生まれる前

生まれる前の彼女には双子の姉がいた。だが、生まれた時には彼女一人しか生まれて出てくることはできなかった。
それは、彼女の姉が生まれる前からレネゲイドに感染し、オーヴァードになってしまったからだ。
命として確立していない生命にレネゲイドの影響はきつく、姉はレネゲイドによって体を蝕まれて体内で分解されてしまった。
分解され、流れ出た血は彼女の体内に吸収され彼女もオーヴァードに覚醒してしまう。

だが、双子の姉から受け継いだレネゲイドは毒素がなくなっており、彼女はオーヴァードに覚醒してからも肉体と精神を保ち、無事に生まれることが出来た。

生まれてから

生まれた彼女はオーヴァードだった。そして、その力の影響で死ななかったとはいえ力を制御できずにいた。
その結果、生まれた時から彼女には黒い翼が生えており、化け物の子供だと周囲から疎まれた。
小さな田舎町だった為、大事になることは無くUGNに目をつけられることは無かった。
そのため彼女は保護されること無くそのまま家で暮らすことになる。
父親は親戚や周囲からの嫌がらせから彼女を守っていたが、その負荷に耐えきれず自ら命を経ってしまう。
母親も彼女の事を化け物と疎まず育ててくれた。
だが、彼女が小学校に上がる頃には病気により死んでしまう。
残された彼女は親戚をたらい回しにされたがどこに行っても疎まれ居場所がなかった。
幸い羽は任意にしまえるようにはなったが、小さい町だった為噂が広がっていた為、学校でもいつも一人だった。

FHに拾われる前

両親が死んでしまってからはいつも一人だった為一人でいることや疎まれる事には慣れていたがストレスは彼女も知らないうちに限界を迎えてしまい、彼女が中学三年生のある日力が暴走し、多くの人達を傷つけてしまう。
生まれた時からあった力な為か、死人を出す事はなかったが、周囲からの扱いは前よりもさらに酷くなり、もうそこには彼女の居場所はなかった。

その事件以降学校にも家にも行かず、いっそ死んでしまおうかとこの街で1番高い所へと向かった。
だが、死ぬのは怖く彼女にはそれ以上先に進むことは出来なかった。
途方に暮れ、これからどうしようかと思っていたところにある人物が現れる。

その人物はFHセル｢鳥籠の門番｣のセルリーダー｢絶界の巫女｣だった。
絶界の巫女は彼女に自分達の仲間にならないかと誘われる。
最初は戸惑ったが、自分とおなじ力を持った人がいる、疎まれることはなく自由に自分らしく生きていけると言われて彼女は｢鳥籠の門番｣のエージェントになった。

それ以来彼女は自分を救ってくれたセルリーダーに恩を返すために力を得て、役に立とうと努力をした。
セルでの生活は今までの生活と違い、任務で怪我をしたり大変な目に会うこともあったが、疎まれる事はなく、セルで仲良くなった子と遊んだりと楽しく暮らすことが出来た。
家から出て通えないと思っていた高校も任務のついでに通うことが出来ている。

現在

そんな生活を続けていたある日、彼女も力をつけてセルでは優秀な人材として扱われるようになって行った。
だが、その日セルを襲撃していたUGNエージェント｢秋雨月夢｣と戦い敗北。セルで行おうとしていた任務も失敗してしまう。
それまでは殆ど任務を失敗する事がなかったのに、今回はたった1人に勝つ事が出来ず完全に敗北してしまった。
セルリーダーや仲間達は誰も責めるような事はしていなかったが、彼女は自分が弱いせいで足を引っ張ってしまったと思い、前よりもさらに力をつける為の努力をしていった。
もうこんな敗北をしない為に。
そして、次こそは自分達のセルを襲撃した｢秋雨月夢｣に勝つために。

制約の瞳

秋雨に勝つ為には力が必要だった。今のままでは負けてしまう。誰も守れない。
彼女は力を得る為に、絶界の巫女に以前手に入れた遺産の契約者になる事を頼んだ。
最初は断られ、中々遺産の契約者にはしてくれなかった。
遺産と契約をするという事は、死にジャームに近づいてしまうからだ。
だが、何度も頼み続けた事で覚悟が伝わり、絶界の巫女は彼女に遺産を渡す。
その遺産が｢制約の瞳｣。
彼女はその遺産と契約を交わし、遺産は彼女が秋雨との戦闘で失った右眼の代わりになり、彼女と一体化した。

右眼と一体化した事で、レネゲイドの流れが見えるようになり、レネゲイドコントロールが上手くなった。
だが、それと同時に人の感情が見えるようになってしまい、元から人を信じる事が苦手な彼女はもっと人が信じられなくなってしまった。

現在信じられる相手は絶界の巫女のみで、その感情も少し歪んだものとなっている。

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