同郷の者は、彼の狂気の幻想を否定した。外へと連れ出された彼が見たのは、あの恐ろしい空を覆い尽くす慈愛の雨雲である。あぁ、あぁ……！！我が信仰する神よ、矮小で哀れな生物である我らを、その寵愛を以て外なる神よりお守りくださるのか！！

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