“プランナー”都築京香

艶やかな黒髪の少女。外見年齢は10歳ほど。
無機質な美しさを纏い、穏やかな微笑は決して崩れない。
レネゲイドの進化を目的とする“プラン”を張り巡らせている……が、その全容を知る者は誰一人としていない。

人格は大人びており、所作は非情に落ち着いている。
静かに語り聞かせるような口調で話し、超然とした雰囲気を帯びる。
話の要領を得ないことも多いが、虚言を用いることはない。

意思を持つ最初のレネゲイドビーイングの一人。
その出生は明らかにされておらず、彼女自身も語らない。
かつてはFH日本支部長として辣腕を振るい、日常に大きな影響を与えてきたが、今はゼノスを率いている。
UGNにもFHにも変わらず接し、具体的な相互利益を提示し交渉する。もっとも、相手の個人的な感情で決裂することも珍しくはないが。

ゼノス構成員、レネゲイドビーイング達には彼女なりの情をもって接しており、彼女を親や姉のように慕う個体や、友人としての関係を維持している個体も少なくない。
同時に、その得体の知れなさから距離を置く者も存在している。
事実として都築京香はプランの遂行に手段を選ばず、障害として排除されたものもまた、少なくはない。

5年2組の転校生

「皆さん初めまして。今日からこのクラスでお世話になります、都築京香です」

そんな都築京香がN市立・竹松小学校に姿を現した。
教壇に上がり、そつなく自己紹介をする彼女の顔からは、その目的は伺い知れない。
何を企んでいるのかと思いきや……学校での彼女の姿は予想だにしないものだっただろう。

成績は優秀だが飛びぬけて目立つほどではなく、体育や家庭科などの実技はやや苦手。
ペンケースには小さな動物モチーフが総柄としてあしらわれている鉛筆と、数本の蛍光ペン。パステルカラーの消しゴム。
キャラクターの絵が隅に添えられた淡く色のついたメモ帳。流行のキャラクターシールや立体シールを少量。
自分から発信することは少ないが、クラスメイトの話にはよく耳を傾けている。内容は女子特有の「誰と誰が仲良し」といった小さな噂話や、最新のアイドルグループやアニメの話。興味や驚きの色を浮かべながら短く相槌を挟みながら、時々笑みをこぼす。

彼女はまるで、平凡な子供のように過ごしていた。


何が目的か、と問いかければ彼女は微笑む。

「現在、最も遠大で、唯一無二のプランを実行中です」

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