とある救助の際。日がみるみるうちに陰り海は荒れ、人を寄る辺から押し出す巨大な腕となり襲ったのだ。何としてでも助けたい、死なせたくない一心で救難者を追い海へ潜る。だが蒼黒い壁が重く、重くゆくてを遮る。救難者に手が届いた頃には、彼もとうに限界だった。死を覚悟したその時、オーヴァードとして覚醒。光を、見た気がした。
海中で何が起こったかを知る者はおらず、ただ奇跡のように浮上した彼を見て誰かが言った。
海神が憑いてるのだ、と。

覚醒した彼は、水と空気を操る能力を得た。
そしてその能力を最大限発揮する時、海が人の形を模したような無機質の姿へ変貌する。
その姿を言い表すなら確かに、人の思い描いた神なのかも知れない。

覚醒した後の、またとある救助の際。夜の海はたださざ波を立てたゆたうのみでも、光を呑み、人の脅威となり得る。意識を失った救難者を抱え、「海神」の姿で水面を目指す。その最中、微かな波と空気の震えから、水面近くにさっきまでなかった人の気配を感じ取る。まずい、何とか誤魔化さなくては。後で味噌汁に使うから、と心の中で謝りながらわかめを毟り、頭からひっかけて人外の姿を隠し、水面へ。

人の気配は、冒険気分で家を抜け出した少年。彼は何かが海中から昇ってくるなど露ほども思っておらず。黒く膨張したような体躯と薄青く光る眼、突如水中から浮上したそれを見て少年が言った。
妖怪ウミツチノコだ！と。

その後、夜の海で7色に光りながらポマードを啜り巨大化する妖怪の噂が星廻町に流れた。少年は二度と1人で夜の海に近づくことはなかったという。

星廻町(ほしねちょう)のUGN支部に所属し、戦闘部隊のリーダーを務めている。
幼い頃に母親が海難事故で亡くなったことがきっかけでライフセーバーを志す。
父の五泉との関係は良好。今では互いに支え合う家族であり、得意分野を活かし合う仕事仲間でもある。頭脳労働寄りの父と琉人は、微妙に似てない親子。母親似なのか、後天的な環境や努力から勝ち取ったものなのか。
五泉の作る焼きそばの具を、獲ってきてリクエストすることがある。琉人自身の料理のレパートリーは父と似たり寄ったり。味が濃くて量作れるものを何種類かサイクルする男の料理。