容姿・経歴・その他メモ

「お願いします！どうか、どうかサツキをおうちに返してください！」
「ん～…？あっ！コラ！そこはお賽銭箱なの！お供え物をするならそっちの祠にしてって言ってるでしょー？」
社の戸口から現れた巫女装束に身を包む少女に、少年は一切の反応を示さない。
「あっ、そうだ、サツキは僕くらいの大きさで、女の子で、お肉が好きで…」
「んん～？女の子行方不明になったってゆー話？」
現われた少女は狐の耳と尾を持っており、少年が供えた油揚げをひょいとつまんで頬張るが、やはり少年は反応を示さない、まるで少女の姿が、少女の行動が見えてないように。そうして少年はまくし立て、最後に、
「……サツキは、僕の、僕の大切な友達なんです！よろしくお願いします！」
「………」
そう叫ぶと深々とお辞儀をし、鳥居に向かって駆けていった。
「んにゃあ…お供え物ももらったし、うちの神様は忙しそうだし、いろはが神様代理で解決してあげるかにゃ～」
そうつぶやくと、床を一蹴り、少女の体が宙に踊る。
「桜那さまー！ちょっとお社を留守にしますよ～」
桜色を翻して巫女装束が宙を泳ぐ。石段を下る少年の頭上を影が通り越すが、やはり反応はない。
「よ～し、久しぶりの参拝者さんだから気合い入れていくぞ～」

数時間後、誰に届くこともない少女の声が夕暮れの街に響く
「サツキが犬なら最初からそう言え～～～～～～～～！！！！！」

経歴

伊呂波狐いろはは、夜桜神社に祀られし永八百桜那比売に仕える狐の巫女だ。元々は中世に生きる神力を持つ野生の狐だった(*1)が、永八百桜那比売に見初められ、力を貸し与えられる(*2)ことで巫女になった。そうして巫女や宮司や神様代理の仕事を果たしつつ、数百年を生きてきた。
神社に参拝者がほとんど来なくなってしまった(*3)現代でも、相変わらず巫女としての仕事に真剣に取り組んでおり、いつでもお社はピカピカだ。
本人は神に力を貸し与えられたことを誇りに思い、嬉しく思っているが、力を貸し与えられたと同時に、彼女の姿はほとんどの動物や人には見えなくなってしまった(*4)。本人もそのことは少し寂しいと思っているらしく、自分のことが見える人間や動物に出会うと大いに喜び、しばらくの間ついて回るらしい。
本人はレネゲイドの力のことをよくわかっておらず、神力や妖怪の力として理解している。


　*1　キツネのアニマルオーヴァード。一般にアニマルオーヴァードは、群れの長やその縄張りの支配者になることが多いようだが、いろはは同族から爪弾きにされていたようだ
　*2　強力なRBに力を分け与えられた、あるいは協力型のRBに取り憑かれた(貴種の接吻/奇妙な隣人)
　*3　RBの能力「マヨヒガ」が無意識に発動していて、神社にたどり着けるものが少なくなっている。社務所兼住居は完全に「マヨヒガ」の影響下で、非オーヴァードにはたどり着けないようになっている
　*4　オルクスに発現する能力の1つ《透明存在》が強制発動している。そのためオーヴァードに覚醒したもの、その素質を持つもの以外には、いろはが認識できなくなっている

セッション履歴