実は一般人だった頃から綺麗な物、素晴らしい物、好きな物を破壊し、殺したいという衝動を抱えてしまう生まれ持っての罪を背負ってしまったナチュラルボーンキラー。

しかし、優しく素晴らしい両親や友人に恵まれ道徳心に溢れた教育を受けた結果、彼女自身も道徳を理解し、信じ、人として善であることが正しいという良識を得ることが出来たため必死に大好きな皆と胸を張って共に生きられる様に生まれ持った殺人衝動を抑えるよう様々な試みを試した。

だが、いくら抑えつけようとも己の中でぶくぶくと誰かを殺したいという思いは増すばかりで歪みを直すことは叶わなかった。

だから彼女は諦めた。最後に心から信頼する友人に己の罪を告白し、誰かを害す前に自死しようと決意した。

そして、親友に罪を吐き出して逃げるように死に場所を求めて路地裏に入ったところにジャームと遭遇してしまい、抵抗の暇無くその一撃で致命傷を負う。

しかし、彼女の心はどこか晴れやかだった。

だってこれでもう、誰かを傷つけたいと思うことは無いのだから。

だが、何処まで行っても神様は意地悪で…。

息絶える直前に彼女を追ってきた友人が自分を助けようと必死にジャームへ攻撃を仕掛けたのだ。

タダの一般人が叶うわけもなく、自分と同じように親友もあっさり命を奪われてしまったのだ。

なのに…自分の中で真っ先に浮かんだのは親友を心配する悲しみでも、ジャームに対する怒りでも無く…親友を自分が殺せなかった落胆であった事に絶望しながら一度死んだ。

でも、蘇ってしまった。自分だけ蘇ってしまったのだ。

誰かを殺したいというこの症状も連れ添って。

だからせめて、正義の側には居よう。

胸を張って日常のため生きられたのだとあの世の親友に報告（懺悔）出来るように。

そんな最低な理由を引っさげ彼女は誰かの為というもっともらしい仮面を付けて日常の守護者達の門をくぐるのだった。