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【太陽に焦がれて】

弟の憂星とするヒーローごっこが好きだった。交代でヒーローと怪物をやったり、2人1組のヒーローになったり…。
その日僕たちは2人1組のヒーローだったけれど。"本物”の怪物になんて勝てるわけがなかった。
だから…テレビのヒーローじゃない、"本物”のヒーローを見て、眩しいと思った。カッコいいと思った。憧れた。
そして、僕たちもそんな“本物”のヒーローになりたいって思ったんだ。

【月に化かされて】

その“裏切り者(ダブルクロス)”はUGNに入ったばかりの頃出会った“初恋”だった。

自分には炎しか扱えなくて、燃やすことしか能がなくて。最初のうちは扱い切れず容易く味方を傷つけた。
…憂星は笑って許してくれたけれど。それが酷く耐えられなかった。

その日は…憂星に内緒で、屋上で一人で特訓をしようとした。
“彼女”は―“青い月(ブルームーン)”は屋上で煙草を吸っていた。
ライターを持たず、青い炎を操って煙草に火を着けた彼女は、僕を見やると興味深げに声を掛けてきた。
「一服に来た、って顔じゃあなさそうだね、ボク？」
月夜に照らされて酷く妖艶に見えた彼女に、僕は悩みを打ち明けた。…憂星には言えなかったから。
きっと怖かったんだろう。一緒に“ヒーロー”になる約束をしたのに、自分に才がないのを思い知らされるのが。
「ふぅん？じゃあ、お姉さんが教えてあげようか？」
こうして秘密の特訓が始まった。沢山教わって、沢山話をして…。
「ああ、煙草(これ)？　気になるかい、ボク」
彼女はその煙を吸うと、僕の口に含ませた。

…彼女の教えもあって、僕は力をだいぶ使いこなせるようになった。
しばらくして裏切者を精査・処分する部隊に配属された。
UGNは僕にとって正義だった。だから、その裏切りは“悪”だと思った。
彼は、彼女は、“悪しき心”を持つ故に裏切ったのだと。
だから僕はその仕事に何の疑いも持っていなかったんだ。
―裏切り者のリストに“青い月(ブルームーン)”を見るまでは。

いつもの屋上で、どうして裏切った、と問い詰めた僕に、彼女は自由になりたいからだと言った。
「ねぇボク、君はいつから人を殺すことを躊躇わなくなった？」
僕はその質問に答えられなかった。

彼女は僕らが“処分”に来た時も、笑って、煙草を取り出して、

「ねぇ、火、つけてよ。出来るでしょ、ボク？」

僕は彼女を燃やしながら、“人を殺すのが怖くなった”。
“人を殺し続けてきたその事実に耐えられなくなった”。

憂星に聞いた。「僕たちはいつから人殺しになったのだろう。」
…その答えを聞いた僕は、
ただ、
怖くて、
怖くて、

「僕たちは人を救うヒーローになれるのかな。」

何のためにUGNにいるのかが分からなくなった。
僕は憂星に「逃げよう」と言った。

その時何と言われたかは覚えていない。ただ、僕が今独りなのが、その答えなんだろう。

“UGNで活躍するヒーローになる”。あの日の約束から逃げ出して、僕は。
僕の手には、何が残っているのだろう。
憂星を傷つけることが怖かったあの日の僕は、どこに行ってしまったのだろう。

履歴

うおおお双子の兄やりてぇ！
→憂星(夕星、ゆうづつ)が宵の明星ならお兄ちゃんは明けの明星だよな～
→明けの明星ってルシファーじゃん　堕天使じゃん
→ダブルクロスじゃん…←今ココ

人を救うヒーローになりたかったのに人を殺していることに気付いて怖くなった子。
殺す力に特化して調整されているため、戦えば必ず傷つけてしまう。
多少火加減が出来るようになったのは、煙草に火を灯すような繊細な炎使い“青い月(ブルームーン)”のおかげ。

CN:航海の炎(セイントエルモ)
セントエルモの火→船上の発光現象
カストルとポルックス→ふたご座。2つのセントエルモの伝承。航海の守護神。導きの炎。
航海=後悔

相性は「アキ」。

『Seed in the Cage』
①：UGN　憧憬/✓隔意　→タイタス化
②：ヒーロー　✓憧憬/不信感
③：二色憂星　友情/✓隔意
④：”青い月”　恋慕/✓悔悟
⑤：「アトランティス」✓連帯感/不安
⑥：「自由」✓憧憬/悔悟

R-9、薊淋夜

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