薬物中毒者の父親と、普通の母親の元に生まれた。母親は自分を置いて逃げた。通報により父親とは引き離され、施設で育つことになった。物分りの良い子で、よく他の子の面倒を見ていた。施設では普通の子供として育てられた。……が、やはり愛情やスキンシップに飢えていた。その中で自分が褒められること、認められることに価値を見いだし、よりそれが増えるように努めていた。
大きくなるにつれ、自分の親がまともだったら違ったのだろうか、といった疑念を抱くようになる。その疑念が消えぬまま、大人になった。

成人して直ぐにとあるオーヴァード関連の事件に巻き込まれ、記憶処理をされるものの何故かそれが効かない。仕方なくUGNが身柄を引き受け、職員として働くようになった。
そうして日々働く中で、偶然目にしたレネゲイドのアンプル。……これを使えば、力が手に入るのだろうか。もっと、自分の価値を認めて貰えるのだろうか。そんな悪魔の囁きに乗っ取られ、アンプルを腕に注射した。

その後、目を覚ました時に待っていたのは説教と、自分がアンプルの起源種に適合したということ。それに対してとても歓喜した。……が、UGNからは危機管理能力のなさを理由に降格処分を受ける。その扱いに我慢がならなくなり、UGNからFHへ転身。己の欲望を満たす存在──自分を認めてくれる主を探して、その力を振るっている。

ベルゼビュート、主を唯一としたその名を背負って。

若干胡散臭い。常に薄ら笑いを浮かべている。
「お初にお目にかかります、ワタクシ、ベルゼビュートと申します。以後お見知り置きを」
「ワタクシのマスターに手を出そうとするとは……全く、躾がなっていませんねェ？」
「内容は以上で宜しいでしょうかァ？　はァい、貴方の仰せの通りに」

2i ベルゼブブのエーイーリー（Iweleth、愚鈍）