“死神の天秤”天野 獄
プレイヤー:奏夜
『…存外、長生きというのも悪くないかもしれない』
『誰かがそばにいるということは、
それだけで意味があると、私は思う』
- 年齢
- 30代(実年齢自分でもわかってない)
- 性別
- 男
- 星座
- 天秤座だと思ってる
- 身長
- 185
- 体重
- ?
- 血液型
- B型
- ワークス
- 研究者
- カヴァー
- フリーター
- ブリード
- クロスブリード
- シンドローム
- モルフェウス
- ブラム=ストーカー
- HP最大値
- 26
- 常備化ポイント
- 6
- 財産ポイント
- 6
- 行動値
- 10
- 戦闘移動
- 15
- 全力移動
- 30
経験点
- 消費
- +24
- 未使用
- 0
ライフパス
出自 | 周りよりもゆっくりとした時間を過ごしていた気がする。気が付いたら周りには誰もいなかった。親も友人もみんな、時間の波に流されて私を置いていったんだ。 | |
---|---|---|
天涯孤独 | ||
経験 | ずっと一人でいた自分に手を差し伸べてくれた親友は、あの日彼の愛しい人と共に炎に喰われた。最期に自分の子供の未来を私に託して。 | |
永劫の別れ | ||
邂逅 | 親友と出会ったあの日、彼は誰よりも眩しく見えた。 | |
慕情 | ||
覚醒 | 侵蝕値 | いつから使えていたのかわからない。いつも聞こえてくる声がモノから聞こえていたのに気付いたのは、周りから誰もいなくなってからだった。 |
無知 | 15 | |
衝動 | 侵蝕値 | どうして私が、俺が、こんなつらい思いをずっとしないといけない?いつまで生きていなきゃいけないんだ?…全て憎い、この世界も、何より自分のことが。 |
憎悪 | 18 | |
侵蝕率基本値 | 33 |
能力値
肉体 | 2 | 感覚 | 4 | 精神 | 2 | 社会 | 1 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
シンドローム | 1+1 | シンドローム | 2+2 | シンドローム | 0+1 | シンドローム | 1+0 |
ワークス | ワークス | ワークス | 1 | ワークス | |||
成長 | 成長 | 成長 | 成長 | ||||
その他修正 | その他修正 | その他修正 | その他修正 | ||||
白兵 | 射撃 | 2 | RC | 1 | 交渉 | ||
回避 | 1 | 知覚 | 1 | 意志 | 調達 | 2 | |
知識:心理 | 2 | 情報:学問 | 1 | ||||
知識:レネゲイド | 2 |
ロイス
関係 | 名前 | 感情(Posi/Nega) | 属性 | 状態 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
Dロイス | 古代種 | ― | ルーラーLv1を取得。これに経験点は必要ない。 | ||||
親友 | 苧環 良太郎 | 遺志 | / | 悔悟 | 自分のことを理解してくれた人間。もしあの日に戻れるなら、できることなら、代わってやりたかった。けれど、ちゃんと遺志は継ぐ。それは私にしかできないことだから。 | ||
父 | 四華 ヤオト | 懐旧 | / | 脅威 | 数百年経ってやっと会えた父。この人はどこまでも変わらない。だからこそ、安心できるし、またいなくなってしまったらと考えるのが怖くなる。 | ||
シナリオ | ホプ | 庇護 | / | 不安 | 見知らぬ女性に頼まれたロボットの少年。希望の名を持つにふさわしく、とても心の優しい子だ。旅立ちを見送ったからには、彼が帰ってこれる場所になってあげよう。彼が私を覚えている限り。 | ||
協力者 | 兵東 禊 | 感服 | / | 無関心 | 今回任務で同行したエージェント。たしか少年と同じ支部に所属しているとか。よく周りを見ているし、仕事への姿勢がとても良い。 | ||
協力者 | 才本 洋平 | 尊敬 | / | 無関心 | 潜入先で出会った私立探偵。幼いような見た目だが、しっかりしている。 | ||
元凶 | 神崎 潔衣子 | 同情 | / | 憤懣 | どれだけ能力があろうと、他人を踏み台としてしか見れないのであればその先に進めないことを理解しろ。 |
エフェクト
種別 | 名称 | LV | タイミング | 技能 | 難易度 | 対象 | 射程 | 侵蝕値 | 制限 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
リザレクト | 1 | オートアクション | ― | 自動成功 | 自身 | 至近 | 効果参照 | ― | |
(Lv)D点HP回復、侵蝕値上昇 | |||||||||
ワーディング | 1 | オートアクション | ― | 自動成功 | シーン | 視界 | 0 | ― | |
非オーヴァードをエキストラ化 | |||||||||
ルーラー | 2 | セットアッププロセス | ― | 自動成功 | シーン(選択) | 視界 | 6 | Dロイス | |
そのラウンドの間、対象が行うあらゆる判定のダイスを-Lv個する。1シナリオに3回まで使用可能(上級P.63) | |||||||||
万能器具 | 1 | メジャーアクション | ― | 自動成功 | 自身 | 至近 | ― | ― | |
大気やその場にあるものを使って、日用品を作り出すエフェクト。GMは必要と感じたなら〈RC〉による判定を行なわせてもよい。(R2 P141) | |||||||||
成分分析 | 1 | メジャーアクション | ― | 自動成功 | 自身 | 至近 | ― | ― | |
物体の構成要素を瞬時に割り出し、そこに含まれている元素とその性質を正確に把握するエフェクト。GMは必要と感じたなら〈RC〉による判定を行なわせてもよい。(R2 P140) | |||||||||
サイコメトリー | 2 | メジャーアクション | 〈情報:〉 | ― | ― | ― | 2 | ― | |
その場所で起きたことを物質から引き出すことができる。全ての〈情報:〉判定と組み合わせることができる。このエフェクトを組み合わせた判定のダイスを+[Lv+2]個する。 (R1 P141) | |||||||||
コンセントレイト:モルフェウス | 2 | メジャーアクション | シンドローム | ― | ― | ― | 2 | ― | |
組み合わせた判定のC値を-Lvする。(下限値7) (R1 P169) | |||||||||
カスタマイズ | 2 | メジャーアクション | 〈白兵〉〈射撃〉 | 対決 | ― | 武器 | 2 | ― | |
武器を自分に最も適した形に変化させる。このエフェクトを組み合わせた判定のダイスを+Lv個する (R1 P140) | |||||||||
赫き弾 | 1 | メジャーアクション | 〈射撃〉 | 対決 | ― | 武器 | 2 | ― | |
弾丸に血を纏わせ武器の強化を行なう。このエフェクトを組み合わせた射撃攻撃の攻撃力を+[Lv×2]する。ただし、このエフェクトを使用したメインプロセス終了時に、貴方はHPを3点失う。 (R1 P116) | |||||||||
クリスタライズ | 1 | メジャーアクション | シンドローム | 対決 | ― | ― | 4 | 100% | |
攻撃を当てた場所から、対象を結晶化させて砕く。このエフェクトを組み合わせた攻撃の攻撃力を+[Lv×3]し、対象の装甲値を無視してダメージを算出する。1シナリオに3回まで使用可能 [R1 P143] | |||||||||
ハンドレッドガンズ | 2 | マイナーアクション | ― | 自動成功 | 自身 | 至近 | 3 | ― | |
物質を変換し、射撃戦用の武器を生成し装備する。使用したシーンの間、武器を作成し装備する。 種別:射撃 技能:射撃 命中:0 攻撃力:+[Lv+4] ガード値:- 射程:30m | |||||||||
砂の加護 | 3 | オートアクション | ― | 自動成功 | 単体 | 視界 | 3 | ― | |
対象が判定を行なう直前に使用する。その判定のダイスを+Lv個する。1ラウンドに1回。(R2 P136) |
コンボ
一般アイテム | 常備化 | 経験点 | 種別 | 技能 | 解説 |
---|---|---|---|---|---|
アパタイトの【ジェム】 | その他 | 効果参照 | ホプが大好きな人に贈ったアイテム。困難を乗り越え、友情を育んだ2人の間には強い絆、または言葉では表すことができないほどの大きな関係だ。その想いを原動力に攻撃を放った時、星空が瞬き、貴方を支えてくれるだろう。 効果:攻撃の判定を行なう直前に使用する。その判定の達成値を+5する。この攻撃は1シナリオに1回まで使用できる。 『少年が旅に出る前に渡してきたアパタイトのペンダント。 希望《HOPEFL》はいつもそばに。』 獲得条件:HOPEFL卓PC①でトゥルーエンドクリア。 |
経験点計算
能力値 | 技能 | エフェクト | アイテム | メモリー | 使用総計 | 未使用/合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
0 | 10 | 144 | 0 | 0 | 154 | 0/154 |
侵蝕率効果表
現在侵蝕率:
容姿・経歴・その他メモ
「俺は天野獄だ、よろしくな」
「だーれがおっさんだこらァ!」
「はいはいわかった!相手してやっから落ち着け!」
飄々とした性格の男性。
普段はバイトをしながら一人暮らしをしている。
バイトの後輩である苧環竜太に対しよくちょっかいを出している。
基本的に喧嘩は苦手だが勝てないわけではない。
結構抜けているところもある。
月に一回欠かさずとある場所に行っているらしい。
「…私に何か?」
「…こんにちは、少年」
「長いこと生きていると、諦めたくもなるんだ」
「死ぬ、か…生憎、その考えはどっかの馬鹿にどやされそうだから、もう考えてないけれどな」
本来はとても静かで冷静な男性。表向きの性格は親友の話し方を彼なりに真似たもの。
古代種として長い時間を生きてきたため自分の年齢が本当は何歳なのかわかっていない。
元とある支部の研究員。現在は研究はしていないが協力者もとい監視対象として支部に在籍している状態。
『死神の天秤』というのは学生として生きていた時に出会ったとある青年に面白半分で聞いて付けられたもの。
死なない、老いない身体に苛立ちとあきらめを持っており、一時期は何度も自傷を繰り返していた。
他人に付けられた傷は残らないが、自分で付けた傷はなぜか残ってしまうらしく、中でも左胸には大きな傷跡が残っている。
時が経ってとある任務にあたってから数百年ずっと忘れていた大事な「父親」を思い出し、少しだけ前向きになった。
********
過去話
周りと違う時間の流れの中で生きてきた。
それに気づいたのは周りに誰もいなくなってからだった。
周りは段々と成長していくのに、自分の姿はほとんど変わらず。
周りから聞こえる声は物心つく前から聞こえていた。
自分はいつ生まれたのか、いつから生きているのかすらもう考えるのも疲れた。
とりあえず見た目は10代くらいのままだったから、高校というのにも通った。
ただ毎日が退屈で仕方なく、「死にたい」なんて言葉をいつも口にしていた。
そこで出会ったのがのちに自分が唯一親友と呼んだ人間である、苧環良太郎だった。
ずっと一人でいた自分に、興味がわいたからと話しかけてきたらしい。
どうせまたほかの奴同様に離れていくだろうと放っておいたが、いつまでたってもこいつは自分のところに話に来た。
結局卒業しても、大学というものに通ってからも、彼が結婚してからもずっと交流は続いた。
自分は自分で、自分の身体について本格的に知ろうと思うようになって、とある支部の研究員になった。
モノから聞き取る以外にあった、もう一つの能力と向き合い、変わらなかった姿を少し成長させることもできた。
周りの年齢と外見年齢からして、これくらいが妥当か?という成長具合だが。
急激に変わった自分に彼は、「お前どした?!イケオジってやつに目覚めたか?!」とかなんかいっていたけれど。
それでも離れていかない親友は、つくづく物好きだと思った。
ある日研究室にいたときに鳴り響いた携帯の音。親友からの着信。
けれどなぜか嫌な予感が頭をよぎり、いつもは馬鹿みたいに静かな心臓が早鐘のように動いている気がする。
焦る気持ちを押さえつけ、急いで彼がいる元へと走った
たどり着いた場所は一面火の海。鉄が溶けるにおい。自然災害ではない、人工物が引き起こした惨状。
鉄くずたちの声を聴きながら姿を探し、ようやく見つけた彼は真っ赤に染まっていて。
まだ息はあった。
生きろよ、と震える手で彼の傷に触れようとすれば、困ったような笑顔でその手を止める。
「俺はもう無理だよ、それに、嫁さんを一人で向こうにいさせるわけにいかない」
隣に眠るもう息のない伴侶を撫でながら、子供たちと獄にはまだ生きててほしい、と彼は言う。
「あいつらのこと、お前にお願いしたいんだ…だから、昔みたいに死にたいとか言うなよ、獄」
電話で呼ばれて最期に言うことがそれか、なんて言えなかった。
それでも自分は頷くことしか出来なかった。
親友は妻と共に命を落とした。 最期に息子と娘のことを自分に託して。
小さな妹の身体を抱えながら、少年は火の海から逃げていた。このままでは二人とも消えてしまう。
自分はその息子に問う。
「少年よ、君は、何を願う?」
どうか、生きたいと願ってくれと思いながら。
『妹を助ける為なら、なんだってする…!だから、頼むから、助けてくれ…!!』
…ああ、やはりこの子はアイツの子供だ。
自分の事より周りのために自分を犠牲にする。
優しく、誰より強い閃光のような意志の持ち主。
「…その願い、聞き届けた」
代価は記憶、いつか彼が大きくなって、ちゃんと現実に向き合えるくらいになってから返そう。
その時まで、私が彼らを見守ろう。何があっても、あの二人の代わりに。
自分の血を受けて、覚醒した彼は妹を抱えて飛び去った。
あれならとりあえずは大丈夫だろう。
とりあえず残った両親二人の亡骸を回収しようと思い踵を返す。
そこで聞こえたくぐもった声。二人がいた場所から離れた、もう一つの塊から聞こえる。
…ああ、なんだ、まだ生きていた。自分にとっての仇。
二人を移動してからその声に近付く。座り込むことはせず、ただ見下ろす。
何かを言いたげな目をこちらに向けてくる。自分でも驚くくらい冷ややかな視線をそれに投げかける。
「…助けるとでも思ったか?私は心底イラついているんだ。お前がやったことのことの大きさに気づいていないのか?」
鉄くずたちに聞いた、事故の真相。目の前の人間の飲酒運転と前方不注意。
こいつに、こんなものに、彼らは未来を奪われた。
なら、こいつの未来が続くのはおかしいだろう?なら言い渡してやろうではないか。
「安心して逝くといい、【死神の天秤】が、お前の死を見届けてやる。最も天国なんてお前には行かせないがな」
かつて親友が面白半分で聞いてきた、『もし漫画のような二つ名があるとしたらどんなものをつけるか』
その時彼が私に付けたのが、この名前だ。
「かっこいいし、お前の名前天国と地獄どっちもついてんだろ?お前頭いいし、絶対陰で暗躍して相手を見定めて天地どちらかに導く!みたいなさ」彼は笑ってそういった。
あの時は恥ずかしくて言わなかったが、なんだかんだ、気に入っていたんだ。
これからは名乗ることにしよう。彼が生きていた証にもなるだろうから。
気が付くと目の前のモノから声は聞こえなくなっていた。
研究室に帰ってからは時が過ぎるのは早かった。
一人の人間の命を見捨てようとしたこと、一人の人間をオーヴァードにしたことを理由に研究資格をはく奪。
古代種という稀な事例のため、永久凍結ではなく監視対象として生かされることになった。
永久凍結だけは避けたかったので、なんとまあ寛大な措置だろうと感謝することにした。
表で生きていくうえで恐らくこの性格は生きにくいのだろう。稀に怖がる人間がいる。
…彼の真似をすれば少しは溶け込めるか?
一人称を変え、話し方も少し明るく。
「おし、じゃあ今日も張り切っていくかぁ」
ぼろが出たらまあその時はご愛敬。
今は自分のやるべきことをするだけだ。
遠い昔の話。
元は平安時代あたりの武家の息子だった。本名は「天野慧(あまのけい)」
生まれて物心ついたころから物質からの声を聴きとることができた。
そのせいかわからないが、周りと関わるのが上手くできなかった。
この力に関して両親は理解はしていた。
「ほかの人にはそのことは言わないようにするんだよ。母と父とだけの秘密だ」
と、言われていた。
ただ母親は自分が18歳頃の時に病死。その後後を追うように父親も亡くなっている。
両親が亡くなってから、変わったうわさが流れるようになった。
『天野家のご子息は両親が亡くなってから姿を変えず生きている』
自分ではよくわからないから、聞き流していた。
しばらくして、池の方を散歩していた際に突然の頭痛。
目を閉じ、開くと視界の端に銀色。
驚いて近くの水面に姿を映すとそこにいたのは白髪に赤眼の自分の姿。
かぶりを振ってもう一度見ると元の姿に戻っていた。ただの見間違いだろうか。
しばらくはそのまま父方の祖父のもとにいたが、
このまま迷惑をかけてしまうのはよくないという気持ちで外に出ようとしていた時に出来事は起こる。
倉庫にいた時に背後から衝撃。走る激痛、飛び散る赤。
振り返るとそこにいたのは叔父とその家臣たち。手には赤く染まった刀を持っている。
「物の怪め、弟たちを殺してその上家まで奪うつもりか」
そんな言葉をかけられた気がする。自分にとっては全く理解ができない。
だって自分は人間だ。化け物じゃない。両親だって殺していない。
それを訴えかけるも聞く耳は持ってもらえないようで、何度も刀は突き立てられる。
でもこれで両親のもとに行けるなら…と早く終わりが来るのを持つ。
それなのに、なぜ自分は死なない?傷はすぐに癒えていき、息を吹き返す。
驚いているのは自分だけではない。目の前の人間たちもだ。
何度も傷をつけても死なない自分に対し、だんだんと恐怖の表情を見せる。
「(…もう、疲れた)」
何度目かわからない刃が振り下ろされたときに、目を閉じる。
このまま目が覚めなくていい、と思いながら。
風が頬に当たり、目が覚める。
ここは森の中だろうか。自分はここまで逃げてきたのだろうか。
いや、そんなことより。
「…生きている、のか」
両の手や自分の身体を見る。赤く切り裂かれた着物は目を引くが、その下に自分の腕などは傷一つない。
「…死なない、身体」
自分は人間ではなくなってしまったのだろうか。彼らの言うように物の怪になってしまったということか。
…人に殺せない身体なら、自分で死ねばいいのではないか。
そう考えが行きついた時、手にいつの間にか小刀を作り出していた。
どうやって作りだしたかわからない。でも、自分が作ったものなのだとなんとなくわかった。
両手に掲げて、容赦なく振り下ろす。激痛が走るけれど、やめない。
それを気が遠くなるほど繰り返した。
ただ一言
「ひとりは、いやだな」なんて呟きながら。
何度目かの目が覚めた。もう自分が誰なのかも忘れた。
ただやらなきゃいけないのは、自分を殺さなきゃいけないことだけ。
いつものように刃を振り下ろそうとした時。
「…小僧、ここで何をしている」
ふと声をかけられた。こんな森に人間が来るなんてこと、めったにない。
振り返るとそこには修行僧のようないでたちの男。
とても若く見えるが、なんとなく雰囲気が違う。どことなく、自分と同じのような感覚がする。
それが『天狗様』…のちに父様と呼ぶ方との出会いだった。
「名前は?」
「…(どうしよう、わからない…)」
「…?おい」
「……(?…なにかきこえる…あ…)…ひ、とや、です」
「…そうか」
そしてこの日が『天野獄』が生まれた日でもある。自傷行為はこの時点で一度やめている。
父様に付いて各地を旅している間に元々生活してきた屋敷の跡地を見て、本来の名前は思い出している。
ただ「もうその名前の子供は死んだ」と割り切り誰にも話していない。
しばらくの間共に過ごしていたが天災が起きた際に離れ離れになってしまう。
彼はずっと探し続けたが見つからず、耐えきれなくなって彼は少々暴走し、再び自傷をすることで心の安定をしていた。
月の石と見えない少女
凪(なぎ)
大正時代ごろに父様のことを探しつつ、彷徨っていたところで出会った少女。首にお守りの小さな石をかけていた。
お嬢様の身分あり体が弱く、両親から過保護に育てられてきた。
ただそのせいなのか外の世界に出たい欲が勝りこっそり抜け出していた。
自分の名前があまり好きではなかったが、獄に「君は一度止まってもまた動き出しそうだけどな。風は止んでもいつかはまた吹くんだから」と言われて少し自分の名前を好きになれた気がした。
亡くなってから数十年後、彼にあげた石に憑いて目覚めて以来ずっとそばにいる。彼には見えていないが、彼が信頼を寄せたものには一応うっすら見えるらしい。
とある日に抜け出して森の中に入ってしまい、その先で怪我をしている(本当は自分で付けたもの)獄を見つけた。
手当てをしようとしたところ「自分で付けたものだからいい、どうせ治る」と言われて「自分を大事にしなさい!」と怒って頭をはたき、手当てをする、治るまで様子を見に来る。と引かない彼女に折れた彼は代わりに自分が知っていることを話して聞かせるということを条件にした。
過ごすうちに彼の中になんとなく気持ちの変化が起きていたが、それがなんなのかは彼には分からなかった。
傷が治っても彼女はほぼ毎日のように来たし、彼も悪い気はしなかった。
しばらくして、彼女の身体の状態が悪化。彼女の両親はもう外に出ることはさせなくなった。
姿を見せなくなった凪に一度だけ家まで様子を見に行ったが門前払い。
戻ろうとした際にふと頭上から何かが落ちてきた。見上げた先には空いた窓。恐らくそこから投げられたのだろう。
彼はその時何もせずにそれを持って彼女をいつもの場所で待つことにした。きっといつものように、来る日がくると信じて。
けれどそれ以降、彼女は二度と姿を現すことはなかった。
嫌な予感がして再び彼女の家に向かう。あの日訪れた時より、はるかに静かだ。
そっと家に触れ聞いてみる。何があったのかを。
「ここの娘が亡くなった」「最期どこか寂しそうにしていた」
聞こえたのは、こんな言葉。何か心に穴が開いたような、そんな感じがする。父様がいなくなった時も似たような気持になったが、それ以上に。なんだ、この感覚は。
ぼんやりした頭で戻り、ふとポケットに入っていた袋に手を伸ばした。
そのまま中身を見る。中にあったのは手紙と白い石。その石は見たことがある。彼女のものだ。
手紙にはこうあった。
『この手紙を読んでるってことは、多分もう私はいないかなあ…ひとや、多分戻ってくるまで待ってそうだもん。
…ふふ、当たってたら嬉しいけど寂しいなぁ…。
身体がもうあまり動かないから、行けなくなっちゃったんだ、ごめんね。
多分二年?くらいかな…ひとやと出会って、本当に楽しかった。いろんなことを知れた。
ほんとは言おうか悩んだけど、言わないで後悔するのは嫌だから。
直接言えないし、答えは聞けないけど…。
ひとやは、人には転生っていうのがあるっていってたよね?
もしほんとにあるなら、今度はずっとあなたのそばにいたい
わたしは、あなたがすきでした』
最後の一文を見て、心臓がいたくなる。
同時にもやもやした気持ちがすとんと消え去る感覚。
ああ、そうか。自分は恋をしていたのか。あの傍にいてくれた少女に。
やっと気づいたのに、それを伝える相手はもういないのだ。
なんで。
ずっと痛む心臓。ああ、うるさい。
それを止めたくて、小刀を取り出す。ずっとしていなかったから、加減など知らない。
勢いよくそれを振り下ろし、左胸を突き刺す。
懐かしい感覚。でもどうせ止まらないのだから、と何度も突き刺す。
気絶こそすれど、また起き上がる。周りには赤い宝石だらけになっている。あれだけ力も使ったというのに。
自分は、なぜ。
「なんで、死ねないんだ…!!」
ただ彼女のもとに行って、好きだと伝えたいだけなのに。
目が覚めたら随分と時間が経った。手には何やら白い宝石。
これは月長石だろうか。どこかで拾ったのだろう。
でもなんとなく、これは手放さないようにしようと思った。
近くにあった袋を拾い上げて、奇麗に作り直して中に入れる。
大事に、そばに。
ただ何かを忘れてしまっているような…何だっただろうか。
それになんだか身体がおかしい。もう一つ、何か身体にある気がする。
まあ、慣れるだろう。慣れるまでの時間なんていくらでもある。
数十年後、親友に「それ、アクセサリーとかにしてみたら?多分喜ぶんじゃね?」と言われて
「…君は、どんな姿になりたい?」
石に聞いて今はイヤリングに形にして肌身離さず身に着けている。
双子の話
研究者時代に誰にも邪魔されずに自分のことを研究しようと、山のふもとに隠れ家を作った。
数年が経ち、いつものように小屋へ向かうと子供が一人小屋の前にいた。
迷子らしかったが、すぐにわかった。この子はオーヴァードだ。
ただ力が少し弱い気がすると感じた。
「…ここで何をしているんだ」
ひとまず声をかける。少し驚かれたが、「まいごになっちゃったんです」と話した。
流石に子供を追い返すわけにもいかず、中に入れて話を聞く。
彼女はどうやら双子のようだがいつも夢でお話する!とニコニコとはなす。
もしかしたら、と記憶を思い起こす。どこかで見たことがある。とある条件でもう一つの人格が出てくる人間がいると。
おそらく、彼女の兄はそちらであり、妹である彼女はそのことに気付いていない。
ただそのことを言ったところで彼女は困惑するだろうし、悲しんでしまうような気がした。
誰かが傍に居る、名前を読んでもらえるということは、それだけで意味があるのだと。
この数百年生きて、なんとなく思うようになった。
自分にとってそんな人間は、直ぐに居なくなってしまうのだけれど。
そんな風に考えていると、目の前の少女がうつらうつらとしている。
声をかけようとした時に口を開いた。たださっきまでの少女の声ではなく、少年の声。
どうやら兄が表に出てきたらしい。
どうして出てきたのかを訊ねると、「自分に力の使い方と、文字の書き方を教えてほしい」のだと。
自分はあまり人前には出てこれないから、誰かに教えてもらうことができない、と。
流石にこんな所に来るのは危険だし、何かを教えるなんてことはと一度断ったがどうやら引く気はないらしい。
仕方ないから、と簡単にだが教えることになった。ついでに妹の方にも使い方を教えてほしいと。
どうやら妹を大事に思っているらしい。
他人を護る為に力を使えるように、兄妹のつながりが切れないような力を教えることにした。
まさか先生、師匠なんて呼ばれるとは思っていなかったが。
数年後自分がいろいろやらかしたときに、再会すると思っていなかった。
どうやら双子は私のことを覚えていたらしい。忘れていいといったのに。
「あのね先生、わたし自分で付けた名前の人、忘れないんだよ?」
恩人を忘れたりしないよ!なんて笑うから驚いたのは、内緒だ。
★自己紹介
名前:天野獄(あまの ひとや)
CN:死神の天秤(モルテ・ヴァ―ゲ)
年齢&性別:年齢不詳(見た目30代) 男性
ワークス&カヴァー:元研究者(現在は呼ばれたら協力する)/フリーター
シンドローム:モルフェウス・ブラム=ストーカー
Dロイス:古代種
好きなモノ:チョコレート、コーヒー、読書、星、なんか癒されるもの
嫌いなモノ:人の死、置いていかれること
戦闘スタイル:射撃、ダイス支援、諜報あり
一言:「…よろしく頼む」
セッション履歴
No. | 日付 | タイトル | 経験点 | GM | 参加者 |
---|---|---|---|---|---|
フルスクラッチ作成 | |||||
1 | 1/16~8/27 | Twilight Breaker | mainさん | 羽響さん(碧海虹色)ひかりさん(四華ヤオト)那綺羅さん(結城泰雅) | |
経験点(130)+EE(4)+シナリオクリア経験点(17) | |||||
2 | 11/18 | HOPEFL | 24 | きさきさん | あるくさん羽響さん奏夜 |
経験点(150)+EE(4)+シナリオクリア経験点(18) |