その正体は、飛鳥時代の大豪族である物部氏を源流とする忍者一族“裏部衆(うらべしゅう)”の末裔にして第89代当主である。
　裏部衆は元々物部氏の暗部を務める分派であったが、物部氏の衰退と共に朝廷に下り、それからは時の政府の手足として裏の世界で活動を続けていた。また、人ならざるもの(レネゲイドやオーヴァード)の存在についても把握しており、平安時代には検怪異使と協力して都を脅かす魑魅魍魎の征伐を行っていたとされる。その後、時の流れの中で裏部衆は勢力として衰退していったものの、UGNが設立されるまでは国の依頼を受けてレネゲイド事件の対応にあたっていた。
　蓮華は裏部衆の前当主の娘であり、生まれてすぐに一族の秘術によってオーヴァード化し、くノ一として修行や任務の日々を送っていた。オーヴァードと忍者両方の資質に恵まれた彼女は幼い頃から活躍を重ね、14歳で次期当主を襲名。そして17歳には任務の途中に出会った同業の男(めちゃくちゃ顔が好み)と猛アタックの末結婚、1年後には娘の暁美を出産し、人並みに幸せな人生を歩もうとしていた。
　しかし、暁美を出産した直後、雷を操る狼型神格級EXレネゲイド"禍大神(まがおおかみ)"が東京近郊に襲来した。日本を揺るがしかねない災厄に裏部衆は一族を挙げて討伐を行おうとしたが、神の如き力の前にあえなく壊滅。蓮華の夫も戦いの中で彼女を庇って死亡した。その後、蓮華は1対1の死闘の末奇跡的に禍大神を自分の体に封印したものの、荒神を体に宿した自分が娘の側にいるのは危険だと判断。暁美を使用人の老夫婦に預けて家を離れ、あてもない放浪の末に神興島へと流れ着いた。
　元々の彼女は基本的に冷静沈着な仕事人であるが、封印を出来る限り安定させるため、オーヴァードとしてのほぼ全ての能力に加えて身体能力や思考能力、五感の一部を削っている。さらに、体内に封印されている禍大神の影響で体が巨大化しており、俊敏な身のこなしや過去に身に付けた体術、その他元々の身体をベースとして鍛え上げた技術を軒並み失っている。おっとりしていたり不器用に見えるのはそのためで、本人も気にしているが封印の安定のためには仕方ないと割り切っている。また、彼女がチルドレン達の母親のように振舞っているのは実の娘に向けるはずだった母性の発露でもあり、1人きりの時は時折外で本島の方角を眺めている。