かつて。神は己らの代わりに地球を管理する存在として、最初に蛇を作り出した。しかし、蛇はあまりにも狡猾過ぎた為その腕と足をもがれ、地を這う生き物となった。
　その次に、自身の見た目を模した動物、ヒトを造った。己らの命令を完璧に従い、敬う存在を。
　神はヒトに、自身より劣った権能のみを与えた。全能ではなく、知能を。増殖ではなく、生殖を。といった具合に。
この時、神はヒトに「善悪」と「想像力」、の権能を除外した。これらの力は生きるにおいて不必要だったからである。
　しかし、神を恨んだ蛇の策略によって、自身の善悪そして自身らの最大の権能である想像力を果実という形で具現化させた。そして、その果実をヒトが食べるよう、蛇がそそのかした。
　これにより、ヒトは人となり、想像力が芽生えた。
これを知った神は、人を楽園から追放し、見殺しにした。自身の劣化が、自身の誇る最大の権能を得てしまったからである。
　しかし、想像力を得た人々は、自我を持ち、己の矮小さを自覚してしまった。それ故に、神さえも持たぬ権能「協調性」を得た。
　人を抹殺するため、神は人より強大な生物を生み出し、天変地異を起こし、はてには人の意識へと入りこみ、大戦争を起こすよう誑かした。それでも人は消え去らず、なおも増殖した。そして、果てには「科学」という新しい神を生み出し信奉し始めた。
　これに耐えられなくなった神は、己の持つ力を全て用い、今の人類に取って代わるための「新人類」を作り出した。
　あらゆる現象、技、兵器を即座に学習し、応用する知性を。どんな環境でも、その身一つで適応出来る肉体を。現人類と協力せぬよう、暗号化された喉と増殖能力を。そして、神の御言葉に背かぬよう、空っぽの自我と想像力を。
こうして生み落とされた「神造人間」は、人を殺戮し続ける。己を生み出した「親」の命に従いながら。

存在しないが、傍から見ると純粋に見える。