キャラクター設定

概要・性格

　デザートミラージュに所属する超人兵士(スペリオル)。
　能力的な適正から戦場では偵察や斥候役を務めることが多い。

　過去のトラウマから失声症を患っており、基本的にしゃべることができない。
　それでも曲がりなりにも他者とコミュニケーション可能なのは、意志を持つおしゃべりな遺産(レガシー)である"夜の小鳥(ナハトムジーク)"によるところが大きい。

　ナハトムジークは彼女のことを専ら『オディール』としか呼ばないため、デザートミラージュ内でも彼女の本名が『ベアトリクス』だと知る者はほとんどいない。
　ベアトリクスはナハトムジークのことを疎ましく思いながらも他者との関わりに必要な存在だと諦めを籠めて認めており、心のどこかでナハトムジークに依存している。

夜の小鳥(ナハトムジーク)

　『よォ、コイツへの話はオレを通してくれよな』

　生きたレガシーである黒い木彫りの小鳥。
　イタズラ好きで態度がでかく、おしゃべり好きでかしましく、およそ人間らしい情というものを持ち合わせていない悪辣なクソ鳥。
　しかしレガシーとしての力は本物で、適合者と自身の気配を完全に断つことができる。
　ベアトリクスと同じ声をしているため、彼女の内面を察しながら歪んで伝えることもしばしば。

　なお、ベアトリクスのことを『オディール』呼びするのは彼女の過去の経験を擦るためであり、完全に趣味。
　盗みを奨励するが、その際に生まれる心の動きや、それに関わる人間模様を好んでいる。

武装：七本のナイフ

　エノク書における七大天使であるところの『レミエル』『ゼラキエル』『ラグエル』『ウリエル』『ラファエル』『ガブリエル』『ミカエル』の名前が柄に彫られた頑丈な七本のナイフ。
　しかし『ミカエル』は戦闘用のナイフではないため、振るわれることはない。
　もともと『ミカエル』は"ベアトリクス"のものだった。

"ベアトリクス"

　ベアトリクスという名前は本当は誰かに名づけられた名前ではない。

　孤児院にいた頃、彼女に名前はなかった。
　引っ込み思案だった彼女は名前がないことに不自由を感じてはいなかった。

　そんな彼女の前に"ベアトリクス"という少女が現れた。
　彼女と友達になりたいと言う"ベアトリクス"に名前を訊ねられた彼女は咄嗟にベアトリクスと名乗り返した。

　そう、名乗ってしまった。

　その一か月後のことだった、"ベアトリクス"が亡くなったのは。


　『いいじゃないか、これでお前がベアトリクスだ』


　羽ばたきとともに、そんな声が聞こえた。
　盗むことを何よりも愛する黒い悪魔が、彼女の傍に舞い降りたのだ。

　──そして彼女は『声』を盗まれた。

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