容姿・経歴・その他メモ

島そのものである。
文明社会から切り離された離島では、今も古式ゆかしい原始的な自給自足が行われている。
海流・気流の関係上、衛星写真で存在は掴めても文明社会からの接触は難しいまま、年月は過ぎていた。

シアイアが産まれた日のことは、思い出すだけでも本当に恐ろしい。
原住民たちは、災害に対する「供物」として同胞を捧げることが完全に風習と化していた。
おぞましい儀式、人身御供を良しとする常識。
シアイアは、狂った儀式を行う住民達の只中、供物に選ばれ笑顔のまま息を引き取った少女の肉体に宿った。
冷たい肉体と、狂喜乱舞する人々。
シアイアは、災害に対する恐怖が産んだ、人間の意識を支配する「なにものか」である。

閉じた世界から、外の世界へ、自分の上に生きる民達を送り出さなくては。
そういった使命感から努力を重ねるシアイアであるが、文明レベルは育たない。
供物はいつしか「シアイアを宿した御神体」とされ、民族の間では絶対の王に等しい存在となっていた。
何度も代替わりする供物。シアイアはその時によって、少女であったり、青年であったり、老人であったり、家畜であったりした。
どのシアイアも、住民達は変わらず畏れ、崇め奉った。

果てしない年月の末。
シアイアは、漂着する機械部品を集め、自力でネットに接続した。
何故、自分はUGNという組織の存在を知っていたのだろうか？そんなことを気にする余裕なんてなかった。
かくして、今代のシアイアは、遥か遠い日本支部へわざわざ小舟で駆けつけた、という次第である。

シアイアは寄生した死体の耳を、おとぎ話のエルフのように細長くし、肌を健康的な褐色に染める性質がある。
シアイアは温厚で、慈悲深く、人間に対し母性を持って接する。
感染はしない。何故かは不明だ。ただの一度の例外もなく、住民達の儀式によって、シアイヤの自我は連続してきた。
シアイアの古い身体は、一瞬で島の土となる。

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