生後間もなくオーヴァードとして覚醒し、両親からUGN(丁度護人会→UGNへの変遷期にあたるため正式名は不明)へと譲渡されたオーヴァード。全身が黒い靄に包まれていたことから当時は「シャドウベイビー」という通称で呼ばれていた。

引き取られたチルドレン養成施設「ホーム」は残念ながら環境がかなり悪質であった。桐生 嚆矢をはじめとして、多くのチルドレンと出会ったが、その内何割かは既に死別している。

現在はHO3が支部長を務めるUGN支部のチルドレンとして活動しており、矢神への尾行任務に従事している。

ちなみに学校に通った経験は無い。

生まれたばかりで戸籍も無いオーヴァードの子供は、公に出来ないような実験に最適であった。名前の代わりに識別番号と呼びやすい通称…つまりコードネームを与えられ、人体実験の被験体となった。

実験の内容は「乳児期にあたるオーヴァードに大きなストレスを与え続けることで、急激な力の成長を促す。」というもの。思考力に乏しく生存本能に忠実、かつ当面は戦力として見込めない赤子のオーヴァードを即戦力化できる可能性を模索しての実験であり、高度な感情とは異なる本能的な感覚とレネゲイドの活性度の関連性を確かめるデータ収集も目的としていた。

プロジェクト・アダムガドモンの一環であり初期段階の実験の一つであり、当然公にされてはいない。しかし、研究チームの予想を超えた成長速度と後に独自に調査したことで、ある程度の実態は把握している。

結果は成功であり失敗とも言える。ストレスを与えた対象は急速に能力が向上し、通常よりも強力なオーヴァードとなった。しかしながら乳児の精神力では衝動を抑えることが出来ず、彼を除く全被験者がジャーム化してしまった。ノイマンシンドロームの保持者であり、レネゲイドの成長が精神的成長にも直結していたことが生き残った一因とされてはいるものの、危険度が大きすぎるということで実験は中止となった。

ただし、生き残った彼は経過観察として過酷な環境に身を置き続けて成長の度合いを測ることとなり、劣悪な環境で知られるホームに引き取られることになった。

厳しい環境で育ったため責任感が強く若干自罰的。
その反面他者にはかなり甘く、「ミスがあっても自分がフォローすればいい」という態度を取ることが大半である。
自己主張は余りせず与えられた仕事を淡々とこなすタイプなので、「扱いやすいオーヴァード」という評価を受けることが多い。

というのはお仕事中の話。仕事に直接関係のある話以外ではかなり自然体な印象になる。思ったことをそのまま口に出すので人によってどんな印象を受けるかは変わってくるかもしれない。

知識に経験が追いついていない部分が多々あるので、好奇心はかなり旺盛だと思われる。

訓練は過酷…とされていたが、「ある程度の難易度の訓練をギリギリのフリをしながらクリアする(精神置換+完全演技)」ことで他の人に比べれば余裕があった。過度に手を抜いていたわけでは無く、ジャーム化のリスクが無い範囲で訓練を行うための措置である。だからといってホームが過酷でなかったかと言われればそんなことは無い。

その最大の原因はやはり、友人のジャーム化率の高さだ。任務はおろか訓練でのジャーム化者まで出る上、仲間のジャーム化後の一定期間は連鎖的にジャーム化の危険度が上がっていってしまう。(ロイスがタイタス化し得るため。)そんな中、彼は少しでも多くの友人を生き残らせるために能力開発に力を注ぎ、実際にそれはある程度の効果を上げることとなった。

侵蝕率がギリギリな仲間をコッソリ休ませて自分が成り代わって訓練を受けたり、任務の際に上官に内緒でコッソリ武器や防具を買い漁る等、あの手この手で致死率ーーー至ジャーム率か？ーーーを下げたが、それでもゼロにすることは出来なかった。

自身の影を実体化させて手足のように操り、複数の銃火器から一斉に射撃を行う。故に武器の性能が戦闘スタイルと直結しており、状況に応じて都度必要な武器を入手して仕事が終われば手放している。ちなみに射程と連携の関係で普段は使わないが近接武器も問題なく扱える。

戦闘面以外でも調査、解析、調達等ありとあらゆる分野でトップレベルの能力を発揮する…が、代償として侵蝕率が嵩む。現実的な難易度であればほぼ確実に成果を挙げるため、ホーム時代は上司の無理難題を解決するために駆り出されていた。

なお、出生当初はウロボロスのシンドロームが未発見だったためノイマン×エンジェルハイロゥのクロスブリードだとされており、その万能性もコントロールソートや生き字引等の判定強化エフェクトの複数所持が理由だと思われていた。実際には最初からウロボロスのエフェクトを所持していたのか、あるいはインフィニティコードの発動に合わせて統合(リビルド)されたのか…真相は定かではない。

GR029(成長実験29番)-1(成功例)1(1番)と言う意味。ちなみに実験の項目で記載の通りGR029-12以降は居ない。失敗した場合はGR029-01,02…と番号が振られる。

拾われた当時と今とで通称の方が変化しているが、これには2つ理由がある。1つは単純に時間経過で赤子ではなくなったこと。もう1つはホームを出た後にたまに訓練の肩代わりをしていたことがバレたこと。1人で複数人の影法師のようなことをしていたため複数形となっている。

「ホーム」で同期のUGNチルドレン。訓練や任務を共にするほか、生活空間もある程度共有していたはずなので、自然と仲良くなっていったと思われる。入れ替わりの激しい「ホーム」内で長く生き残っていることと嚆矢の気質的に、一緒に年下のチルドレンの面倒を見ていたのではなかろうか。

過酷な環境を共に走り抜いた戦友であり、それとは無関係に大切な友達でもあった。嚆矢もそう思っていてくれたら嬉しい。

光は嚆矢の兄貴肌な性格に甘えて少々ワガママな部分があり、2人で居る時はアレをしたいコレをやろうと振り回していたと思われる。私生活でしっかり英気を養うのがジャーム化しないコツということで遠慮がほとんどない。

負担のかなり大きい役回りを担当しているため、そういう意味では心配をかけていたかもしれない。

死んでしまった時は非常に大きなショックを受けた。心の傷が消えたわけでは無いが、2年の月日の中で痛みに慣れることは出来た。今でも思い出すことはあるものの、日常的に表情が陰るようなことは無いだろう。